第三紀 ローハン建国とエレボールの繁栄 -ロードオブザリング全史-

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ロードオブザリング
映画ロードオブザリングより引用

2509年 ケレブリアンはロスローリエンへ向かう途上の赤角山道でオークの待ち伏せを受けて囚われ、拷問され毒の傷を負った。

 

2509年 ゴンドール12代目執政のキリオンは、ゴンドールに対する北からの大規模な攻撃が計画されていることを知る。

東方からさらなる同類を呼び寄せたバルホス族の大軍が、闇の森の南に集結していたのである。

 

2510年 ケレブリアンは息子のエルラダンとエルロヒアによって救出され、夫のエルロンドにより肉体の傷は癒されたが、中つ国で生きる喜びを失い、灰色港からアマンへ去った。

この事件をきっかけに、エルラダンとエルロヒアはオークに復讐のための戦いを挑み続けるようになった。

エルラダンとエルロヒアは指輪戦争でも北方の野伏に同行して南方へ遠征。

ローハンでアラゴルン二世と合流した後、死者の道を抜けてゴンドールに入り、ペレンノール野の合戦に馳せ参じた。

また、西軍にも加わり、北方の野伏とドル・アムロスの騎士たちと共に馬を進め、黒門の戦いに参加した。

映画ロードオブザリングではそれと明言されている人物は登場しないが、エルロンドの会議の場面に黒髪の二人組のエルフが映っており、これがエルラダンとエルロヒアであるという説を唱えるファンもいる。

また、映画ホビットでも登場しないが、エルロンドの率いるオーク征伐隊の中にやはり黒髪の二人組のエルフが映っており、エルラダンとエルロヒアであろうと見なすファンもいる。

 

2510年 3月、ゴンドールへの攻撃計画を知ったキリオンは急ぎ援軍を要請する伝令をエオセオドの若き王エオルの許に派遣した。

しかし伝令はバルホス族とドル・グルドゥアの影のただ中を危険を冒して進まねばならず、さらにゴンドールから北の彼らの国までは直線距離にして450マイル、地上を旅する者にとっては800マイルもの距離があった。

そしてエオセオドは異国での戦いに赴くために、同じ途をまた南に辿らなければならないのである。

伝令が無事エオセオドに到着する望みは少なく、エオルが要請に応える望みはさらに少なかった。

 

バルホスの侵攻はその年の内に開始され、ゴンドールは存亡の危機に陥る。

かれらは大量の船や筏を建造すると、茶色の国から大挙して大河を渡って高地に入り、防ぎ手を一掃。

さらに霧ふり山脈のオークの大軍がそれに呼応して突如としてゴンドールに現れ、両軍はカレナルゾンを席巻する。

キリオンは北軍に迎撃を命じると共に、自ら集められるだけの南軍を率いて北上したが進路を断たれ、敵を迎え撃った北軍も、白光川の北でバルホスとオークの挟み撃ちにあい、大河に向かってじりじりと追い詰められた。

 

キリオンがエオルへ送った伝令は二人一組で一日ずつ、計六人送り出したが、エオルの許にたどり着いたのはボロンディアただ一人であった。

彼からキリオンの要請を聞いたエオルは、援軍に赴くことを決意。

ゴンドールを救うためにはエオセオドの全軍が必要であることを悟っていたエオルは、非戦闘民を守るわずか数百の兵のみを後に残し、7000騎の重装騎兵と数百騎の騎馬の弓兵からなる大エオヘレ(騎兵全軍)を率いて遠征を決行した。

エオセオドの全軍は4月6日に北を出立し、ボロンディアが道案内を務めた。

その騎馬軍団の威容のために、一行は行軍を妨げる何者にも出会わなかったが、ドル・グルドゥアに近づいた時、エオルはその暗闇を恐れてアンドゥインの側に道を逸れる。

するとドゥイモルディネ(ロスロリアン)から仄かに光る川霧が立ち昇ってきていた。はじめは狼狽したエオセオドだが、その霧がドル・グルドゥアの闇を押し返していることに気が付くと、エオルは乗騎フェラロフの駆けるに任せる。

