第三紀のあらすじ -ロードオブザリングあらすじ-

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ロードオブザリング
映画ロードオブザリングより引用

イシルドゥアは父と弟が死んだため、自らがアルノールとゴンドールを統べる上級王となったことを宣言し、戦後処理が終わるとゴンドールの統治を弟の息子メネルディルに委ね、自らは父の王国を継ぐべく北のアルノールに向けて旅立ちます。

しかし一行はあやめ野でオークの残党に襲撃されます。一つの指輪がオークの猛攻を招いていることに気づいたイシルドゥアは、一つの指輪を嵌めて単身脱出しようとしましたが、アンドゥインの河中で指輪は彼を裏切って指から抜け落ちました。

そのため岸に上がったところをオークに発見されて射殺されてしまいます。

 

そして最後の同盟に敗れたサウロンの霊は東方の荒野に逃れて力を回復し、東夷(サウロンに味方していた東の人間達)はいち早くその影響下に立ち戻ります。

東夷はゴンドールへの侵入を繰り返すようになりました。

アルノールでは10代目の王エアレンドゥアが死ぬと、彼の息子達の不和が原因でアルセダイン、ルダウア、カルドランに分裂します。

これらアルノールの国々は国境争いを繰り返すことになります。

 

その頃、中つ国には魔法使い(イスタリ)がやってきます。

イスタリは、サウロンに対抗して中つ国の窮状を救うべくヴァラールによって選ばれ、アマンの地から中つ国へと送られたマイアールでした。

ヴァラールはサウロンの打倒は自由の民によってなされるべきだと考え、マイアであるサウロンよりも弱いマイアールを選び、かれらが中つ国の民に対しアイヌアの力を誇示し、支配することを禁じました。

そのためかれらは「助言」によって自由の民によるサウロンの打倒を実現しなければならず、堕落することも死ぬこともありえた危険な任務でした。

ガンダルフは中つ国で彼を出迎えたキーアダンから密かに火の指輪ナルヤを譲り受けて、第三紀を通じてその守護者となります。

また同じ頃、ホビットの名が初めて記録中に現われました。

 

ゴンドールは15代目のヒャルメンダキル一世の治世で国力が絶頂を極めます。

しかし次の16代目アタナタールは安楽な生き方を好み受け継いだ王国を維持する努力を怠ったため、ここから徐々に衰退が始まります。

 

一方北方ではナズグルが中つ国に再び現れ、魔王が造ったアングマールの王国が初めてアルセダインの北東の境界に現れます。

アルセダイン7代目の王にアルゲレブ一世が即位すると、彼の治世にはカルドランとルダウアにイシルドゥアの子孫が一人も残っていなかったため、アルノール全土の主権を主張します。

それにカルドランは同調しますが、アングマールと密かに結託していたルダウアによって拒否されます。

アルゲレブ一世は、アングマールの脅威に対抗するために風見丘陵の防備を強化しましたが、ルダウアとアングマールとの戦闘で討ち死にしてしまいます。

さらにアングマールの魔王は攻勢を強め、カルドランは最後の君主が討死し滅亡。

ルダウアもアングマールに臣従する邪悪な人間たちに占領され、国内に残っていたドゥーネダインは殺されるか西へ逃亡。

ルダウアはその後の歴史に登場せず、アングマールに飲み込まれて消滅したと見られています。

分裂した旧アルノールの中で残ったのはアルセダインのみとなりました。

 

そしてゴンドールでも東夷の攻撃が再び始まりますが、後に19代目の王になるローメンダキル二世は東夷の大軍勢を打ち破ります。

その後兵力の確保と北国人との繋がりを強化するため、多くの北国人をゴンドール軍に編入し、時には軍の高い地位を与えます。

特に東夷との戦いで功績のあったヴィドゥガヴィアを重用し、彼の元に自分の息子ヴァラカールを大使として派遣します。

ヴァラカールは現地で北国人の習俗を学んでいるうちに、北国の土地や人々を愛するようになり、やがてヴィドゥガヴィアの娘ヴィドゥマヴィを娶り、息子エルダカールが生まれます。

