二つの木の時代は灯火の時代の後、アマンにテルペリオンとラウレリンという二つの木が誕生してヴァリノールを照らしていた、1500ヴァラール年の時代。
また、中つ国においては星々の光の下、エルフが目覚めた時代でもあることから、星々の時代とも呼ばれる。
3500ヴァラール年 アマンに撤退したヴァラールは、ペローリの山脈を作ってメルコールに対する防壁とする一方、ヴァリノールに自分たちの都ヴァルマールを作った。
そしてエゼルロハール(ヴァルマールの西門の前にある緑の築山)でヤヴァンナが歌うと、銀の木テルペリオンと金の木ラウレリンという二つの木が育って光り輝きはじめた。
しかし二つの木の光は中つ国には届くことはなく、中つ国は暗闇に包まれたままだった。
当時の中つ国北方は、地下にメルコールの火と召使達で満たされたウトゥムノが穿たれていたため、無残に荒れ果てており、その力は絶えず南へと伸長していた。
メルコールは周囲にバルログ達を集め、鉄山脈の西の外れにはヴァラールの攻撃に対する備えとしてアングバンドを築いてサウロンをその守りにあたらせる。
そして変節させた悪霊や怪物達を放ち、アルダを侵食していった。
ヴァラのオロメは、こういったメルコールの怪物を狩り立てる狩人であった。
メルコールはしばしば中つ国に馬を進めてくるオロメを恐れ、その進行を妨げるために霧ふり山脈を隆起させた。
一方アウレは自らの教え子となるイルーヴァタールの子らの到来を待望し、また中つ国が空虚なまま打ち捨てられていることに心を懸けるあまり、独断でドワーフの七人の父祖を作り世に送り出そうとした。
だがそれは直ちにイルーヴァタールに見とがめられ、その真意を問いただされた。
アウレは涙を流し大きな槌でドワーフの父祖らを叩き壊そうとしたものの、父祖たちが身をすくめて恐れ、慈悲を乞う様子を見せたのを目にしたイルーヴァタールは、すでにドワーフがかれら自身の命を持っていることをアウレに告げ、アウレを赦し、ドワーフの存在を嘉納した。
そこでアウレは父祖らを中つ国に連れて行って眠らせ、かくしてドワーフはエルフの次に中つ国に誕生することになった。この一件のためドワーフは「イルーヴァタールの養い子」と呼ばれる。
アウレがドワーフを創ったことを知ったヤヴァンナは、彼らが(そして人間やエルフも)植物を傷つけるようになると懸念し、マンウェに相談した。その時イルーヴァタールの啓示が下り、やがて植物を守護する木の牧人であるエントが生まれることとなる。
4500ヴァラール年 ヴァラールは、中つ国に関するオロメとヤヴァンナの関心とエルフの差し迫った到来について議論するために会議を開いた。
ヴァルダ(エルベレス)は、エルフが中つ国の闇の中に生まれないようにと、空にテルペリオンの雫から新しい星々を創り、古い星々で印となる星座を作った。
4550ヴァラール年 ヴァルダは、メルコールへの挑戦として北にヴァラールの鎌(北斗七星)をはめ込んで、星づくりの仕事を終えた。
そしてヴァルダの仕事が終わると同時に、クイヴィエーネンという地のほとりにエルフが目覚めた。
同じ頃マイアのメリアンが中つ国にやってきた。メリアンは後にエルフのシンゴルと結ばれる。
二人の間にはこの世で最も美しい者と呼ばれる娘ルーシエンが生まれることになり。これによってアイヌアの血がイルーヴァタールの子らの中に引き継がれることになる。
メリアンの血はアラゴルンにも受け継がれている。
4580ヴァラール年 メルコールはエルフを発見して、秘かに捕らえ始めた。
警戒怠りないメルコールは、目覚めたエルフの存在を真っ先に察知したと言われている。
そこでメルコールは暗闇と狩人の姿をした悪霊を送り込んでエルフを狩り立て、かれらの心に影を投じるとともに、オロメを恐れるように仕向けた。
遠くまでさまよい出たエルフはしばしば二度と戻ってくることはなく、狩人に捕らわれたのだと信じられた。
後のエルダールの賢者達が推測したところによると、捕らわれたエルフ達はウトゥムノの地下牢に連れて行かれ、そこでメルコールの緩慢かつ残忍な術によって心身共に捻じ曲げられた。
かくしておぞましいオーク族が作り出されたのだと考えられている。
4585ヴァラール年 オロメは初めてエルフに気づいた。
4586ヴァラール年 オロメはヴァリノールに戻って、エルフが直面している危険を他のヴァラールに知らせた。
4590ヴァラール年 ヴァラールはエルフのためにメルコールとの戦争に赴いた(力の戦い)。
中つ国北西部で開かれた緒戦でヴァラールは速やかに勝利を収め、当時サウロンが統治していたアングバンドは陥落した。
だがヴァラールは攻撃を急ぐあまり、アングバンドを完全に破壊することができなかった。
4592ヴァラール年 ヴァラールはウトゥムノを包囲した。メリアンはナン・エルモスに住み、ベレリアンドで目覚めた生き物を保護しはじめた。
4599ヴァラール年 メルコールはトゥルカスによって倒されて、ウトゥムノは破壊された。サウロンは捕縛を免れ、アングバンドに残ってメルコールのためにオークとトロルを飼育した。
またこの戦いの余波で中つ国北西部の地形は激変し、海岸線はあらかた破壊され、広大な高地が隆起したり、大海が広く深くなるなど中つ国が被った被害は甚大なものであった。
当時目覚めて間もないエルフはこの戦いには参与していないため、戦いの詳細は知られていない。
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