アマンに撤退したヴァラールは、ペローリの山脈を作ってメルコールに対する防壁とする一方、ヴァリノールに自分たちの都ヴァルマールを作りました。
そこでヤヴァンナが歌うと銀の木テルペリオンと金の木ラウレリンという二つの木が育って光り輝きはじめました。
しかし二つの木の光は中つ国には届くことはなく、中つ国は暗闇に包まれたままでした。
中つ国ではメルコールが周囲にバルログ達を集め、鉄山脈の西の外れにはヴァラールの攻撃に対する備えとしてアングバンドを築いてサウロンをその守りにあたらせます。
そして変節させた悪霊や怪物達を放ち、アルダを侵食していきました。
一方アウレは中つ国が空虚なまま打ち捨てられていることに心を懸けるあまり、独断でドワーフの七人の父祖を作り世に送り出そうとします。
だがそれは直ちにイルーヴァタールに見とがめられ、その真意を問いただされると、アウレは涙を流し大きな槌でドワーフの父祖らを叩き壊そうとします。
しかしドワーフの父祖たちが身をすくめて恐れ、慈悲を乞う様子を見せたのを目にしたイルーヴァタールは、すでにドワーフがかれら自身の命を持っていることをアウレに告げ、アウレを赦し、ドワーフの存在を認めます。
そこでアウレは父祖らを中つ国に連れて行って眠らせ、かくしてドワーフはエルフの次に中つ国に誕生することになります。
アウレがドワーフを創ったことを知ったヤヴァンナは、彼らが(そして人間やエルフも)植物を傷つけるようになると懸念し、マンウェに相談します。
するとその時イルーヴァタールの啓示が下り、やがて植物を守護する木の牧人であるエントが生まれることとなりました。
その後ヴァラールは中つ国にエルフが生まれることを予見し、会議を開きます。
星々の女王ヴァルダはエルフが中つ国の闇の中に生まれないようにと、空にテルペリオンの雫から新しい星々を創り、古い星々で印となる星座を作ります。
これはヴァラールがアルダに入って以来成した仕事のうち、最大のものでした。
ヴァルダは最後にメルコールへの挑戦として北にヴァラールの鎌(北斗七星)をはめ込んで、星づくりの仕事を終えると共に、クイヴィエーネンという地のほとりにエルフが目覚めました。
しかし警戒怠りないメルコールは、目覚めたエルフの存在を真っ先に察知し、エルフを捕えていきます。
捕らわれたエルフ達はメルコールの緩慢かつ残忍な術によって心身共に捻じ曲げられ、かくしておぞましいオーク族が作り出されたのだと考えられています。
中つ国でメルコールの生み出した怪物を狩りたてていた狩人オロメはエルフが直面している危険を他のヴァラールに知らせます。
そしてヴァラールはエルフのためにメルコールとの戦争に赴きました(力の戦い)
中つ国北西部で開かれた緒戦でヴァラールは速やかに勝利を収め、当時サウロンが統治していたアングバンドは陥落。
そしてヴァラールはウトゥムノを包囲し、メルコールはトゥルカスによって倒されて、ウトゥムノは破壊されました。
メルコールは、ヴァリノールに手かせ足かせをはめられた状態で連れて行かれて、三紀の間運命を司るヴァラール、マンドスの館に留まるとの判決を下されました。
そしてヴァラールは、アマンでともに住むように中つ国からエルフを召喚すると決めます。
ヴァンヤール族のイングウェ、ノルドール族のフィンウェ、テレリ族のエルウェをエルフの各氏族代表としてエルフのアマンへの大いなる旅が始まります。
しかしエルフ達も中つ国を愛する気持ちが強く、旅を続けることを拒んで現地に留まった者や招致を拒んで旅に出なかったエルフもいました。
アマンへ到達し二つの木の光の見たエルフを光のエルフ、中つ国に留まったままついに二つの木の光を見なかったエルフは暗闇のエルフと呼ばれるようになりました。
その旅の道中、テレリ族のエルウェはマイアのメリアンに出会い恋に落ちます。
二人はドリアスに居を定め、エルウェはシンゴルの名で知られるようになります。
シンゴルとメリアンの間には中つ国のあらゆる者の中で、最も美しい存在といわれたルーシエンが生まれました。
一方アマンに到達したノルドール族の中ではノルドール族の史上もっとも技芸に優れた者と言われるフェアノールが生まれました。
フェアノールは7人の息子を生みます。丈高きマイズロス、偉大なる伶人マグロール、金髪のケレゴルム、黒髪のカランシア、巧みのクルフィン、双子のアムロドとアムラスという7人です。
そしてフェアノールはシルマリルという三つの大宝玉を作り上げます。
シルマリルはフェアノールの最高傑作であり、二つの木(テルペリオンとラウレリン)の生きた光が不滅のものとなって込められていました。