しかし北国人を白眼視していたゴンドールの貴族にとって、この結婚は前代未聞でした。

 

そしてエルダカールがゴンドール21代目の王になった時、ヌーメノールの血が薄れるのを恐れる者や、北国人を白眼視するゴンドールの一部ドゥーネダインの反発にあい、同族の争いが発生します。

反乱の中心となったのはローメンダキル二世の弟カリメフタールの孫カスタミア(ゴンドール海軍の総指揮官で、反乱分子の中でもっとも多くの部下を擁していた)を中心とした一派でした。

反乱軍によってオスギリアスは包囲され、エルダカールは勇敢に抵抗したものの遂に陥落します。

エルダカール自身は脱出に成功しますが、エルダカールの長男オルネンディルが捕らえられ、その後カスタミアの命で処刑されます。

さらにカスタミアは残虐な性格を示し、カスタミアの命令で行われた殺戮と破壊は、戦争で起こるやむを得ない範囲を遙かに超えるものであったといいます。

王位を簒奪したカスタミアでしたが、彼の残虐な性格が示されると、彼を支持していたゴンドール人のカスタミアに対する忠誠心も失われていきます。

一方、北方にある母方の一族の元に逃れることができたエルダカールはその地で人望を示し、元々エルダカールを敬愛するもの、ゴンドールに使える北国人、カスタミアを憎むようになったゴンドール人を糾合していきます。

そしてエルダカールは、自らの支持者を集めて王位奪還のためにゴンドールを攻撃します。

エルダカールはカスタミアを討ち取って、息子の仇を取り、勝利しました。

カスタミアの息子達は逃れて、他の一族やゴンドール艦隊の者と共にウンバールに逃亡します。

以後ウンバールは海賊としてゴンドールに敵対する勢力の拠点となり、長らくゴンドールの沿岸を悩ましました。

 

同族の反乱に続き、ゴンドール二度目の存亡危機となる悪疫が到来します。

悪疫は致死性の高い伝染病で、各地に甚大な被害を出します。

この疫病により人口の密集した都市部を中心にゴンドール人が大勢死に、特に王都オスギリアスの被害が深刻でした。

当時のテレムナール王も病死し、彼が死ぬとミナス・アノールの白の木も枯死します。

またテレムナールの子らも全員病死したため、王位は甥のタロンドールが継ぎました。

タロンドールはゴンドール王最長の162年の治世を悪疫からの復興に捧げることになります。

悪疫は自由の民だけでなく、サウロンと繋がる者たちにも被害を与えましたが、流行した時期はドル・グルドゥアの影が強まり、多くの悪しき者たちが再び出現した時と重なっていました。

その為、力を増したサウロンが(自らの下僕達の犠牲を承知の上で)かつての本拠地であるモルドールに対する監視を解くために、疫病を引き起こしたと考えられています。

悪疫がもたらした国力の疲弊と人口減少による人手不足から、モルドールの監視は中止され、国境の山道を守る砦が無人と化します。

後に監視のないまま放置されたモルドールにはナズグールたちが入り込んで力を蓄え始めることとなります。

 

悪疫からようやく復興した頃に、ゴンドール三度目の存亡危機となる馬車族の侵入が始まります。

馬車族は東夷の一派ですが強力な軍事力を有した民族で、ゴンドールに攻め込みます。

東方から現れた馬車族はまずは北方のロヴァニオンへ侵攻を開始。

悪疫の打撃からまだ立ち直っていなかった北国人は打ち破られ、かれらの領土は馬車族に占領されます。

ゴンドール29代目の王、ナルマキル二世は大軍を率いて出撃し、北国人の残党と共に馬車族と戦いましたが、馬車族の勢いは強くゴンドール軍は敗退。ナルマキルも討死します。

しかし北国人マルハリの活躍によってゴンドール軍はかろうじて壊滅を免れ、勝利した馬車族も受けた被害も大きかったため、進撃を中断することとなります。

 

その後馬車族は浅地から急襲することを目論みますが、これを察知したナルマキルの息子カリメフタール(ゴンドール30代目の王)はマルハリの息子マルフウィニと協同して反撃を計画。

