第三紀 大いなる年、ペレンノール野の戦い -ロードオブザリング全史-

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ロードオブザリング
映画ロードオブザリングより引用

3019年3月12日 ミナス・モルグルから出撃した軍勢がオスギリアスを攻撃。渡河を防ぐことはできず、ファラミアの部隊は大きな被害を受けてオスギリアスから土手道砦に撤退。

ローハンの軍勢は白の山脈に沿って進軍し、ミン=リンモンで野営する。東ローハンに侵入した敵はエントによって撃退された。

フロドたちはゴクリに誘導されてシェロブの棲処に入る。

 

3019年3月13日 オスギリアスはさらなる攻撃を受けてランマス・エホール(ペレンノール野の防壁)が突破され、さらに北方からも敵が襲来し、その上恐るべき獣に乗ったナズグールが襲来する。

守備隊は敗走状態に陥り、モルドール軍の先鋒に全滅させられるかに見えたが、デネソールの繰り出したドル・アムロスの騎兵を中心とする救援部隊とガンダルフによって、生き残った守備隊は辛うじて救出される。

ファラミアも退却中に負傷。ハラドリムの矢を受けて高熱と昏睡状態となり、ミナスティリスに運び込まれる事態となる。

瀕死の息子を目にしたデネソールは、ようやく自分が心の奥底でファラミアを愛していることを悟った。

そして一人残った息子が瀕死に陥ったことで、さしもの強靭なデネソールの精神もついに挫ける。

デネソールは気力の弱った状態でパランティーアを使用し、サウロンに捻じ曲げられて実態以上に強大に見せかけられたモルドールの軍勢の映像を目撃して絶望、ついに狂気に陥った。

 

アラゴルンたちは港湾都市ペラルギアに到着。ペラルギアは50隻の大型船と数えきれないほど多くの小型船からなるモルドールの同盟軍(ウンバールの海賊)に攻撃されていたが、死者の軍勢のもたらした恐怖によって一掃され、艦隊はアラゴルン二世率いる灰色の一行に鹵獲された。

誓言を果たした死者たちは、その場でアラゴルンによって呪いから解放され、この世を去った。

海賊の艦隊を鹵獲したアラゴルン達は、それぞれの大型船にドゥーネダインを派遣して、鎖で繫がれていた奴隷の漕ぎ手達を解放し、モルドールと戦うために力を貸してもらうよう鼓舞する。

またペラルギアには、アングボールが連れてこられるだけの騎兵を引き連れてきたほか、「イシルドゥアの世継が現れた」という噂を聞きつけたレベンニンやエシアなどの、海賊の脅威が取り除かれた辺境の諸侯国から、続々と兵が集まってきた。

 

ローハンの軍勢はドルーアダンの森でドルーエダインの酋長ガン=ブリ=ガンの協力を得る。

石車谷の忘れられた道を使うことで待ち伏せを回避したため、ロヒアリムはモルドール軍の監視を逃れてミナス・ティリスに接近することに成功する。

 

トレヒ・ウンゴルの洞窟ではフロドに大蜘蛛シェロブが襲いかかり、またゴクリがホビットを裏切ってサムに襲いかかった。

フロドとサムはつらぬき丸とガラドリエルの玻璃瓶によってシェロブの糸と暗闇を突破したが、シェロブは突出して走っていたフロドに追いつき、彼の首に麻酔性の毒を注入して仮死状態に陥れる。

サムはゴクリを撃退し、フロドを助けに向かう。サムが駆けつけると、フロドは倒れ、シェロブの蜘蛛の糸にまかれているところだった。

サムワイズは右手の塚山出土の剣でシェロブの複眼の一つを刺し、さらに体の下に入り込んでつらぬき丸で深く斬り付ける。

シェロブはサムワイズを押しつぶそうと身を沈めたが、そのためにサムワイズが両手で構えたつらぬき丸の刃をより一層わが身に突き立てる結果となり、これまで受けたことのない深手を負わされた。

さらにサムワイズの掲げた玻璃瓶の光が傷口から体内に浸透したことで、完全に撃退された。これはかつてのベレンに匹敵するような勲であった。

冷たく横たわるフロドを見て主人は死んだものと信じたサムは、任務を続けるために一つの指輪をフロドの身体から引き取り、短期間ながらも指輪所持者となる。

だがフロドは仮死状態に陥っていただけであり、そのことがオークの言葉から判明すると、サムは単身キリス・ウンゴルの塔へフロドの救出に向かう。

企てが失敗したゴクリはモルドール国内で再び隠れ潜みながら二人を追跡することになる。

 

3019年3月14日 モルドール軍はペレンノールを完全に制圧し、ミナス・ティリス包囲を完成する。

ペレンノールにあった農家や農地は焼き払われ、地面には都からの矢が届かない位置に幾重にも塹壕が掘られて火で満たされ、その背後で攻城櫓と投石機が準備された。

ミナス・ティリス第一階層を守る城壁は非常に高く、ヌーメノールの技術によって作られていたため、これを超えて攻撃することも城壁を破壊することも不可能だとゴンドール人は考えていた。