光る川霧の中をフェラロフの導くまま駆けぬけたエオセオドは、予想より速い4月15日にケレブラントの野に到着することに成功した。

 

ゴンドールの北軍が大河に向かって追い詰められている間際に到着したエオセオドのエオヘレは、オークとバルホス族の後衛部隊を強襲してこれを打ち破ると、高地に向かって押し返し、さらにカレナルゾンの平原を縦横に駆け抜けて敵を滅ぼした。

かくしてゴンドールの危機は救われた。しかし最初に白光川を渡って道を切り開いたボロンディアは主君であるキリオンを守って戦死した。

戦いが終わった後、キリオンはアモン・アンワル(ハリフィリアン)の聖所へ至る道を再び開かせ、エレンディルの墓所の前で密かにエオルとの会合を行う。

わずかな護衛の他は、キリオンには息子のハルラスとドル・アムロスの大公、二人の参事のみが同行し、エオルには三人の主だった大将のみが同行した。

そこでキリオンは、ゴンドールの危急を救ったエオセオドの民への謝意と、それに加えてかれらが北の領地を手狭に感じておりさらなる広い国土を必要としている事、そしてゴンドールにとって北方の守りが頭を悩ます問題であった事をも念頭に、エオルとその国民に人口の希薄となったカレナルゾンを割譲することを申し出る。

エオルは感嘆してこの申し出を受け取り、両国の永久の友情を約束するエオルの誓い(Oath of Eorl)を立てた。

その後、エオルは北方に残っていた国民を引き連れてカレナルゾンに移住。彼の民はゴンドールではロヒアリムと呼ばれるようになり、その国土はローハンと呼ばれるようになった。

ゴンドールとローハンは後の代まで強固な同盟国として結ばれることとなった。

 

2545年 エオルは高地での東夷との戦いで戦死した。愛馬フェラロフもエオルと同じ塚に葬られた。

ブレゴが第2代ローハン王としてかれの後を継いだ。ブレゴは父エオルを殺した東夷を高地から駆逐し、敵の攻撃を退けた。

 

2569年 ブレゴは黄金館を完成させ、王宮をアルドブルグからそちらへ移した。

 

2570年 黄金館の落成を祝う宴でブレゴの長男バルドールが死者の道を踏んで見せると誓い、実際に死者の道へ行ったきり戻らなかったため、ブレゴは悲嘆に駆られて早世した。

はるか後の第三紀3019年にアラゴルン二世ら灰色の一行が死者の道を通過した際、道の中ほどにある秘密の部屋の戸口の前でバルドールの白骨死体が発見された。

痕跡によると、バルドールは秘密の部屋の扉をどうしても開くことができず、最期には絶望に駆られて息絶えたようだが、何故彼がそこまでして扉を開こうとしたのかは不明。

王位は次男のアルドールが継いだ。アルドールは非常に長生きで、75年間王位にあったため長命王と呼ばれた。

アルドールの治世でアイゼン川の東に残っていた褐色人の残党を完全に川の向こうまで駆逐するか、鎮圧した。侵略の報復としてエネドワイスの褐色人の土地を襲撃することもあったという。

 

2589年 灰色山脈を統治していたドゥリン一族のダイン一世が冷血竜によって次男のフロールと共に自分の館の入り口で殺された。

 

2590年 ドゥリン一族の王位は長男のスロールが継ぎ、その弟のグロールはくろがね連山へ移住した。

スロールは叔父のボーリンと共に脱出して父祖の地であるエレボールに戻った。

スロールの治世に山の下の王国は歌に歌われる大きな繁栄を迎えた。

王国は分家にあたるくろがね連山のドワーフと交易を結ぶと、魔力ある美しい品物に加え、優れた武器甲冑の類も生産する。

それによって早瀬川と赤水川の間に住む北国人の末裔は強大化した。

そうした人間達はドワーフの繁栄に引き付けられて早瀬川を遡り、はなれ山の膝下に谷間の国が築かれた。

さらにドワーフはからすが丘の大ガラスとも同盟を結び、遠方の報せを得ることができた。

ところが、この繁栄は再び灰色山脈の龍の耳に届き、当時の最大の龍であったスマウグを招き寄せることになってしまう。

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