第二紀 ヌーメノールの堕落 -ロードオブザリング全史-

スポンサーリンク
ロードオブザリング
Númenor - Tolkien Gatewayより引用

1731年 タル=ミナスティアがヌーメノール11代目の王となる。

彼はアマンへの憧れから、ヌーメノール西岸のアンドゥーニエに近いオロメトの丘に塔を建て、一日の大半をその塔から西を眺めて過ごしたのでミナスティアの名で呼ばれた。

彼はエルダールを愛していたが、同時に羨んでもいた。

 

1800年 この頃、ヌーメノールは中つ国に恒久的な入植地を設立し始めた。

一方サウロンはその勢力を東に伸展させる。モルドールに戻ったサウロンは、手に入れた七つと九つの指輪に悪意を吹き込み、邪悪なものに歪めた上で、ドワーフと人間の諸侯にそれを配った。

アウレによって性来頑強に創られたドワーフは、影の存在になることこそなかったものの、指輪の悪意によってひたすら富を築き上げることに邁進するようになり、その結果竜やバルログなどによって破滅することとなった。

一方、人間は速やかに堕落した結果、全員が影の存在となった。サウロンの最も恐るべき下僕であるナズグールの誕生である。

そして、第一紀から生き残っている邪悪な者たちを傘下に収めたサウロンは、冥王と呼ばれ恐れられるようになり、この時代の中つ国は暗黒時代と呼ばれることになる。

 

1869年 タル=キアヤタンがヌーメノール12代目の王になる。父タル=ミナスティアのアマン(西方)への憧れを軽蔑し、王位につくまでは東へ、北へ、南へと航海して落ち着かない心をなだめた。

王位を譲られてからはヌーメノールを160年間統治したが、貪欲な王として知られ、王直属の大艦隊を建造し、配下の者に中つ国から貴金属や宝石を持ち返らせ、中つ国の人間に圧制をしいた。

 

2029年 タル=アタナミアがヌーメノール13代目の王になる。父タル=キアヤタンに似て傲慢で、配下のヌーメノール人を使って中つ国沿岸地方の人間から過重な貢物を取り立てた。

アタナミアとその追従者はヴァラールの禁に公然と反発するようになったが、ヴァラールを恐れるだけの分別はあったので、敢えて禁を破ろうとはしなかった。

マンウェはタル=キアヤタンとタル=アタナミアの治世に禁に不満を持つヌーメノール人を誡める使者たちを送った。

それまでのヌーメノールの王は老いると世継ぎに王位を譲り、その後自分の意志で世を去るのが慣わしだったが、アタナミアは最期まで譲位せず、生に執着して耄碌しても生き続けようと足掻いた最初の王だった。そのため「未練者」とも呼ばれる。

 

2221年 タル=アンカリモンがヌーメノール14代目の王になる。

彼の治世にヌーメノール人はヴァラールとエルダールを敵視したヌーメノール王とそれに追随する王党派とヴァラールとエルダールへの敬愛と親交を保ち続けた忠実なる者に分裂した(多数派は前者)

忠実なる者はクウェンヤで「エルフの友」の意味のエレンディリとも呼ばれる。彼らは主にヌーメノール西部のアンドゥーニエに集まっていた。

中つ国ではペラルギアを拠点にして、ギル=ガラドとの友好を保ち、王党派が行っていた中つ国の植民地化にはほとんど関わらなかった。

 

王党派は主流派となり、エレンディリ(忠実なる者)を迫害した。

彼らはヴァラールの禁を批判し、不死の命を持つエルフを妬み、また死すべき運命への恐れから、命を呼び戻す、あるいは寿命を延ばす研究を行った。

死への恐れが強まるにつれて彼らは快楽と歓楽に溺れるようになり、中つ国に航海して沿岸部に植民地を築き、現地の富を収奪する苛烈な支配者として君臨した。

王党派はエルフ語を使わなくなったが、古の慣習を破ることで災いを招くことを恐れ、王の称号には引き続きクウェンヤの名を用いた。

タル=アンカリモンは父タル=アタナミアと同じく死ぬまで王位にあった。

 

2251年 ナズグル(指輪の幽鬼)が初めて現れる。かつて九つの指輪を手にした九人の偉大な人間たち。

彼らは指輪によって人ならざる力を手に入れ、その盛時には強大な権勢を振るうに至った。

 

2280年 ウンバールがヌーメノール人によって要塞化される。ウンバールはベルファラス湾の南東端にある半島に囲まれた、良質の軍港。

後にゴンドールが主権を持つがハラドの海賊の拠点となる。ウンバールの海賊は映画でも登場。指輪戦争ではサウロンに味方する勢力となった。

 

2350年 ペラルギアがエレンディリによって造られる。以降ペラルギアは、中つ国における忠実なる者達の主要な拠点となる。

 

2386年 タル=テレムマイテがヌーメノール15代目の王になる。

テレムマイテはクウェンヤで「銀の手をした(Silver-handed)」の意味で、銀を愛好したためにこの名で呼ばれた。特にミスリルを好み、配下に集めさせていた。

彼の頃から王位は生前の譲位ではなく、死去に伴う継承が常となった。

 

