第二紀のあらすじ -ロードオブザリングあらすじ-

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ロードオブザリング
シルマリルの物語より引用

怒りの戦いでベレリアンドの大部分は崩壊しましたが、崩壊を免れたリンドンという地にフィンゴンの息子でノルドール上級王の地位を受け継いだギルガラドとキーアダン、そしてエルロンドが灰色港を創建し統治します。

またエダインはヌーメノールへ渡り、人間の運命を選んだエルロンドの弟、エルロスがヌーメノールの初代国王となりました。

ヴァラールはヌーメノール人がヌーメノールの沿岸が見えなくなるほど大海を西に航海するのを禁じます。これをヴァラールの禁と呼びます。

マンウェはこれによって、至福の国(アマン)を求めたいという誘惑からヌーメノール人を守り、物が朽ちる事なき不死の国とエルダールを見て、人間が不死を望むことを阻止しようとしたのです。

 

また中つ国に留まったノルドールによってエレギオンが創建されます。フェアノールの五男クルフィンの息子ケレブリンボールがその領主となります。

ケレブリンボールは職人集団グワイス=イ=ミーアダインの一員として、上古の記憶を保ち、荒廃した中つ国を癒やすという大望を抱いて多くの仕事をこなしました。

 

そんな中サウロンが再び中つ国で活動を始め、強大となりゆくヌーメノールの力に対抗するために拠点とすべき地にモルドールを選んでバラド=ドゥーアを築城し始めます。

そしてサウロンは非常に美しい姿を取って、言葉巧みにエレギオンの職人集団に近付きます。

サウロンに教示を受けたエルフの金銀細工師たちの技がその絶頂に達すると、彼らは力の指輪を鍛え始めます。

そしてまずエルフのための三つの指輪である風の指輪ヴィルヤ、水の指輪ネンヤ、火の指輪ナルヤが完成。

一方サウロンは密かにモルドールに舞い戻り、滅びの山で他の力の指輪全てを支配する一つの指輪を鍛えます。

エルフの作った指輪が非常に強力なものであったため、サウロンはそれらを支配できる力を得るために、自身の指輪に己の力の大部分を注ぎ込む必要がありました。

このため、一つの指輪は彼にとって有利なものであると同時に致命的な弱点ともなりましたが、指輪がサウロンの指の上にあるときの彼の力はこの上なく増大することとなりました。

こうして第二紀におけるサウロンの力は、第一紀末のモルゴスを凌駕する程のものになりました。

そしてサウロンが一つの指輪を完成させた瞬間、エルフ達は彼が何者であるかを知ることとなり、彼らは指輪を隠して、決して使用することはありませんでした。

 

計画が失敗し正体が露見したサウロンは、謀ではなく力で物事を解決することにし、エルフ達との戦いを始めます。

ケレブリンボールは三つの指輪を分散し、ヴィルヤはギル=ガラドに、ネンヤはガラドリエルに、ナルヤはキーアダンに託されました。

サウロンは自ら軍を率いてエレギオンを攻撃。ケレブリンボールはサウロンに立ち向かいましたが、取り押さえられて捕虜となり、19の力の指輪の在り処を吐かせるために拷問にかけられます。

結果九つと七つの指輪の隠し場所は聞き出せたものの、最も力あるエルフ三つの指輪に関しては頑として口を割らず、ケレブリンボールは殺されます。

三つの指輪はギル=ガラドかガラドリエルのもとにあるだろうと踏んだサウロンはオークの矢に貫かれたケレブリンボールの死体を吊り下げて旗印代わりとし、さらにエルフ達を攻撃。

しかしエレギオンと友好的な関係を築いていたモリアのドワーフとヌーメノールからの援軍のおかげで何とかサウロンを退けることができました。

 

モルドールに撤退したサウロンはヌーメノールに強い憎悪を抱くようになります。

しかしヌーメノールの国力は増していく一方だったため、サウロンはまず手に入れた七つと九つの指輪に悪意を吹き込み、邪悪なものに歪めた上で、ドワーフと人間の諸侯に配りました。