進撃してくる馬車族を迎え撃ったカリメフタールは、マルフウィニ率いる騎馬軍団と共にこれを挟撃し敗走させることに成功。

さらに奴隷となっていた北国人達がロヴァニオンで反乱を起こし、馬車族の野営地を破壊したため、行き場を失った馬車族は東方へ逃げ帰ります。

こうして馬車族の第一波は辛うじて撃退されましたが、北国人は故国を失って散り散りとなり、ゴンドールは東方の領土を完全に失いました。

馬車族は西方への憎しみと野心を抱いたまま東方で勢力を回復させ、南へ伸長してハラドや近ハラドの民と衝突するまでになりますが、やがれこれらの民族は講和を結び、さらには同盟してゴンドールへの攻撃を計画するようになります(この展開にはサウロンの策謀があったと考えられています)

 

そしてオンドヘアがゴンドール31代目の王になると、彼の時代に南方王国と北方王国は、ドゥーネダインに敵意を持つ一つの意志が蛮夷や天災などを操って両王国に攻撃を加えていることに気付きます。

オンドヘアはアルセダイン王アラファントと協議し、長らく疎遠だった南北両王国の連携を新たにして同盟を結成。

そんな中、馬車族侵攻の第二波がゴンドールにやってきます。東方と南方の蛮夷がゴンドールを挟撃。

オンドヘアはゴンドール軍を北軍と南軍に分け、自らは北軍を率いて馬車族を迎え撃ちます。

しかし馬車族の戦車と騎兵からなる前衛部隊は予想以上に迅速かつ強力で、ゴンドール北軍は陣を十分に整えられないまま蹂躙され、オンドヘアと、彼の二人の息子アルタミアとファラミアは討死。

そのまま馬車族はゴンドール領内になだれ込みましたが、勝利を確信して宴を張っていたところを、南方の敵を撃退して急遽北上してきた将軍エアルニル率いるゴンドール南軍および北軍の残党に急襲されます。

これにより馬車族は撃滅され、逃げ延びた者達も死者の沼地に追い落とされて殲滅されました。

 

ゴンドールは危機を免れましたが、今度はアルセダインがアングマールに攻撃され、危機に陥ります。

ゴンドール32代目の王となったエアルニルは割ける限りの兵力を船に乗せてできるだけ速やかに北方へ送りましたが、ゴンドールも度重なる災いからの復興の途上にあり、その援軍は時期を逸してしまいます。

アングマールはアルセダインを席捲すると王都フォルンオストは占領され、アルセダインの王アルヴェドゥイはさらに北へ逃亡。

キーアダンがアルヴェドゥイ救援のために派遣した船がフォロヘル湾に現れた時、アルヴェドゥイは船に乗りますが悪天候に見舞われて難破し、アルヴェドゥイは死亡。

これによりアルセダインは滅び、アルヴェドゥイの長男アラナルスは野伏の初代族長となりました。

 

エアルニルの援軍は間に合いませんでしたが、アルノールの残党も集結させて、アングマールの魔王に挑戦するべく進軍していきました。

進軍してくる西軍に対し、魔王は敵が本拠にやってくるをの待たずに出撃して両軍は激突。

アングマール軍は劣勢となり、退却しようとしたところを北から周ってきたゴンドールの騎兵主力部隊に攻め下られ、さんざんに敗退します。

魔王は敗残兵を集めるとさらに逃走を試みますが、エアルニルの息子エアルヌア率いる騎兵部隊が再び彼に追いつき、さらに裂け谷からはグロールフィンデル率いる軍勢が出撃してきます。

挟撃されたアングマール軍は完全に殲滅されました。

アングマールの軍勢が全滅した時、魔王その人がエアルヌアの前に現れて彼を襲おうとします。

エアルヌアは立ち向かおうとしたますが、彼を運ぶ馬が恐怖に駆られて彼を遠くに運び去ってしまい、魔王にその様を笑われ、エアルヌアは屈辱を味わいます。

そこでグロールフィンデルが魔王に向かっていくと、魔王は再び逃走に転じ、夕闇にまぎれて姿を消しました。

こうしてアングマールは滅ぼされました。

 

