第一紀のあらすじ -ロードオブザリングあらすじ-

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ロードオブザリング
シルマリルの物語より引用

月に続いて太陽が天に昇り、太陽の第一紀が始まります。

モルゴスは太陽の船を導くアリエンのことを非常に恐れ、為す術がありませんでした。

彼は自分と自分の召使いたちを暗闇で覆って陽光から身を隠すようになり、モルゴス自身はますます地面から離れられず、暗い砦の奥に篭もるようになります。

 

太陽が昇ると共に、人間が目覚めました。そのため人間は太陽の子とも呼ばれます。

しかしこのこともまた、直ちにモルゴスの知るところとなり、モルゴスは人間を誘惑し堕落させていきました。

 

フィンゴルフィンと共に中つ国に到達した長男のフィンゴンは単身マイズロスの救出へ向かいます。

フィンゴンと鷲の王ソロンドールによりマイズロスは救出され、生還したマイズロスはヘルカラクセ横断前に置き去りにした裏切り行為を謝罪してノルドールの王権を放棄。

このため上級王位はフィンゴルフィンに渡ることになり、ノルドールは再び団結しました。

 

その後トゥアゴン(フィンゴルフィンの次男)とフィンロド(フィンゴルフィンの弟フィナルフィンの長男)にウルモから隠れ都市を作るようにという夢の啓示があり、トゥアゴンはゴンドリン、フィンロドはナルゴスロンドという要塞都市の造営を開始します。

そんな中、モルゴスはノルドールの軍事力を試そうとしてベレリアンド第三の合戦が行われます。

この合戦はノルドール側の圧勝に終わったため、ダゴール・アグラレブ(赫々たる勝利の合戦)と呼ばれました。

しかしノルドールの公子たちはモルゴスの脅威を再認識し、彼に対する包囲を強化。こうして400年近く続くアングバンドの包囲が始まります。

包囲の間も完全に戦いが終息することはありませんでしたが、ノルドールの武勇と警戒によってモルゴスの勢力の大規模な伸長が阻まれていたのは確かで、その間ベレリアンドおよび中つ国の東方の地は比較的平穏を享受することができました。

 

アングバンド包囲の最中には龍の祖グラウルングが初めてアングバンドの城門から出撃し、アルド=ガレンを蹂躙するという事件が起こりました。

グラウルングは口から炎を吐くと共に、邪言と邪眼による強力な呪縛の力を持っていました。

しかしこの時のグラウルングは成長しきっておらず、フィンゴンの率いる騎乗弓兵がグラウルングをアングバンドに追い返しました。

 

グラウルングが撃退された後はほぼ二百年に渡り、長い平和(Long Peace)と呼ばれる時代が続き、この時代にエルフと人間の交流が始まります。

モルゴスを敵としエルフの友となった人間はエダインと呼ばれ、ベオル族、ハレス族、マラハ族の三家系がベレリアンドへ到来し、エルフと親しくなります。

 

しかしモルゴスが仕掛けたベレリアンド第四の合戦、ダゴール・ブラゴルラハ(俄に焰流るる合戦(Battle of Sudden Flame)によりアングバンド包囲は破られることとなります。

鉄山脈が噴火し火の川が流れ下って山腹の森を焼き尽くすと、その後にグラウルングとバルログたち、そしておびただしい数のオークの大軍が出撃してきました。

フェアノールの息子達もほとんどが領地を失い、土地を失ったエルフ達は唯一持ちこたえたマイズロスの国やドリアス、ナルゴスロンド、ゴンドリンなどに逃れることとなりました。

 

ベレリアンドの惨状と一連の敗北の知らせに逆上したフィンゴルフィンは単身アングバンドの城門まで乗馬ロハルロールで駆け、モルゴスを臆病者と罵って一騎討ちを挑みます。

モルゴスは何度もフィンゴルフィンに打ちかかりますがその度に素早く躱され、逆に7度斬りつけられ傷を負わされます。

しかしフィンゴルフィンは徐々に疲弊してゆき、最後はモルゴスに首をへし折られてしまいます。

死の間際、フィンゴルフィンは死力を振り絞り、愛剣リンギルでモルゴスの足を深く突き刺します。

戦争におけるモルゴスの勝利は大きかったですが、彼自身が負った傷はこの後も癒えることはなく、モルゴスは以後片足を引き摺るようになり、ますますアングバンドに引きこもるようになります。