そんな中、メルコールは三期の刑期が過ぎた後、許しを請うてアルダの傷を癒すことを誓い釈放されます。
マンウェはこれでメルコールの悪は矯正されたと考えましたが、彼は内心では妬みと憎しみをますます募らせていました。
メルコールは知識を求めるノルドールに接近し、虚言を蒔いてヴァラールから引き離そうと腐心し、さらにフェアノールと弟のフィンゴルフィンの対立を煽る風説を流します。
さらにシルマリルの輝きを目にしたメルコールは世の何よりもシルマリルを渇望します。
身を焦がすようなその欲望に駆られたメルコールは、何としてもフェアノールを滅ぼし、ヴァラールとエルフを離間させようと工作に精を出すようになります。
そして遂にフェアノールがヴァラールへの叛逆と中つ国への帰還の意志を公然と口にし、調停のための席上でもフェアノールがフィンゴルフィンに剣を向ける事件が発生。
フェアノールは審判の輪に召し出されてヴァラールの前で証言することになりましたが、この調査によりメルコールの悪意が明らかとなります。
さらに同族に剣を向けて平和を乱した罪により謹慎中であったフェアノールのもとに、突然メルコールが来訪。
メルコールはさらなるヴァラールへの反抗を促そうとしましたが、フェアノールは友情を装う彼の仮面の裏にシルマリルへの抑えがたい渇望があることを見抜き、メルコールを追い払います。
追い払われたメルコールはヴァラールの追跡を案じて逃亡。
逃亡したメルコールは闇の大蜘蛛ウンゴリアントの元を訪れます。
そしてメルコールは「協力するならお前の飢えを癒やすどんなものでも与える」と空約束をし、アマンを襲う計画を練ります。
一方アマンではノルドールの間にある不和を取り除こうと祝宴が開かれました。
フェアノールは渋々ながら出席し、その席上でフィンゴルフィンが誓った「兄(フェアノール)を赦し、一切の不満を忘れて、彼が先に立って導くなら自分はその後についていく」という言葉を一応は受け入れ、手を取って和解します。
しかし祝宴の間、無人となった都をメルコールとウンゴリアントが急襲。
メルコールとウンゴリアントは二つの木の前に来ると、メルコールが黒い槍で二つの木を髄まで刺し貫き、ウンゴリアントは二つの木の傷口に口を当て樹液を一滴残らず飲み干します。
ウンゴリアントの体内にある致死の猛毒が木に入って二つの木は枯死しました。
ウンゴリアントはさらにヴァルダの泉をも飲み干すと見るもおぞましい巨大な姿に膨れ上がり、黒い煙霧を吹き出します。
こうしてアマンにはそれまでになかった恐るべき暗闇が招来します。
ヤヴァンナは、シルマリルに保存された光を取り出せば二つの木を蘇生させることができると訴えましたが、フェアノールはシルマリルを引き渡すことを拒否します。
さらにメルコールとウンゴリアントはフェアノールの父、フィンウェを殺害。シルマリルを奪い取ります。
それを知ったフェアノールがメルコールのことをモルゴスと呼び、以後はその名で呼ばれるようになります。
フェアノールは、ノルドール族を前に大演説を行い、モルゴスへの復讐とシルマリルの奪還を訴え、ヴァラールの束縛から逃れて自由を得るために中つ国へと帰還するよう扇動します。
さらにフェアノールと彼の七人の息子たちは、相手が誰であろうとシルマリルを持つ者を、復讐と憎悪をもって追跡するという誓言を立てます(フェアノールの誓言)
フェアノールはテレリ族を説得して彼らの船で大海を渡ろうと考えますが、説得に失敗。
そこでフェアノールは自らの軍勢を集めて力ずくで船を奪い取ろうとし、それを阻止しようとするテレリとの戦闘に発展。これがエルフによる最初の同族殺害となります。
双方に多数の死者を出した末に、装備に勝るノルドール軍が勝利を収め、テレリの船は強奪されました。
一方中つ国へと逃亡したモルゴス。
二つの木の樹液とヴァルダの泉を飲み干して巨大に膨れ上がったウンゴリアントは逃走後にもメルコールにノルドールの宝石を要求してそれらをすべて喰らい、さらに強大になってしまいました。
そしてウンゴリアントはシルマリルをも要求しますが、これはメルコールが拒んだため、怒ったウンゴリアントはモルゴスを糸にかけて息の根を止めようとします。
この時メルコールは恐ろしい叫び声をあげ、その声に呼び起こされてアングバンドからバルログたちが到来。
バルログたちは火の鞭で糸を切り裂いてメルコールを救出し、ウンゴリアントは煙幕を吐いて逃走します。