しかしナズグルはモルドールに戻って勢力を立て直し、ゴンドールのミナス・イシルを包囲攻撃して占領。

ナズグールの手に落ちたミナス・イシルは甚だしい恐怖の場所へと変貌し、ミナス・モルグルと呼ばれるようになり、その恐怖に対峙するミナス・アノールはミナス・ティリスに改称されます。

その後エアルヌアがゴンドール33代目の王になると、魔王は彼を「北方の戦いでは自分の前に立つこともできなかったではないか」と挑発して一騎打ちを申し込んできました。

一度は執政マルディルに制止されるものの、再び魔王がエアルヌアに対して「若年の頃の意気地のなさに今では老齢の弱気を加えている」と嘲りを重ねると、今度はマルディルもエアルヌアを止めることはできずエアルヌアは僅かな供回りの騎士のみを連れてミナス・モルグルへ進軍。

しかしエアルヌアは戻ることがなく、ゴンドールではエアルヌアは敵の罠にかかり、ミナス・モルグルで責め苛まれて死んだと信じられました。

エアルヌアは妻を娶らず、子も残しませんでした。そしてただでさえ数が少なくなっていた王家の子孫には、純粋な血統の者や、国内でその王位が認められるほどの有力者もいなくなっていました。

なにより同族の争いのような、王位を巡っての内乱が再び起こることをゴンドール人は恐れ、王位継承者を選出することを諦めます。

そのためマルディルが失踪した王に代わってゴンドールを統治することになり、以後彼と彼の子孫が統治権を持つ執政として、王の名の下に「王還りますまで」ゴンドールを治めることになりました。

 

その後ドル・グルドゥアの力も強まったためサウロンの復活が疑われます。そのため賢人会議で対策が話し合われました。

ガンダルフがドル・グルドゥアに潜入すると、当時まだ力を取り戻していなかったサウロンは、自らの正体が露見するのを恐れて東に逃亡。以後警戒的平和と呼ばれる時代が始まります。

しかし警戒的平和は400年ほどで破られ、力を増したサウロンがドル・グルドゥアに戻り、以降西方諸国への攻勢を強めます。

警戒的平和が終わりを告げたのを受け、ガラドリエルの希望によって白の会議が招集されます。

ガラドリエルはガンダルフを議長に推したが彼が辞退したため、サルマンが議長となりました(このことでサルマンはガンダルフを嫉みます)

また同じ頃、スメアゴルが一つの指輪を入手します。

 

サウロンの勢力が攻勢を強める中、ゴンドール12代目執政のキリオンは、ゴンドールに対する北からの大規模な攻撃が計画されていることを知ります。

東方からさらなる同類を呼び寄せたバルホス族の大軍が、闇の森の南に集結していたのです。

そのためキリオンは急ぎ援軍を要請する伝令をエオセオドの若き王エオルの許に派遣します。

バルホス族は大量の船や筏を建造すると、茶色の国から大挙して大河を渡って高地に入り、防ぎ手を一掃。

さらに霧ふり山脈のオークの大軍がそれに呼応して突如としてゴンドールに現れ、両軍はゴンドール領内を席巻します。

キリオンは北軍に迎撃を命じると共に、自ら集められるだけの南軍を率いて北上しましたが進路を断たれ、敵を迎え撃った北軍も、白光川の北でバルホスとオークの挟み撃ちにあい、大河に向かってじりじりと追い詰められました。

そしてキリオンの要請を聞いたエオルは、援軍に赴くことを決意。

非戦闘民を守るわずか数百の兵のみを後に残し、7000騎の重装騎兵と数百騎の騎馬の弓兵からなる大騎兵軍団を率いて遠征を決行します。

ゴンドールの北軍が大河に向かって追い詰められている間際に到着したエオルの騎兵軍は、オークとバルホス族の後衛部隊を強襲してこれを打ち破ると、高地に向かって押し返し、さらに平原を縦横に駆け抜けて敵を滅ぼしました。