 

その後ダゴール・ブラゴルラハで土地を失ったベオルの族の生き残りからベレンが頭角を現します。

仲間を失ったベレンは放浪する孤独な無宿者として4年もの間一人で戦い続け、その勲はベレリアンド中に広まります。

そのためサウロンの追跡を受けることになったベレンは人間が誰一人足を踏み入れたことがないドリアスに行ってみることを思いつき、そこでルーシエンに出会います。

ベレンとルーシエンは愛し合うようになりましたが、人間を蔑視していたルーシエンの父シンゴルは激怒。

ベレンに対してルーシエンと結ばれたくばシルマリルの一つをモルゴスから奪ってくるようにと難題を課します。

 

ベレンとルーシエンは猟犬フアンと共にアングバンドに潜入。

マイアの血筋の力を発揮したルーシエンの力によってモルゴスを眠らせて、その隙にシルマリルを奪還。

しかし逃走する二人の前に史上最強の狼、カルハロスが立ちはだかります。

ベレンは聖なる光が怪物を怯ませることを期待して取り戻したシルマリルを突き出したものの、カルハロスは貪欲さに駆られてベレンの右手ごとシルマリルを噛み切って飲み込み、その光に焼かれて狂乱して走り去ります。

かくして難題の成就はなり、シンゴルは二人の仲を認めてベレンとルーシエンは婚約を果たしましたが、シルマリルを飲み込んで体内を焼かれ、狂乱したカルハロスがベレリアンドを襲います。

カルハロスは魔法帯を突破してドリアスに入り込んだため狼狩りが組織され、フアンとカルハロスが激闘の末に相討ち。

ベレンはカルハロスの腹から取り出したシルマリルをシンゴルに捧げ、ここに真の難題の成就がなされたのです。

 

そしてベレンとルーシエンの功業に勇気づけられたマイズロスはモルゴスが必ずしも難攻不落ではないことを知って希望を取り戻します。

そこでマイズロスの連合と呼ばれる提唱を行い、モルゴスに敵対するすべての勢力を糾合してアングバンド攻略の連合軍を形成。

ナルゴスロンドとドリアスからはほとんど助力を受けられなかったものの、不完全ながら全ベレリアンドの賛同を得たマイズロス連合は各地で一斉に蜂起してモルゴスの軍勢を北方から一掃。

そして糾合しうるかぎりの戦力を集め終えたマイズロスは、東からマイズロスの軍勢が、西からフィンゴンの軍勢がアングバンドを挟撃することに決めました。

ニアナイス・アルノイディアド(涙尽きざる合戦(Battle of Unnumbered Tears)、べレリアンド第五の合戦)です。

しかし、挟撃の計画を看破していたモルゴスは偽報で連合軍の連携を阻むと共に、間者として送り込んでいた東夷を裏切らせ、連合軍は大敗。

フィンゴンの王国は滅亡し、ベレリアンドに安全な場所はもうほとんど無くなりました。

 

フィンゴンが戦死したため、ノルドールの上級王はトゥアゴンになりました。

そしてモルゴスはこのトゥアゴンも滅ぼしたいと願い、ニアナイス・アルノイディアドで捕らえたフーリンに尋問を行います。

彼がトゥアゴンと親しいことを間者を通じて知っていたモルゴスはフーリンを脅しますがフーリンは屈せず、モルゴスはフーリン一家に災いと絶望と死、そして何処へ行っても破滅をもたらすという呪いを吐きかけます。

フーリンの息子トゥーリンは各地でモルゴスの手下を破る活躍をするものの、フーリンにかけられた呪いの影響で行く先々で関わる人々を不幸に巻き込んでいきます。

親友であったベレグ・クーサリオンを勘違いにより自らの手で殺してしまい、ナルゴスロンドに辿り着いた後も武勇で名を轟かせたことで、ナルゴスロンドの所在がモルゴスに知られてしまい、ナルゴスロンドの滅亡を招くことになります。

