第二紀 初期ヌーメノール -ロードオブザリング全史-

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ロードオブザリング
Númenor - Tolkien Gatewayより引用

第二紀はモルゴスの滅亡から最後の同盟の戦い、サウロンの最初の敗北までの期間。3441年間。

 

1年 灰色港とリンドンの創建。

灰色港はエリアドールの西の端、リンドンのルーン湾にあるエルフの港。キーアダンが領主になる。

この港からは、中つ国を去るエルフが多く船出していき、まっすぐの道を通ってアマンへ去っていくことになる。

映画のラストシーンでフロドが旅立った港もこの灰色港である。

 

リンドンは怒りの戦いで崩壊したベレリアンドのうち、青の山脈の西に唯一残った、元のオッシリアンドの一部。

この地にはベレリアンドの崩壊を逃れたエルダールが住んでいた。

ギル=ガラドがリンドンの王となり、キーアダン、エルロンドと共にこの地のエルダールを統治していた。

 

32年 エダインがヌーメノールへ渡る。

ヌーメノールは中つ国でエルフの友としてモルゴスと戦った人間であるエダインの三家のために、水没したベレリアンドの代わりにヴァラールから褒美として与えられた大海に浮かぶ島国。

初代の国王はエルロンドの兄弟エルロス。エルロスはエアレンディルとエルウィングの息子でエルロンドの兄弟。ヌーメノール王家の始祖である半エルフ。

怒りの戦いの後、エルロスは人間として生きる道を選び、生き残ったエダインを率いてヌーメノールへ渡った。

エレンディルは彼の末裔にあたり、アラゴルン二世も更にその末裔にあたる。

 

ヌーメノールに住んだ人々は、ヌーメノール人もしくはドゥーネダインと呼ばれた。

ヴァラールはヌーメノール人がヌーメノールの沿岸が見えなくなるほど大海を西に航海するのを禁じた。これをヴァラールの禁と呼ぶ。

マンウェはこれによって、至福の国(アマン)を求めたいという誘惑からヌーメノール人を守り、物が朽ちる事なき不死の国とエルダールを見て、人間が不死を望むことを阻止しようとした。

 

40年 多くのドワーフがエレド・ルインの古い町々を去り、モリアに移住。モリアの人口が増大する。

 

442年 エルロスが死ぬ。エルロスはヌーメノールの王として410年間統治を行った。

エルロスの長子、ヴァルダミア・ノーリモン381歳と高齢だったこともあり、自分は王位を継ごうとはせず息子のタル=アマンディルに王位を譲った(だが記録では、在位が1年間の2代目の王として扱われる)

これ以降、ヌーメノールの王は死ぬ前に世継ぎへ譲位することが習わしとなった。

 

500年 この頃、サウロンが中つ国で再び活動し始める。

サウロンは、荒廃しヴァラールの神々に見捨てられたままの中つ国を再建させることが自分の仕事と考えるようになった。

これは当初の動機としては真に善いものであった。しかし、そのためにエルフや人間を使おうとしたサウロンは、次第に悪に立ち戻り彼らを支配する力を欲するようになる。

 

521年 ヌーメノールでシルマリエンが生まれる。ヌーメノールの4代目の王タル=エレンディルの第一子で長女。

当時のヌーメノール王位は男系男子にのみ継承されたため、彼女に王位継承権はなかった。

シルマリエンはアンドゥーニエ(ヌーメノール西部アンドゥスタールのアンドゥーニエ湾にある港湾都市)のエラタンと結婚し、アンドゥーニエ領国の初代領主であるヴァランディルの母となった。

以後この家系からアンドゥーニエの領主が出ることになり、その末がアマンディル、エレンディル、イシルドゥアにあたる。

シルマリエンは父タル=エレンディルからヌーメノール王家の宝器の一つ、バラヒアの指輪を受け継いだ。

これはアンドゥーニエの領主に代々受け継がれ、ヌーメノールの没落からも救われ、アルノールの宝器となった。

 

600年 ヌーメノールの船が初めて中つ国に向けて出帆した。ヌーメノール王家の艦隊の長であるヴェアントゥアは西風に乗ったエントゥレッセでヌーメノールから灰色港へと至り、ヌーメノール人による中つ国への初航海を成功させた。

 

740年 タル=メネルドゥアがヌーメノール5代目の王となる。

航海による冒険を好んだ息子アルダリオンとは一時不仲であったが、ギル=ガラドからの親書で、アルダリオンとギル=ガラドの親交と中つ国でのサウロンの勃興を知ると、王の会議の反対を押し切って通例より早くアルダリオンに王位を譲った。

 

750年 中つ国に留まったノルドールによってエレギオンが創建される。

ケレブリンボールがその領主となる。ケレブリンボールはフェアノールの五男クルフィンの息子であり、フェアノール王家に連なる最後の者であった。

しかし誓言に縛られてシルマリルを執拗に求める父親を見限り、クルフィンがナルゴスロンドを追放された後もその地に留まった。こうして彼は第一紀の宝玉戦争を生き延びた。

エレギオンにはケレボルンとガラドリエルも一時期ここに住まったという。

 

ケレブリンボールは職人集団グワイス=イ=ミーアダインの一員として、上古の記憶を保ち、荒廃した中つ国を癒やすという大望を抱いて多くの仕事をなした。

またカザド=ドゥーム(モリア)のドワーフと友好関係を築き、両種族を富ましめた。

モリア西門の扉は彼がドワーフのナルヴィと共に作ったものであり、イシルディンで描かれたその意匠はケレブリンボールの手によるものである。

映画で裂け谷を出発した直後の指輪の仲間が通り過ぎているのがエレギオンの廃墟である。

 

883年 タル=アルダリオンがヌーメノール6代目の王になる。

エリアドールのグワスロの河口に新たにロンド・ダイアの港を築き、ギル=ガラドに協力して、新たに勃興しつつあったサウロンの勢力に対抗しようとした。

アルダリオンは母方の祖父ヴェアントゥアの影響で少年の頃から航海を愛し、中つ国のギル=ガラドと親交を結んだ。

だが、身を固めるべき年齢になっても、アルダリオンが航海にばかり情熱を注ぐことを快く思わなくなった父メネルドゥアからは不興を買った。

心から望んで妻としたエレンディスとの結婚後も航海への情熱を捨てられなかったアルダリオンは、ヌーメノールにエレンディスと幼い娘アンカリメを置いて、再び中つ国への長い航海に旅立つ。

これが原因でアルダリオンはエレンディスと不和になり別れる。二人の間にはアンカリメの他に子はなかった。

ヌーメノールでは、明記されたものではないが古くからの慣習として、女子は王位を継げないことになっていたが、アルダリオンは一人娘に王位を継がせたいが為に自ら法を改め、王に息子がいない場合には最年長の娘が王位を継ぐとした。

 

1000年 この頃、サウロンは強大となりゆくヌーメノールの力に驚き、拠点とすべき地にモルドールを選んでバラド=ドゥーアを築城し始める。

 

1075年 タル=アンカリメがヌーメノール7代目の王であり、最初の女王になる。

誇り高く我が儘な性格で、最後の王妃タル=ミーリエルを除いては、エルロスの家系の中でも最も美しい女性であったという。

長い間結婚しなかったが、従兄のソロントが王位を狙っていたため、ソロントへの牽制のためにハルラカールと結婚し、タル=アナーリオンの母となる。だが後に夫とは不仲になった。

隠居していた父タル=アルダリオンが死ぬと、彼の政策の多くを廃止してギル=ガラドへの援助も打ち切った。

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