かくしてゴンドールの危機は救われ、キリオンは、ゴンドールの危急を救ったエオルの民への謝意と、それに加えてかれらが北の領地を手狭に感じておりさらなる広い国土を必要としている事、そしてゴンドールにとって北方の守りが頭を悩ます問題であった事をも念頭に、エオルとその国民に土地の割譲を申し出ます。

エオルは感嘆してこの申し出を受け取り、両国の永久の友情を約束するエオルの誓い(Oath of Eorl)を立てました。

エオルは北方に残っていた国民を引き連れて割譲された地に移住。彼の民はゴンドールではロヒアリムと呼ばれるようになり、その国土はローハンと呼ばれるようになりました。

そしてゴンドールとローハンは後の代まで強固な同盟国として結ばれることとなりました。

 

その後ヘルムがローハン9代目の王になった時代に霧ふり山脈のオークが勢いを増し、ゴンドールとローハンが敵たち(海賊、東夷、褐色人)による大規模な侵略を受けます(大侵略)。

ウンバールとハラドで長い時間をかけて準備された三つの大艦隊が、ゴンドールの沿岸全域を襲い、北は遠くアイゼン河口に至るまで大挙して上陸します。

そのためゴンドールは、より深刻な状態にあったローハンに援軍を出すことができませんでした。

南からのゴンドール攻撃と時を同じくして、ローハンは東から東夷に侵攻されます。

さらにこれにアイゼン河口に上陸した海賊が加わり、ふくれ上がった敵たちに東西から攻撃されたローハンは国土を完全に蹂躙されます。

敗れたヘルムは角笛城に籠城することになります。

 

その後、長い冬が訪れ、ロヒアリムもその敵も寒さと飢えで大きな損害を受けました。

ヘルムの息子、ハマは長い冬の寒さと飢えに悩まされ、自暴自棄となって出撃し、雪の中で行方不明となります。

息子達を失った哀しみと、冬の飢えのために自暴自棄になったヘルムは、痩せさらばえた身体に白装束を纏うと、大きな角笛を一吹きしては単身で砦から出撃し、敵の野営地に乗り込んでいって素手で多くの敵を殺しました(そのためヘルムは槌手王の名で呼ばれました)

褐色人の噂では、ヘルムは食料が見つからなければ人間を食べたといわれ、このことは褐色人の国で長く語り伝えられました。

ようやく冬の終わりが近づいたある日の夜、ヘルムは角笛を吹いて出撃しましたが戻らず、朝になって堤防の上に立ったまま死んでいる姿で発見されます。

だがその後もヘルム峡谷では大角笛の音が時折こだまし、ヘルムの亡霊が現れて敵を恐怖で殺すと言い伝えられました。

ヘルムとその息子達の死によって、マーク王家の第一家系は途絶え、王位は彼の姉妹ヒルドの息子フレアラフが継承し、第二家系となります。

長い冬が終わると、フレアラフは馬鍬砦から少数の部隊を率いて出撃し、奇襲によりエドラスを奪回。

アイゼンガルドを占拠していた褐色人も冬による飢饉に苦しめられてフレアラフに降伏し、東夷は雪解けで発生したエント川の大洪水によって死ぬか撤退します。

また白の山脈の南ゴンドールは長い冬による被害は少なく、執政ベレンの息子ベレゴンドはゴンドールの大将として戦い、春が来る前に海賊を撃退し、すぐさまローハンに援軍を送ります。

ベレゴンドから送られたゴンドールの援軍にも助けられ、フレアラフはローハンから褐色人を駆逐しました。

しかし勝利したとはいえ長い冬と戦争の被害でロヒアリムは数を減じ、ローハン谷の守りが手薄となります。

そんな中、フレアラフの戴冠式の時、サルマンが贈り物を携えて現われ、ロヒアリムも彼を味方として歓迎。

アイゼンガルドの租借を申し出たサルマンをゴンドール、ローハン両国は受け入れ、執政ベレンはサルマンにオルサンクの鍵を与えました。

 

