中つ国における最後のノルドールの上級王。アイグロスの槍の使い手であり、エルフの三つの指輪の一つ、風の指輪ヴィルヤの最初の守護者。
第一紀ではダゴール・ブラゴルラハにおけるフィンゴルフィンの死後、フィンゴルフィン王家と全ノルドール王国の王位を継承したフィンゴンの使者として、ファラス地方のブリソンバールとエグラレストの港に遣わされる。
ニアナイス・アルノイディアドの後、この地がモルゴスの軍によって攻撃されると、ギル=ガラドはキーアダンと共にバラール島に撤退し、そこに避難所を作り上げた。
やがてゴンドリンが滅亡しトゥアゴンが死ぬと、ギル=ガラドは中つ国のノルドールの上級王となった。
モルゴスが怒りの戦いで打ち破られるまで、ギル=ガラドとキーアダンはシリオンの河口で持ちこたえ、生き残ったエルダールとエダインの最後の拠り所となった。
第二紀になってもギル=ガラドは流離のノルドールの上級王として中つ国に留まり、キーアダン、エルロンドと共に中つ国北西部に残ったエルダールを指揮する。かれらはベレリアンドの最後の名残りであるリンドンに灰色港を建造した。
ギル=ガラドとエルロンドは正体を隠して接近してきたサウロンを信用せず、やがて正体を現したサウロンによってエレギオンが滅ぼされると、その力に対抗して戦った。
当時、リンドンのギル=ガラドの許にはヌーメノールの船団がしばしば訪れて交流が行われており、ギル=ガラドはタル=ミナスティアの援助を得て第二紀1700年にサウロンをエリアドールから駆逐することに成功した。
それ以後もヌーメノールとの交流は続いたが、ヌーメノール人が次第に堕落しエルフの不死を羨むようになるとそれも途絶え、ギル=ガラドの許にはヌーメノールを逃れた忠実なる者達しか訪れなくなる。
王党派のヌーメノール人は中つ国の沿岸部に植民地を築き、過酷な圧制者として君臨したが、ギル=ガラドの勢力があるため北西部にやってくることはなかった。
第二紀3262年にアル=ファラゾーンによってサウロンがヌーメノールへ連れ去られると、ギル=ガラドは一時の平和を享受して勢力を霧ふり山脈を越えた先にまで拡大させる。
ヌーメノールの没落を逃れて灰色港に漂着したエレンディルは、ギル=ガラドの援助を受けてエリアドールにアルノールを建国し、亡国の民の王国の上級王となった。
しかしサウロンもまたヌーメノールの没落から生き延びて中つ国に戻っており、サウロンがゴンドールを攻撃すると、ギル=ガラドとエレンディルは最後の同盟を結んで対抗した。
同盟軍は霧ふり山脈を越えてダゴルラドの合戦で勝利してモルドールに入り、バラド=ドゥーアを包囲攻撃した。
当時のエルフと人間の力は強く、ギル=ガラドの槍アイグロスと、エレンディルの剣ナルシルには、何者も抗しがたかったという。
二人はサウロンを打ち倒したが、二人の上級王もまたこの戦いによって討ち死にした。
彼の死によって中つ国におけるノルドールの上級王は絶えたが、第一紀から活躍を続け、指輪王サウロンの野望を打ち砕いた英雄と呼ぶにふさわしい人物だろう。
|
コメント