だが、投石機より打ち込まれた弾丸は城壁を飛び越えて第一環状区に落下し、火を発して火災を発生させる。さらにモルドール軍は、戦死したゴンドール人の首をも城内に投げ込む。

その上恐るべき獣に乗って空を舞うナズグールの恐怖により、城内の兵士はすっかり戦意を喪失。さらにデネソール二世も白の塔に引きこもり、防衛の指揮を放棄していた。

ミナス・ティリスはゴンドールの領国であるドル・アムロスの領主、イムラヒルの指揮とガンダルフの鼓舞によって辛うじて防戦を続けるありさまであった。

夜にはアンドゥインに架橋したモルドール軍がさらに大挙してペレンノールへとなだれ込み、攻城櫓などを使って城壁への攻撃を繰り返す。

だが、モルドール軍の主目的は、突破不能な城壁にある唯一の弱点である、大門を攻撃することにあった。

 

その頃、サムは単身キリス・ウンゴルの塔に入り込むと、フロドのミスリルの胴着を奪い合って、オークの間で同士討ちが行われていた。

サムは同士討ちで死んだオークの死体の間を進み、自らもつらぬき丸でオークを倒して、フロドの救出に成功、フロドに指輪を返す。

しかし指輪の魔力はすでにサムワイズに作用し始めており、それ以上に強くフロドを囚らえていた。サムワイズは指輪をフロドに返却する段になってそれを痛感する。

それからふたりはオークの装束に身を包んで変装し、塔を脱出する。

 

ローハンの軍勢はペレンノール野に到着。

騎馬隊の突入に障壁となると思われたランマス・エホールはこれを奪取したモルドール軍によって破壊されており、その裂け目から突入することで迅速な展開が可能となった。

アラゴルン一行はペラルギアから、レベンニン、エシア、ラメドンなどの辺境の諸侯国の兵を積載してアンドゥインを遡り、合戦が行われているペレンノール野へ乗り入れるべくハルロンドへ向かった。

 

また、谷間の国と山の下の王国に対してもサウロンの同盟者である東夷がカルネン川を渡って侵攻してくる。

谷間の国の王ブランドは抵抗したものの押し戻され、谷間の国に撤退せざるを得なかった。

そこで谷間の国の人間とドワーフは協力して東夷を迎え撃つ。エレボールの山麓では激しい合戦が三昼夜に渡って行われた(谷間の国の合戦)。

 

3019年3月15日 破城槌グロンドと魔王の呪文によってミナス・ティリス大門の扉が破壊される。

こうして、かつて一度も敵に破られたことのない門をくぐって魔王がミナス・ティリスに入城を果たすが、その眼前に、飛蔭に乗ったガンダルフが立ちはだかる。

しかしこのとき、ローハン軍の到来を知らせる角笛が鳴り響いたため、魔王は身を翻して大門から立ち去った。

 

城内では、正気を失ったデネソールがファラミアと共に焼身自殺を図る。

これを阻もうとした城塞の近衛兵ベレゴンドは、デネソールの言いつけに従おうとする侍僕と衝突し、彼らを二人斬り殺してしまう。

さらにピピンから急事を知らされたガンダルフは、魔王を追ってペレンノール野の戦いに打って出ることを断念し、ファラミア救出を優先させる。

デネソールはパランティーアの秘密を明かして自由の民には希望など残されていないと示し、ガンダルフを自分から統治権と息子と臣下の全てを奪っていく者だと見なすと、執政の杖を折り、燃え盛る薪の上に身を横たえて命を絶った。

デネソールはアノールのパランティーアを抱えたまま焼身自殺し、以後この石は非常に強い意志の持ち主によらなければ、火の中で焼けて萎びていく老人の手しか映らなくなったという。

 

ローハン軍は不意に訪れた曙光と共に角笛を吹き鳴らしてペレンノールに到達。

エオメルは中央を、エルフヘルムは右翼を、グリムボルドは左翼の軍団をそれぞれ指揮して進む。

だが常に彼らの先頭にいたのはセオデンで、その雄々しき姿はオロメのようにも見えたというほどであり、士気の高揚したロヒアリムは、狼狽するモルドール軍の中へと歌を歌いながら突進していき、ペレンノール野を縦横無尽に蹂躙した。

ローハン軍はペレンノール野の北半分近くを席巻し、敵を駆逐したが、包囲の環を破るには至らず、ハラドリムの騎兵からなる主力部隊も迫ってきていた。

王の守りが手薄なことを見て取ったハラドリムの指揮官と、かれらの接近に気付いたセオデンとは猛然と激突し、セオデンは多勢に無勢ながら敵陣を打ち破って指揮官の黒い蛇を討ち取り、さらに敵の旗印を旗手もろとも一刀両断にして勝利を収めた。

 

だがこのとき、大門から姿を消した魔王が恐るべき獣に乗って空より現れ、その恐怖によってロヒアリムとその馬たちは動揺して散り散りとなる。

セオデンは自らの許に部隊を集結させようと試みたが、乗馬の雪の鬣が矢を受けて倒れたためその下敷きとなり、瀕死の重傷を負った。

セオデンが倒れ、魔王が手にかけようと舞い降りてきた時、セオデンの共回りは全て打ち倒されるか恐怖に駆られた馬によって運び去られていたが、ただ一人デルンヘルムだけは馬を下りて踏みとどまり、魔王を阻む。