一方モリアに居住していたドワーフ達は鉱脈を求めすぎたため、ドゥリンの禍(バルログ)を目覚めさせてしまいます。

そのためモリアを追われたドワーフはエレボールに移住し、そこで富を蓄えますが、ドワーフ繁栄の噂を聞きつけたスマウグが灰色山脈からエレボールに飛来し、山の下の王国と谷間の国を滅ぼします。

父祖の地を追われることになったスロールは息子スラインと孫トーリン、そして少数の縁者と忠実な従者と共に放浪の旅に出ます。

その後老齢と貧困に苦しめられたスロールは、スラインにエレボールの秘密の入り口を示した地図とその鍵、そして最後の宝である七つの指輪の一つを譲り渡すと、自分は従者のナルだけを連れて一族のもとを去り、無謀にも遠祖の地であるモリアに単身帰還しようとします。

スロールは、引き止めるナルを置いてモリアの東門から中に入っていきます。しかし彼はオークの首領アゾグに殺され、その首は切断されて烙印を押され、遺体は烏の餌食にされてしまいました。

ナルによって届けられたこの非業の死の知らせはスラインのみならず全ドワーフを激怒させ、ドワーフとオークの戦争が始まります。

怒りに燃えたドワーフの連合軍は最北のグンダバドを端緒に霧ふり山脈中のオークの拠点を片っ端から攻撃しては一つずつ奪い取っていきます。

一方でドワーフの攻撃を逃れたオーク達はモリアのアゾグの許に集結します。

そしてアゾグの許に集結したオーク軍と、アゾグへの復讐を果たさんとするドワーフの連合軍との間で決戦となるナンドゥヒリオンの合戦が行われました。

アゾグはこの時のために温存しておいた兵力を出撃させてドワーフ軍を迎え撃ち、当初は曇天・地利・数の優勢といったオークにとっての好条件が重なったためにドワーフ側が劣勢でした。

しかしナインの率いるくろがね連山のドワーフ達が到着したことで戦局は覆り、ナインはアゾグに殺されますが、そのアゾグもナインの息子ダインに討ち取られ、ドワーフの連合軍が勝利を収めました。

 

その後スラインはスロールから受け継いだ力の指輪がもたらす悪影響のため黄金への渇望に苛まれるようになり、ついには僅かな従者を連れてエレボールを求める旅に出ます。

スライン一行は死人占い師(後にサウロンだと判明する)に目をつけられ、スラインはドル・グルドゥアに連行されて拷問を受け、最後の指輪も奪われてしまいます。

そのためガンダルフがドル・グルドゥアに再び潜入すると、死人占い師の正体が間違いなくサウロンであることを突き止めるとともに、かれがすべての指輪を集めていて、一つの指輪及びイシルドゥアの世継に関する情報を求めていることを発見します。

またガンダルフは地下牢に放置されていたスラインを発見。スラインは指輪のことを口走るばかりで自分の名前も忘れてしまっていたましたが、最後にスロールの地図とエレボールの鍵をガンダルフに託すと「息子へ」と言い残して息絶えました。

ガンダルフは再び白の会議を招集。ガンダルフはドル・グルドゥアへの攻撃を勧告しますが、サルマンは一つの指輪がアンドゥインから大海へ流れ下って失われたと述べて、今しばらく事態を静観すべきとし、何の行動も起こされませんでした。

この時、サルマンの堕落はすでに始まっていたのです。ガンダルフに対する密かな妬みや恐れに加え、サウロンと力の指輪についての知識を深めていったことも堕落に繋がっていきました。

サウロンの技を研究するにつれてそれに驚嘆していったサルマンは、ついにはその模倣者に成り下がり、一つの指輪を自分自身で用いることを望むようになったのです。

内心で白の会議を裏切る者となった彼は、一つの指輪を手に入れるための策を弄し、あやめ野一帯の捜索を開始しました。

 

スロールの地図とエレボールの鍵を持ったガンダルフはトーリンと出会い、エレボールを奪回したいトーリンと、スマウグを排除したいガンダルフの思惑が一致したことで、エレボールの遠征を行うこととなりました。

