4679ヴァラール年 フェアノールが生まれる。フェアノールはノルドールの上級王フィンウェとミーリエルの長子。
フェアノールは、青年期のはじめにネアダネルと結婚し、彼女の父マハタンから鍛冶と石工の技を学んだ。
ノルドール族の史上もっとも技芸に優れた者と言われるようになった彼は、後にフェアノール文字を考案し、シルマリルを制作した。パランティーアも彼の作と言われる。
またネアダネルとの間に7人の息子を生んだ。丈高きマイズロス、偉大なる伶人マグロール、金髪のケレゴルム、黒髪のカランシア、巧みのクルフィン、双子のアムロドとアムラスである。
フェアノールの息子達は第一紀の宝玉戦争でモルゴスと戦う中心的な存在になる。
フェアノールが誕生して間もなく、彼を産むことで心身共に消耗した母ミーリエルは死去した。
4679ヴァラール年 ドワーフがノグロドとベレグオストという都市を建設。
4685ヴァラール年 フィンウェはインディスと再婚した。二人の間にフィンディスが生まれる。
フェアノールは父の再婚を喜ばなかった。
4690ヴァラール年 フィンウェとインディスの間にフィンゴルフィンが生まれる。
フィンゴルフィンはノルドールの中で、不動の心と剛勇において最も優れていたと言われる。
後にモルゴスと一騎討ちを果たすことになる英雄である。
4700ヴァラール年 シンゴルとメリアンの間にルーシエンが生まれる。ルーシエンは中つ国のあらゆる者の中で、最も美しい存在といわれた。
後に人間のベレンと恋に落ち、二人はモルゴスからシルマリルを奪い返すなど偉業を成し遂げることになる。
トールキン教授は自身と奥様のことをベレンとルーシエンに投影していたと言われている。
4730ヴァラール年 フィンウェとインディスの間にフィナルフィン生まれる。
4750ヴァラール年 ノグロドとベレグオストのドワーフはベレリアンドに入り、交易をはじめた。フェアノールがテングワール(フェアノール文字)を開発した。
4780ヴァラール年 フィナルフィンとエアルウェンが結婚。
4862ヴァラール年 フィナルフィンとエアルウェンの間にガラドリエルが生まれる。
4900ヴァラール年 三期の刑期が過ぎた後、再び引き出されたメルコールは許しを請うてアルダの傷を癒すことを誓い、ニエンナの口添えもあって釈放される。
マンウェはこれでメルコールの悪は矯正されたと考えたが、彼は内心では妬みと憎しみをますます募らせていた。
4910ヴァラール年 メルコールが知識を求めるノルドールに接近する。
メルコールは自身の敗北の原因になったエルフを憎み、アマンに住むエルダールの間に虚言を蒔いてヴァラールから引き離そうと腐心した。
さらにフェアノールとフィンゴルフィンの対立を煽る風説を流した。
4950ヴァラール年 フェアノールはシルマリルを創りおえた。シルマリルは第一紀の宝玉戦争のきっかけとなった三つの大宝玉の名。
フェアノールの最高傑作であり、その美しさに驚嘆しない者は一人としていなかった。
シルマリルには二つの木(テルペリオンとラウレリン)の生きた光が不滅のものとなって込められていた。
そのため、たとえ地の底の暗闇に置かれたとしても天空の星々の如くに自ら光り輝き、また他の光を受ければそれを喜んで見事な光彩を照り返した。
シルマリルの命にあたるその光は、ダイアモンドの結晶のようでありながらダイアモンドよりも硬く、何人も傷つけることの出来ない器を肉体として宿っていたが、これがいかなる物質から造られていたのかはフェアノールの他に知り得る者はいないという。
シルマリルはヴァルダによって聖められ、死すべき者、不浄の者、悪しき者が手にするとその身を焼かれるようにされた。
またマンドスは、“大地も、海も、空気も、アルダの運命はすべてシルマリルの中に閉じ込められている”と予言した。
その輝きを目にしたメルコールは世の何よりもシルマリルを渇望した。そして身を焦がすようなその欲望に駆られた彼は、何としてもフェアノールを滅ぼし、ヴァラールとエルフを離間させようと工作に精を出すようになる。
彼は時間をかけて虚言の種を蒔いていった。ヴァラールはエルフから中つ国を取り上げ、これから生まれてくる人間に与えるつもりなのだ、と。
無論これは全く根拠の無いことだったのだが、ノルドール族の中には完全に信じる者、あるいは半信半疑な者が大勢続出するようになった。
こうしてメルコールの工作は実りつつあった。フェアノールの心中には新天地を望む気持ちが炎のように燃え盛ったからである。
さらにメルコールはフェアノールに異母弟のフィンゴルフィンとその息子達が、ノルドールの上級王フィンウェとその長子フェアノールに取って代わろうとしていると吹き込んだ。
その一方で、フィンゴルフィンとその弟フィナルフィンには、フェアノールが父親の愛情を独占し、二人を追放しようと画策していると吹き込んだ。
4990ヴァラール年 フェアノールはヴァラールへの叛逆と中つ国への帰還の意志を公然と口にし、そのためティリオンは騒然となる。
そしてついに、調停のためフィンウェが設けた席上で、フェアノールがフィンゴルフィンに剣を向ける事件が発生する。
そのためフェアノールは審判の輪に召し出されてヴァラールの前で証言することになったが、この調査によりメルコールの悪意が明らかとなる。
だがフェアノールは無罪とはされず、同族に剣を向けて平和を乱した罪により、12年の間ティリオンを離れることを命じられた。
フェアノールはティリオンを離れ、息子達と共にフォルメノスに住んだ。フェアノールを愛するフィンウェも彼と行動を共にした。
4992ヴァラール年 フォルメノスで謹慎中のフェアノールのもとに、突然メルコールが姿を現わす。
メルコールはさらなるヴァラールへの反抗を促そうとしたが、フェアノールは友情を装う彼の仮面の裏にシルマリルへの抑えがたい渇望があることを見抜く。
恐怖に駆られながらも、フェアノールはメルコールを罵ってその鼻先で扉を閉ざし、彼を追い払った。
こうして恥をかかされたメルコールの心はドス黒い怒りに塗り潰されたが、ヴァラールの追跡を案じてその場を去った。
フィンウェは急使をヴァラールの許に送り、オロメとトゥルカスが追跡に飛び出たが、メルコールは北方へ逃走したという情報がもたらされ、二人は全速力で北に向かったが、彼の消息を見出すことは出来なかった。
メルコールは首尾よく追っ手を撒いた。北方に向かうと見せかけ、実は引き返して遥か南に去っていたからである。
そしてペローリ山脈の東の山麓の裾野にあるアヴァサールを訪れた。そこには闇の大蜘蛛ウンゴリアントが棲息していたからである。
かの雌蜘蛛は光を吸い上げ闇の糸を紡ぐ事が出来た。そしてその紡がれた暗黒の蜘蛛の巣には最早如何なる光も届かなくなっていたため、彼女は飢餓に瀕していた。
メルコールはここで彼女を探しだすと暗黒の王の姿をとった。そして二人はアマンを襲う計画を練った。
ウンゴリアントは本心を言うと諸神に挑むのは大変な危険を伴うため、恐怖から些か気が進まなかったのだが、「協力するならお前の飢えを癒やすどんなものでも与える」と空約束をしたメルコールの報酬に釣られて力を貸すことを承諾した。
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