性来頑強に創られたドワーフは、影の存在になることこそなかったものの、指輪の悪意によってひたすら富を築き上げることに邁進するようになり、その結果竜やバルログなどによって破滅することとなります。

一方、人間は速やかに堕落した結果、全員が影の存在となりました。サウロンの最も恐るべき下僕であるナズグールの誕生です。

 

ヌーメノールの国力は増大していった一方で、ヴァラールの禁に公然と反発するようになり、堕落が始まります。

ヌーメノール人はヴァラールを敵視したヌーメノール王とそれに追随する王党派とヴァラールへの敬愛と親交を保ち続けた忠実なる者に分裂。

しかし常に王党派が多数派でした。王党派は主流派として忠実なる者を迫害します。

彼らはヴァラールの禁を批判し、不死の命を持つエルフを妬み、また死すべき運命への恐れから、命を呼び戻す、あるいは寿命を延ばす研究を行いました。

そして死への恐れが強まるにつれて彼らは快楽と歓楽に溺れるようになり、中つ国に航海して沿岸部に植民地を築き、現地の富を収奪する苛烈な支配者として君臨します。

アル=ファラゾーンがヌーメノール25代目の王になった時、彼の治世にヌーメノールの国威と堕落は絶頂に達します。

彼は中つ国に遠征して略奪を行い、その富をヌーメノールに持ち帰って人々に与えたので、ヌーメノール人の人望を集めていました。

 

一方サウロンは中つ国の沿岸都市からヌーメノール人を追い落として支配下に置こうとし、自ら「人間の王」を称します。

これを聞いたアル=ファラゾーンは激怒。彼はサウロンを撃破し自分こそが人間の王であることを証明するため、大軍を指揮して中つ国に上陸します。

このとき港を埋め尽くしたアル=ファラゾーンの大艦隊は、忠実なる者達ですら思い返すたびに誇らしさを覚えるのを禁じ得ないほど壮大なものであったそうです。

アル=ファラゾーンの軍勢のあまりの強大さに、サウロンは武力で抗う望みがないことを悟り、降伏してヌーメノールの陣営に投降します。

アル=ファラゾーンは、自らの権勢を示す証として、サウロンを捕虜としてヌーメノールに連れ帰りました。

 

しかしヌーメノールに連行されたサウロンは、その巧みな話術と美しい外見により王の寵を得ることに成功し、さらにヌーメノール人を堕落させていきます。

アル=ファラゾーンはサウロンの甘言に耳を傾け、彼を自らの相談役に引き立てると、その助言のもとでますます中つ国から富の収奪を繰り返します。

ついにサウロンはヌーメノールにてメルコールの上級僧侶、「黒の王」の地位を確立。

サウロンは王にメルコールへの崇拝を求め、イルーヴァタールはヴァラールが考え出した嘘に過ぎないと吹き込みます。

メルコールとその暗黒を崇拝するようになったアル=ファラゾーンと王党派は、神官たるサウロンの指導の下、自分たちが不死になることを願って、人身御供をはじめとした数々の忌まわしい儀式を執り行い、忠実なる者をますます迫害しました。

そしてサウロンは年老いて迫り来る死に怯えるファラゾーン王に、ヴァラールに戦を仕掛け力づくで不死の命を手に入れるようけしかけます。

忍び寄る老いと死への恐怖を感じ始めたアル=ファラゾーンは、いよいよ判断力を失い、ヴァラールから不死を奪い取ることが可能だというサウロンの甘言を信じ込み、さらなる大軍事力を蓄えはじめます。

 

そして遂にアル=ファラゾーンは神をも恐れぬ無敵艦隊を率いてアマンへ進軍。

旗艦アルカロンダスに乗り込み、落日とともに挑戦のトランペットを吹き鳴らして西方へ出撃します。

ヴァラールの禁を破って禁じられた海域を越えたアル=ファラゾーンの大艦隊はアマンに到達し、海上をびっしりと埋め尽くします。

そして禁じられた地に足を印し、この地は自分のものだと宣言します。

 