当初トーリンは、軍を起こしてスマウグに公然と戦いを挑むことを考えていましたが、ガンダルフは北方の情勢悪化の裏には死人占い師(サウロン)の悪意があることを見通しており、その妨害を避けるためにも隠密行動を選ぶべきであると提案。

それに役立つ忍びの者としてホビットのビルボ・バギンズが同行することとなりました。

最初は龍が恐ろしく、乗り気でなかったビルボですが、なし崩し的にはなれ山への冒険に参加することとなり、旅の道中で勇気を示すことでドワーフからも信頼される存在になっていきます。

その旅の最中、ビルボはゴクリとのなぞなぞ遊びで勝利し、一つの指輪を手に入れます。

一行ははなれ山まで辿り着きますが、彼らが財宝を取り戻しに来たことを知ったスマウグはエスガロスを襲撃。

スマウグの襲撃を受けたエスガロスの町は竜の吐く火によって炎上しますが、バルドの放った黒の矢によってスマウグを退治することができました。

スマウグが去った後トーリンははなれ山を自分たちの者だと宣言しますが、町の復興の資金とすべく財宝を求めてきたエスガロスの民、そして同じく財宝を求めてきたスランドゥイル(エルフ王)率いる森のエルフの軍勢とにらみ合いになります。

トーリンらは財宝を守るために山の表門に障壁を築くとともに、くろがね連山のダインに援軍の要請を出し、一触即発の状況となります。

 

一方で、霧ふり山脈のオークはボルグを大将に立て、ワーグと連合してはなれ山を襲うべくグンダバド山に軍を集結させていました。

これを察知していたガンダルフの説得によって、バルド、スランドゥイル、ダインは休戦・合議して共同戦線を張り、オークとワーグの連合軍を迎え撃つ作戦を立てます。かくして五軍の合戦が始まりました。

エルフ・人間・ドワーフは劣勢に追い込まれるものの、籠城し沈黙を守っていたトーリン率いる13人のドワーフが、表門の障壁を破って撃って出てきます。

さらにワシの王率いる大鷲達が三軍を援助すべく参戦すると共に、熊人間ビヨルンの参戦が決定打となり三軍が勝利をおさめます。

この戦いの勝利によって山の下の王国は再建されたものの、トーリン二世は討ち死し、王位はダインが受け継ぎます。

この戦いによって北方のオーク軍の四分の三が殲滅されといわれ、ワーグもしばらく姿を消したことにより治安は大いに改善されました。

そしてこの戦いの最中、白の会議はドル・グルドゥアを攻撃して死人占い師を闇の森から追い払いました。

しかしサウロンのドル・グルドゥア放棄と敗走は見せかけにすぎず、サウロンは密かにモルドールに帰還します。

 

そしてサウロンは公然と名乗りを上げるとモルドールでバラド=ドゥーアの再建を開始。

同じ年にアラゴルン二世は成人を迎えると、アラゴルンはエルロンドより自らの出生の秘密を明かされ、折れたナルシルとバラヒアの指輪を渡されます。

アラゴルンはアルウェンと出会い恋に落ちますが、エルロンドはアラゴルンが試練を経て、しかるべき時が来るまでは、何人とも婚約することを禁じたため、アラゴルンは諸国遍歴の旅に出ます。

アラゴルンは素性を隠し、各地でサウロンの手先と戦います。

その時アラゴルンはマントに銀の星を付けていたため、「星の鷲」の意であるソロンギルと呼ばれました。

ソロンギルは特にゴンドールにおいて功名を勝ち得ます。わけても海賊の脅威を懸念した彼は、小艦隊を率いてウンバールを奇襲。

わずかな被害と引き換えに敵の船の大半を燃やし、自らも波止場の戦いで港の大将を倒す大戦果を挙げます。

これにより後の世のゴンドール南部沿岸地方の脅威は大幅に軽減されました。

しかしソロンギルはこの勝利からゴンドールへ凱旋することはせず、そのままひとり姿を消しました。

 