2526年 タル=ヴァニメルデがヌーメノール16代目の王になる。3人目の女王。

政治に関心を持たず、専ら音楽と踊りを好み、実権は夫のヘルカルモが握っていた。

ヘルカルモは妻が死ぬと、王の世継である息子アルカリンを押しのけ、タル=アンドゥカルを名乗って王位についた(歴史的には正統な王として認められていない)

 

2637年 タル=アルカリンがヌーメノール17代目の王になる。

母である女王タル=ヴァニメルデの死後、世継ぎであったアルカリンが王位を継いでヌーメノールを統治するはずだったが、父のヘルカルモが存命の間は、ヘルカルモがタル=アンドゥカルを名乗ってヌーメノールを統治していた。

だが、ヘルカルモは王位にあったとは認められず、16代目のタル=ヴァニメルデを継いで、タル=アルカリンが正統な17代目の王とされている。

 

2737年 タル=カルマキルがヌーメノール18代目の王になる。

即位前の若い頃は偉大な大将であり、中つ国の沿岸地方に広大な領土を獲得した。

結果的にサウロンの憎しみを買ったが、サウロンは海岸から離れた東方に退いて時機を待った。

 

2825年 タル=アルダミンがヌーメノール19代目の王になる。

 

2899年 アル=アドゥーナホールがヌーメノール20代目の王になる。

エルフの言語クウェンヤでなく、人間の言語アドゥーナイクで王として名乗った最初の王となった。

彼の治世よりヌーメノールにおいてエルフ語の使用や教授が禁止された(忠実なる者の間でのみ隠れて使われた)

だが古くからの慣習を完全に断ち切ることが不吉に思われたため、王統譜にはクウェンヤのタル=ヘルヌーメンの名で記された。

それまではマンウェの称号として避けられていた「西方の王」の名を用いたことも、忠実なる者たちにとっては不遜に思われた。

彼の治世からトル・エレッセアの船は滅多にヌーメノールへ来なくなり、来ても島の西岸へ密かに訪れるだけだった。

 

2962年 アル=ジムラソーンがヌーメノール21代目の王になる。

 

3033年 アル=サカルソールがヌーメノール22代目の王になる。

 

3102年 アル=ギミルゾールがヌーメノール23代目の王になる。

忠実なる者を弾圧したため、当時の忠実なる者の最大の敵と目された人物。彼は主に島の西部に住んでいた忠実なる者を東部へと立ち退かせ、その後も彼らを監視した。

エルダール語の使用を全面的に禁止し、エルダールがヌーメノールに入ることを禁じ(当時はまだトル・エレッセアの船が密かに島の西岸を訪れていた)、彼らを歓迎する者も罰した。

何者も崇めず、メネルタルマのイルーヴァタールの聖所にも赴かなかった。彼の治世にニムロスの木は手入れされることがなく、衰え始めた。

忠実なる者であった妻インジルベースとの間に愛情はほとんど無かった。自分に似てエルダールやヴァラールに反感を持つ次男ギミルハードに王位を継承させたかったといわれる。

一方でインジルベースは二人の息子の内では自分と同じ心を持つ長男インジラドゥーンを愛し、インジラドゥーンがタル=パランティアとして即位することになる。

 

3119年 エレンディルが生まれる。エレンディルの父は、ヌーメノールで多くの忠実なる者を擁したアンドゥーニエ最後の領主アマンディルであった。

後にヌーメノールの没落を逃れた忠実なる者達の指導者となり、かれらが中つ国に築いた亡国の民の王国の初代上級王になる。

彼自身は北方王国アルノールを統治し、南方王国ゴンドールの統治は二人の息子たちに委ねた。

 

3177年 タル=パランティアがヌーメノール24代目の王になる。

母インジルベースに体も心も似て忠実なる者に属し、その言葉は先見者として王党派にも恐れられた。

アドゥーナイクでの名はアル=インジラドゥーンだが、それまでの王たちが行ってきた反ヴァラール・反エルダール的なやり方を悔いてタル=パランティアの名で即位する。

そしてヴァラールとエルダールに対する敬愛を復活させようと試みた。

彼はメネルタルマへの参拝を復活させ、放置されていたニムロスの手入れを行い、「この木が枯れる時はヌーメノール王家も滅びる」と予言した。ニムロスは後のゴンドールの白の木になる。

しかし多くの国民の心をなびかせることは出来ず、その上王党派を率いる弟のギミルハードとその息子ファラゾーンの妨害にあったため改革は進まなかった。

だが忠実なる者にとっては、しばしの平和な時代だった。

彼はアンドゥーニエで過ごすことが多く、オロメトの丘にあるタル=ミナスティアの塔に登って西の方を眺めることもあった。

だがトル・エレッセアから再び船がやって来ることはついになかった。

遅くまで結婚せず、子供は娘のミーリエルだけだった。彼の死後、ミーリエルがヌーメノールの女王となるはずだったが、ファラゾーンが彼女と強引に結婚し王位を簒奪した。

コメント