この事態にヴァラールは、世界の統治権を一時的に放棄しエルに采配を委ねます。

そしてヴァラールの呼びかけを受けたエル・イルーヴァタールは世界を球形に作り変えてしまいました。

その結果ヌーメノールの島は覆って海中に沈み、大艦隊もその淵に引き寄せられて飲み込まれました。

アル=ファラゾーンと彼の軍勢は崩れる山々の下敷きとなり、忘却の洞窟で世界が終わる日まで閉じ込められていると言われています。

サウロンの目論見はヌーメノールをヴァラールの怒りに触れさせて破滅させることでしたが、この時引き起こされた事態はサウロンの予想を越えるものであり、王都の神殿で高笑いをしていたサウロンもその余波に巻き込まれ、肉体を失うこととなります。

 

一方、忠実なる者の指導者であったアマンディルはヴァラールに慈悲を懇願するため単身西方に航海したが戻らず、息子のエレンディルは父の遺言に従って、息子達とともに忠実なる者を取りまとめると、9隻の船で大海に逃れます。

こうしてかれらはヌーメノールの没落を生き延び、中つ国の岸に到着しました。

エレンディル率いる4隻の船は中つ国のリンドンに流れ着き、ギル=ガラドの援助を得ます。

かれらはルーン川を遡り、そこに北方王国アルノールを築きました。

二人の息子イシルドゥアとアナーリオンが率いる5隻の船は大河アンドゥインの河口に流れ着き、大河を遡ったところに南方王国ゴンドールを築きました。

 

そしてサウロンも死すべき定めの者ではないため、魂のみがモルドールに帰還します。

バラド=ドゥーアに置いてあった一つの指輪を手に取ると、やがてサウロンは新たな肉体を作り出しますが、最早、美しい姿を取ることが出来なくなっていたサウロンは、恐るべき外観を取るようになっており、その姿を直視出来るものはエルフにも人間にも殆どいないほどでした。

その後戦力を再建したサウロンがゴンドールを攻撃します。

そこでエルフと人間の最後の同盟が結成されます。エレンディルとギルガラドとの間に結ばれた、サウロンを敵とする人間とエルフの同盟です。

同盟軍はモルドールに向けて進軍。その軍勢はかつて怒りの戦いでヴァラールの軍勢がサンゴロドリムに出撃して以来の、美しく立派な大軍だったそうです。

 

緒戦となったダゴルラドの戦いでは同盟軍がサウロン軍を撃破しますが、戦いは熾烈を極めて多数の戦死者を出し、かれらを葬った墓場は後に沼地に呑み込まれて死者の沼地と化しました。

その後同盟軍はモルドールを攻撃しますが、オロフェア(スランドゥイルの父、レゴラスの祖父)はギルガラドの最高指揮権を認めず、最初の攻撃でギルガラドの合図を待たずに突出してしまい、討ち死に。

そこから7年にも渡りバラド=ドゥーアの包囲戦が始まります。

包囲戦の最中にはバラド=ドゥーアからの投石により、アナーリオンも戦死。

そして包囲に堪り兼ねたサウロンが遂にバラド=ドゥーアから姿を現し、滅びの山の山腹でエレンディル、ギルガラドと戦います。

エレンディルとギルガラドは戦死するも、サウロンも相討ちとなり敗れます。

そしてイシルドゥアは折れた父の剣ナルシルの柄本に残った刃でサウロンの指を切り取り、一つの指輪を手にします。

 

その後居合わせたエルロンドとキーアダンが指輪を滅びの山の火に投ずるよう忠告するも、イシルドゥアは拒否。

一方指輪を失ったサウロンの霊魂は力を失って東方の荒野に逃げ去り、指輪の幽鬼たちも暗闇に去ります。

こうしてサウロンは再び中つ国から姿を消しましたが、イシルドゥアが一つの指輪に魅了されて、これを無に帰することを拒否したため、指輪に込められたサウロンの力は生き続けました。

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