トゥーリンはナルゴスロンドを陥落させたグラウルングを自らの手で打ち倒したものの、彼が愛していたニーニエルが実はグラウルングの忘却の呪いによって記憶を失っていた実の妹だったと知ります。

死に際に呪いを解いたことで記憶を取り戻したニーニエルはトゥーリンの子を胎内に宿したまま崖から身を投げて自殺。

そしてトゥーリンも自らの剣を地面に突き立て、切っ先に身を投じて自殺しました。

 

しかしトゥーリンが死んでもまだモルゴスの悪意は満足せず、フーリンに息子トゥーリンの運命をモルゴスの眼を通じて見せつけた後に「何処へでも好きなところに行って良い」と解放します。

モルゴスはこの行為を、打ちのめされた敵に対しての、寛容さによるもののように装いましたが、彼の目的は、フーリンへのさらなる悪意のためでした。

解放されたフーリンは再びゴンドリンに行くことを望み、モルゴスにゴンドリンのおおよその位置を知らせてしまうことになります。

その後フーリンは廃墟となったナルゴスロンドからナウグラミーアという首飾りを持ち出してドリアスへ向かい、シンゴルへ贈ります。

シンゴルはナウグラミーアにシルマリルを填めることを思いつき、ドワーフの職人に作業を依頼します。

しかしシルマリルの輝きに魅せられたドワーフ達はシンゴルに対して首飾りを自分たちに引き渡すよう要求。

シンゴルはそれに対しドワーフ達を侮辱して断ると、ドワーフ達はシンゴルを殺し、さらにドワーフの仲間がドリアスに対して進軍してきます。

シンゴルを失った悲しみからメリアンも中つ国を去り、魔法帯も消滅。

これによりドワーフの侵攻を易々と許してしまい、ドリアスは滅亡しました。

エルフとドワーフの確執はこの時から始まったのです。

 

ドワーフが奪ったシルマリルを取り返したのはベレンと息子のディオルでした。ディオルはシンゴルの後を継ぎ、ドリアスの復興に努めます。

しかしディオルがシルマリルを身に帯びているという噂はフェアノールの息子たちの耳にも入り、恐ろしいフェアノールの誓言が、再びその効力を発揮します。

フェアノールの息子たちはディオルに対してシルマリルを引き渡すよう要求します。

ディオルは無視を貫きますが、ケレゴルムは兄弟たちを煽動しドリアスを奇襲攻撃。二度目の同族殺害が行われます。

この戦いでフェアノールの息子たちの内ケレゴルム、クルフィン、カランシアが戦死し、ディオルも戦死。

こうしてディオルの下で復興しようとしていたドリアスも完全に滅亡しました。

 

ナルゴスロンド、ドリアスが滅亡し、モルゴスの目は最後に残った王国であるゴンドリンに向けられます。

そしてついにモルゴスはバルログ、オーク、狼、そしてグラウルングの血を引く竜たちを差し向け、ゴンドリンは望みなきまでに包囲されました。

ゴンドリン側は泉のエクセリオンがバルログを3体打ち倒した上にバルログの首領ゴスモグと相討つなど奮戦するも陥落し、トゥアゴン王も壮絶に戦死。

そんな中で生き残ったのがフーリンの弟フオルの息子トゥオルでした。

トゥオルはバルログ5体を打ち倒して包囲網を突破すると息子のエアレンディルと共に脱出し、キーアダンが治めるシリオンの港へ避難します。

そこにはドリアスの生き残りもおり、エアレンディルはディオルからシルマリル受け継いでいたディオルの娘エルウィングと出会い二人は結婚します。

これが人間とエルフによる二度目の結婚となりました。

 