そして「生き身の人間の男にはおれの邪魔立てはできぬわ!」という魔王の言葉に応え、自らの正体をエオウィンだと明かして立ち向かった。

エオウィンは、魔王の乗る怪鳥の首を一刀のもとに切り落として魔王自身と対したが、魔王の放った黒い矛(メイス)の一撃で盾を左腕の骨ごと打ち砕かれてしまう。

しかしエオウィンが自らの正体を明かしたことで、恐怖に打たれてうずくまっていたメリーが勇気を取り戻し、背後から魔王の膝の裏を塚山出土の剣で突き刺す。

塚山出土の剣の一撃は魔王に致命的な打撃を与え、魔王の肉体を不滅にしていた呪魔を打ち破った。

エオウィンは最後の力をふりしぼって鉄の王冠と広い肩の間の何もない空洞に剣を突き刺して、魔王にとどめを刺す。

かくして「人間の男の手では討たれぬだろう」とグロールフィンデルがかつて予言した魔王に滅びがもたらされ、エオウィンは偉大な勲を勝ち得た。

 

今際のセオデンは、メリーやエオメルらが看取る中(自分のすぐそばにエオウィンが倒れていることを知らないまま)、エオメルに王位を譲り、かれらに別れの言葉を告げて死んだ。

ローハン軍の指揮はエオメルに引き継がれたが、彼は倒れた王の供回りの中に、本来ならいるはずのない妹エオウィンの姿を見つけ、激昂。

魔王に打撃を与えたために黒の息に冒され、一見すると死んだようになっている彼女の姿を見て衝撃と激怒に駆られたエオメルは、周囲の意見も聞かずロヒアリムの全軍に進撃を命じて「死だ!」と叫び、敵中へと突進していった。

さらに破壊された大門から、イムラヒルが率いるミナス・ティリス城内の援軍がやってくる。

恐るべき怒りに駆られたロヒアリムの軍勢は敵軍の前線を潰滅させ、ハラドリムの軍勢を二分して通り過ぎ、騎兵を敗走させ歩兵を全滅させるなどすさまじい戦いぶりを示したが、ムマキルの恐怖に対しては馬は無力で打ちかかることができず、ムマキルの周囲に敵軍が再集結しつつあった。

さらにモルグルの副官ゴスモグが、オスギリアスに待機させていた東夷、ヴァリアグ、ハラドリムなどの援軍をペレンノールに投入してきた。

これらの軍勢によってロヒアリムは行く手を阻まれ、ゴンドール軍との合流も防がれようとしていた。そしてハルロンドには海賊の艦隊が停泊しようとしていた。

それを見て取って望みを失ったエオメルは、むしろ覚悟を決めて明晰さを取り戻し、沸き起こる戦意のために悲壮な詩句を口ずさんで笑う。

 

新手の敵の出現にゴンドールとローハンの軍勢は恐慌状態に陥り、逆にモルドールの軍勢は歓声を上げた。

だが海賊の船から降り立ったのはアラゴルンら灰色の一行と、ゴンドール南方領国からやって来た援軍だった。

この援軍が決定打となって合戦の流れは変わり、ハルロンドに向かって南に進むローハン軍、ハルロンドに接岸して次々と上陸し北上する灰色の一行と諸侯国の兵たち、イムラヒルが率いて東進するミナス・ティリスの軍勢に挟撃され、モルドールの軍勢はムマキルにいたるまで全滅。

モルドールとその同盟軍は殺されるか、逃げようとアンドゥインに飛び込んで溺れ死ぬかして、逃げ延びることができたものはほとんどいなかった。

だが、ナズグールの中で打ち倒されたのは魔王だけであった。そしてゴンドールとローハン軍にも多大な被害が出た。

合戦の戦死者たちはムンドブルグの塚山に葬られ、後にローハンの詩人はムンドブルグの塚山の歌を作った。

 

救出されたファラミアは療病院に運ばれ、魔王を刺したエオウィン、メリーも運ばれてくる。

そこでかれらはナズグルの黒の息に冒されていることが明らかとなり、アラゴルン二世によりアセラスを用いた治療を受けた。

このときアラゴルンは緑の石を身につけていたため、エルフの石の殿(エレスサール)と呼ばれるようになる。

また「王の手は癒やしの手」の伝承から、王がゴンドールに戻ってきたという噂がミナス・ティリスに広がり、ゴンドール人が王の帰還を自然と受け入れる大きな理由のひとつともなった。

 

サウロンはゴンドールと共にスランドゥイルの王国やロスローリエンも同時攻撃していた。

しかしスランドゥイルは勝利を収めてドル・グルドゥア軍を撃退し(闇の森樹下の合戦)、ロスローリエンも攻撃を退ける。

事態がことごとく自らの不利に働き出したことから、サウロンはイシルドゥアの世継あるいは彼に近しい者が一つの指輪を手にしたのではないかとの疑念を強くする。

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