その後ウンゴリアントは蜘蛛の姿の怪物たちと番い、かつ彼らを喰らって子を残しましたが(シェロブや闇の森の蜘蛛はその末裔に当たる)、やがて忘れられた南の地へ去りました。
その後のウンゴリアントについて伝える物語はありませんが、飢えた極みに自分自身を喰ってしまったとも言われています。
アマンでは同族殺害を犯したノルドールがヴァリノールから追放され、マンドスの予言と言われる恐ろしい運命を予言されます。
しかしフェアノールと息子たちはあくまで進軍を取りやめようとしませんでした。
ヴァラールは世界に光を取り戻すため、太陽と月の創造を行います。
金の木ラウレリンが最後に生じさせた黄金の果実をヤヴァンナが摘み取り、マンウェが聖め、アウレとその一族が作った入れ物に収められた太陽の船は、マイエのアリエンによって導かれることになりました。
銀の木テルペリオンが最後に生じさせた銀の花から作られた月はマイアのティリオンによって舵が取られることになりました。
中つ国のアングバンドに戻ったモルゴスはベレリアンド(中つ国北西部一帯)を奪取するため、中つ国に残ったエルフ族を急襲。
ベレリアンド第一の合戦が始まります。
主にモルゴスに対したのはシンゴルと中つ国に残ったテレリ族のリーダーだったキーアダンでした。
シンゴルは生存者を出来る限り集めて退却し、メリアンが防衛のためにシンゴルの王国の周りに魔法帯をめぐらせ、以後この王国はドリアスと呼ばれるようになります。
キーアダンはオークの軍勢に敗北して海岸際まで追いやられ、ファラスの港で包囲されました。
その頃中つ国に進軍しようとしていたフェアノール率いるノルドール族はヘルカラクセと呼ばれる数多の氷山がひしめきぶつかり合う恐ろしい海に到着します。
しかしヘルカラクセを横断して一度に中つ国に向かうには船の数が少なく、かといって船を使わずにヘルカラクセを横断することは無謀なことでした。
そこでフェアノールは、自らに忠実な者だけを先に船に乗せて船出し、弟のフィンゴルフィン達を置き去りにします。
中つ国に上陸したフェアノールは、船を返すことをせずに燃やし、フィンゴルフィンは船が燃える赤々とした光を見て兄が自分を裏切ったことを知ります。
フェアノールと彼の息子たちの一党は中つ国に到着し野営を行いますが、焼かれた船の明かりを見て警戒していたモルゴスの軍勢が、まだ設営の十分に整っていないフェアノールの陣地を急襲し、星空の下のミスリムの野で合戦が始まりました。
この合戦はまだ太陽や月が昇る前の戦いだったことから、ダゴール=ヌイン=ギリアス(星々の下の合戦、ベレリアンド第二の合戦)と呼ばれました。
フェアノールらノルドール側は数に劣り、不意をつかれたにも関わらず速やかに勝利を収め、敗走するモルゴス軍を追撃。
さらにベレリアンド最初の合戦でキーアダンを包囲していたモルゴス軍が援軍にきた際もケレゴルムがこの動きを察知し、奇襲をかけて壊滅に追い込みます。
合戦は十日間に及び、モルゴスの軍勢に甚大な損害を与えましたが、フェアノールは憤怒にかられて突出し単独で孤立。
包囲され、バルログの首領ゴスモグに襲われて致命傷を負います。
その後追いついた息子たちによって救出された後、モルゴスの名を三度罵り、息子たちに誓言の死守と父の仇を討つことを託して死にました。
フェアノールが死んだ後、モルゴスの使者が来て偽りの休戦交渉を持ちかけ、シルマリルの一つを引き渡してもよいと言ってきました。
マイズロスは弟たちを説得し、十分に警戒して交渉の場に赴きましたが、モルゴス側の使者にはバルログまでおり、マイズロスは生きたまま人質としてアングバンドに捕らえられてしまいます。
モルゴスはフェアノールの息子たちに戦いを放棄してベレリアンドを去るよう要求。
しかしマイズロスの弟たちは自分たちがどのように行動しようとモルゴスがマイズロスを釈放することはなく、また誓言に縛られている以上戦いを放棄することも出来ないことを知っていました。
そこでモルゴスは、マイズロスをサンゴロドリムの絶壁から右手に枷を嵌めて吊り下げます。
合戦後、月が初めて世界に昇りました。
そして初めて昇った月に全世界が驚嘆していた頃、フィンゴルフィンの一党が艱難辛苦の末にヘルカラクセを渡って進軍してきます。
月の出現は中つ国のエルフにとっては大きな喜びでしたが、モルゴスとその配下にとっては大きな脅威でした。
そのためモルゴスは月の舵を取るマイア、ティリオンに、影の精たちを差し向けたが撃退されました。
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