エアレンディルはヴァラールに中つ国のエルフと人間に対する助力と憐れみを請うため、アマンに向けて航海を行います。

しかしアマンには辿り着くことができず、エアレンディルが不在の間にフェアノールの息子たちがまたもや誓言に突き動かされ、シリオンを襲撃します。

三度目の同族殺害が行われ、フェアノールの息子たちのうちアムルドとアムラスが戦死。

エルウィングはシルマリルを抱えて海に身を投げました。

しかし海に身を投げたエルウィングはウルモの力によって救われ、白い鳥の姿となって、シルマリルを持ったままエアレンディルの船であるヴィンギロトに辿り着き、元の姿に戻ります。

 

エアレンディルとエルウィングはシルマリルを掲げ、改めて西方への航海を再開し、シルマリルの力に守られて遂にアマンに到達します。

エアレンディルの願いは聞き入れられましたが、彼が再び中つ国に戻ることは許されず、半エルフである彼と妻のエルウィング、そして二人の息子であるエルロンドとエルロスは、エルフと人間いずれの種族に属するかの選択を迫られます。

エアレンディルは本心では父方の人間寄りでしたが、選択をエルウィングに委ね、エルフの運命を選んだ彼女に自分の運命を共にします。

またエルロンドはエルフを、エルロスは人間の運命を選びました。

 

そしてヴィンギロトは天空を航行する船となり、額にシルマリルを結びつけたエアレンディルはそれに乗って空の彼方、はるか虚空へまでも航海することになりました。

シルマリルの光は、中つ国のエルフや人間への希望の星として空に輝くようになります。

中つ国では、ヴィンギロトが虚空に向かうときと虚空から帰ってくるとき、つまり明け方と宵の時間に空に見ることができ、我々の世界で「明けの明星」「宵の明星」として知られているのが、エアレンディルの星です。

 

エアレンディルの嘆願に応じたヴァラールの軍勢がベレリアンドに上陸し、怒りの戦いが始まります。

ヴァラールの軍勢はマイアのエオンウェを総大将とし、ヴァンヤール族とフィナルフィンに率いられたアマンのノルドール族などがこれに同行します。

モルゴスは全兵力を動員してこれを迎え撃ちましたが、オークもバルログも少数を残して殲滅されました。

モルゴスは最後の反撃として史上最強の黒竜アンカラゴンを筆頭とする有翼の龍族を繰り出し、これはヴァラールの軍勢を一時押し戻すほどの猛威を振るいましたが、そこにヴィンギロトに乗ったエアレンディルとソロンドールが率いる大鳥たちが到来。

両陣営は一昼夜空中戦を繰り広げ、日の出前にエアレンディルがアンカラゴンを討ち取ったことで勝敗が決しました。

アングバンドは徹底的に破壊され、地の底に逃げていたモルゴスも捕らえられて再びアンガイノールの鎖で縛られ、夜の扉から虚空へ放逐されます。

こうしてモルゴスの王国は滅び、大勢の奴隷が地下の牢獄から解放されました。

 

その後エオンウェはシルマリルに対するフェアノールの息子たちの権利は度重なる同族殺害で失効したと述べ、ヴァリノールに戻ってヴァラールの裁きを受けるようマイズロスとマグロールに命じます。

しかしマイズロスとマグロールは夜半にヴァリノールの軍勢の陣営を襲って見張りを殺し、保管されていたシルマリルを奪って逃走。

だがエオンウェの言葉通り、シルマリルはもはや兄弟を正当な持ち主とは認めず、その身を焼きます。

これを悟ったマイズロスは苦悶と絶望のあまりシルマリルを抱いたまま大地の火の割れ目に身を投じて死亡。

マグロールはシルマリルを海中に投じた後、海辺をさまよいながら苦しみと悔恨の歌を歌い続け、二度と戻ることはありませんでした。

 

そしてヴァラールの側に立って戦った人間であるエダインには、報償としてヌーメノールの島が与えられました。

こうして中つ国の第一紀は終わりますが、モルゴスの蒔いた邪悪な種子は中つ国に残り続けて後世に禍根を残します。

そして最強の召使サウロンはモルゴスの跡を継いで冥王となり、再び中つ国に暗闇を広げることになります。

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