ゴンドールの執政デネソール二世の次子で、ボロミアの弟。
物腰穏やかで伝承の学と詩歌を愛する聡明な人物。だが決して臆病ということはなく、戦いにおいて必要とあらば勇敢さを示した。
控え目な性格のため、周囲の評価ではボロミアに比べて見劣りする面もあったが、国民からの信頼は厚く、ファラミア自身も決して兄を妬むことはなく、兄弟の間には強い信頼と愛情があった。
しかし父のデネソールからは冷淡かつ過酷に接せられることが多く、内心ファラミアは父の愛情を求めていた。
西方の血が強く発現していたらしく、常人よりはるかに明敏な感覚を持ち、人の心を読み取ることができた。
ボロミアが命を落とした後はゴンドール軍の大将を引き継ぐ。
ファラミアはモルドールの召集に応えて北上してくるハラドリムの部隊を要撃するため、イシリアンに派遣されると、そこでモルドールへ潜入する道を捜していたフロド・バギンズとサムワイズ・ギャムジーに遭遇した。
ファラミアは彼らを取り調べたが、始終丁重に扱うなど高潔な人柄を示した。そして一つの指輪の存在を知り、それをボロミアが欲したことに気付きながらも、一つの指輪の危険性を正しく認識してそれを目にすることも触れることも望まなかったことで、二人の信頼を勝ち得た。
フロドの指輪滅却の任務を知ったファラミアは彼に協力し、死罪になるはずだったゴクリの命を助け、ミナス・ティリスへ連行する決まりになっていた三人を釈放すると、援助と祝福を与えて送り出した。
その後モルドールから暗闇が流出しはじめたことで開戦を悟ったファラミアは、父に事態を報告するために危険を冒してナズグールの影の下を通り、ミナス・ティリスに戻った。
だがデネソールはファラミアが独断でフロド達を釈放し、みすみす一つの指輪を敵地へ送り込んだことに激怒。帰還の翌日、デネソールが諸卿にオスギリアスの防衛を求めると、ファラミアは亡きボロミアの代わりとして、この過酷な要求を引き受ける。そのため休む間もなくオスギリアスへ出陣することになった。
オスギリアスではモルドール軍の進行を防ぎきれず撤退するが、弓と剣を武器にかなりの時間持ちこたえた。また映画ではオスギリアス奪回のため無謀な突撃を行って負傷したが、勇敢さを示した。しかしファラミアはハラドリムの矢を受けて高熱と昏睡状態となり、都に運び込まれる事態となる。
瀕死のファラミアを見てようやく息子への愛を自覚したデネソールだが、悲嘆と絶望のあまり狂気に陥るに至り、ファラミアともども焼身自殺を図った。デネソールは自殺を遂げたが、ファラミアはベレゴンドとペレグリン・トゥック、そしてガンダルフによって救出された。
ファラミアは長くナズグールの影の下にいたために黒の息に冒されており、意識が戻らないのはその影響によるものであった。
療病院に運ばれたファラミアは、そこでアラゴルン二世のアセラスを用いた治療を受け、意識を呼び戻される。その時アラゴルンを認めたファラミアは、彼を王と認め、忠誠を誓った。
そのまま療病院に留まっていたファラミアは、そこで同じく黒の息から救われたエオウィンに出会い、彼女に惹かれるようになる。
ファラミアは生きる望みを失っていたエオウィンに希望を与え、二人は愛し合うようになった。そうして二人は共にサウロンの没落を迎えた。
統治権を持つ執政としてファラミアが行った最後にして唯一の職務は、王の帰還を受け入れることであった。
ミナス・ティリスの大門の前で執り行われたエレスサール王の戴冠式を司ったファラミアは、エレスサール王によって改めて執政に任じられた。
エレスサール王は、執政ファラミアをイシリアンを治めるイシリアンの大公に封じ、執政家の父祖の地であるエミン・アルネンに住まうようにした。
ファラミアはエオウィンと結婚し、息子のエルボロンを儲けたという。また孫のバラヒアは「アラゴルンとアルウェンの物語」を執筆した。
|
コメント