その後ホビット庄ではビルボの別れの宴が開かれ、フロドに一つの指輪が残されました。

ガンダルフはビルボが残した指輪が一つの指輪ではないかと疑い、指輪の正体を確かめるべく多年の調査に身を投じることになります。

友人のアラゴルン二世に「疑念」を打ち明けたガンダルフは、野伏にホビット庄の守りを任せる一方、アラゴルンと共にロヴァニオンからモルドールの境界に至るまでゴクリを捜索します。

しかしゴクリはモルドールの手先に捕らえられて拷問を受け、サウロンは一つの指輪が再び見出されたこと、それが「なんとか庄」(Shire)の「バギンズ」なる者の手に渡ったことを知るに至ります。

そしてサウロンはゴクリを釈放し、配下にその行方を監視させますが、この直後、ゴクリはアラゴルン二世に捕まって闇の森の王国に連行され、ガンダルフによる尋問を受けます。

この報告を受けたサウロンは、はやくも賢者達が一つの指輪の再発見を承知していることに驚愕し、ただちに行動を起こすためナズグールの使用を決心します。

 

ガンダルフは袋小路屋敷にフロドを再訪し、彼の指輪がまぎれもないサウロンの一つの指輪に他ならないことを明らかにします。

指輪がもたらす脅威からホビット庄を守るため、従者としてサムを選び、隠密に裂け谷へ向かうよう忠告します。

一方サウロンはオスギリアスと闇の森の王国を同時攻撃し、その混乱に紛れてナズグールを一つの指輪追跡のため送り出します。

これにより指輪戦争が開始されました。

モルドールより送り出された大軍によってイシリアンおよびオスギリアスに駐屯していた部隊はほとんど一掃されてしまい、闇の森の王国はドル・グルドゥアから攻撃を受け、撃退はしたものの混乱に乗じてゴクリは逃亡してしまいます。

さらにサルマンに会いに行ったガンダルフは堕落してサウロンに寝返ったサルマンによりオルサンクに監禁されてしまいます。

そしてナズグルは野伏を蹴散らしてフロドらホビット達を追います。

フロドたちはブリー村の躍る小馬亭でアラゴルンと出会い、アラゴルンと共に裂け谷を目指します。

風見が丘ではナズグルに襲撃され、フロドは魔王にモルグルの刃で刺されて生死の境をさまよいますが、エルフのグロールフィンデルに救われて何とか裂け谷に辿り着くことができ、一命をとりとめました。

 

裂け谷ではエルロンドの会議が開催され、一つの指輪をモルドールの滅びの山へと持っていき、滅びの罅裂に投じて破壊するしかないという結論が出されます。

フロドは自分が指輪の担い手となることを申し出ると、サム、ピピン、メリーらホビットにエルフの代表として闇の森のエルフ王スランドゥイルの息子レゴラス、ドワーフの代表としてグローインの息子ギムリ、人間の代表として馳夫ことアラゴルンと、裂け谷に助言を求めに来ていたボロミア、そしてガンダルフが参加。

指輪の仲間一行は途中で離散するも、ローハンやゴンドールに対する攻撃から国を守り抜き、フロドとサムは滅びの山の亀裂に指輪を投げ込んで任務を果たし、サウロンは滅びました。

エレンディルの血を引く正統な王位継承者であるアラゴルンはエレスサール王として、ゴンドールとアルノールを統べる再統一された王国の王として戴冠し、アルウェンと結婚。

ホビット庄に戻ったホビット達は水の辺村の合戦でホビット庄を攻撃していたサルマンを打ち破り、これにより指輪戦争は終結。

その後フロドは裂け谷でビルボから受け取った本の続きおよび、自分たちの旅についての執筆を続ける静かな生活をしていましたが、旅の途中でナズグルに刺された傷、シェロブに受けた傷、そして一つの指輪を失った喪失感とその時の傷に苦しめられていました。

そのためフロドは袋小路屋敷その他一切の財産と幸せをサムに譲り、赤表紙本の完成を託すと、指輪所持者たち(ナルヤの所持者ガンダルフ、ヴィルヤの所持者エルロンド、ネンヤの所持者ガラドリエル、そして一つの指輪の所持者であったビルボ)と共にアマンへ去り、第三紀が終わります。

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