エルフの種族の話

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ロードオブザリング
映画ロードオブザリングより引用

エルフの種族は種族生誕の地クイヴィエーネンから西方のアマンへの移住を試みる大いなる旅でどのように行動したかによって分類されます。

まず旅に出た者はエルダールと呼ばれ、旅を拒んだ者はアヴァリと呼ばれます。作中に登場するエルフは皆エルダールで、作中にアヴァリと明言されている名のあるエルフは登場しません。

アヴァリはエルフの中でもヴァラールとの関係が最も小さいため、知識や技量はエルフの中で最も劣りますが、アヴァリは第一紀にヒルドーリエンで目覚めた人間の最初の教師となりました。

 

旅に出たエルダールはヴァンヤール族、ノルドール族、テレリ族に分かれます。またアマンに到達したエルフのことをアマンヤールと呼び、到達しなかったエルフはウーマンヤールと呼ばれます。

またアマンに到達して二つの木の光を目にしたエルフのことをカラクウェンディ(光のエルフ)と呼び、二つの木の光を見なかったウーマンヤールとアヴァリを会わせてモリクウェンディ(暗闇のエルフ)と呼びます。

 

ヴァンヤール族とノルドール族はほとんどがアマンに到達したため、アマンヤールであり、カラクウェンディ(光のエルフ)です。

ヴァンヤール族は金髪が特徴のエルフの氏族でイングウェにより率いられました。

彼らはアマンに到達すると、ずっとその地に定住し、中つ国へは怒りの戦いを最後に戻ってくることはありませんでした。

また戦いが終わった後も速やかにアマンへ帰還したため、ヴァンヤールと言葉を交わしたことのある人間はほとんどいません。

 

ノルドール族は黒髪あるいは暗褐色の髪を特徴とするエルフの氏族でフィンウェによって率いられました。シルマリルの物語に登場するエルフの多くはノルドール族で、シルマリルの物語の中心となる氏族です。

彼らは知識や技術の探究に熱心であり、建築では高い塔を建てることを喜び、優れた石工となります。またその過程で地中から宝石を発見し、これを美しく刻むことも初めて行いました。

ノルドール族の史上もっとも技芸に優れた者と言われたフェアノールはシルマリルを作り出しますが、このシルマリルをモルゴスに奪われたことで、中つ国への帰還を強行します。

ヴァラールに反逆したノルドール族にはヴァラールの怒りであるマンドスの呪いが下され、彼らはアマンの地とヴァラールの憐れみから閉め出されて非業の運命に縛られることとなります。

フィナルフィンと彼に従った少数のノルドールは改悛してアマンへ引き返し、許しを得ましたが、大多数のノルドール族はフェアノールと弟フィンゴルフィンに従って中つ国への帰還を果たし、ベレリアンドでモルゴスを相手に望みない戦いを繰り広げました。(宝玉戦争)

第一紀末の怒りの戦いによってベレリアンドが崩壊し、マンドスの呪いが停止されて全てのエルダールにアマンへの道が開かれても、少なからぬノルドールは中つ国に残留することを選びました。

そのためかれらは中つ国に残る唯一の上のエルフとなりました。

指輪物語に出てくるエルフではガラドリエル、ギル=ガラド、グロールフィンデルなどがノルドール族になります。

 

テレリ族はアマンに到達した者と到達しなかった者がおり、アマンに到達したテレリ族はファルマリと呼ばれます。

シンゴルの弟オルウェが彼らの王となります。フェアノールがオルウェに中つ国帰還への協力を要求した時、オルウェはこれを拒否したため、彼らはフェアノールの指揮するノルドールに攻撃されてしまいます(最初の同族殺害)

ファルマリは同族殺害のこともあり怒りの戦いにも参戦しませんでしたが、ヴァリノールの軍勢を運ぶ船の水夫たちを提供しました。

 

アマンに到達しなかったテレリ族はファラスリム、シンダール、ナンドールに分けられます。

ファラスリムは大いなる旅でベレリアンドの西岸に到着したものの、中つ国に留まることを選んだエルフのことをそう呼びます。

彼らはファラスのブリソンバールとエグラレストの港を中心に住まい、キーアダンを長としました。

 

シンダールは上古のベレリアンドでドリアスの王国に属したテレリ・エルフのことでシンゴル(エルウェ)を長としました。

メリアンに惹かれて中つ国に留まったシンゴルと彼を慕って中つ国に留まったエルフ達がシンダールです。

シンダールは暗闇のエルフですが彼らを率いたシンゴル自身は大いなる旅の以前にアマンを訪れているため、彼だけは光のエルフです。

シンダールは光のエルフであるシンゴルの統治とマイエであるメリアンの教えを受けたため、暗闇のエルフの中でもっとも美しく、もっとも賢明で、もっとも技に長じたエルフとなりました。

シルマリルの物語ではトゥーリン・トゥランバールの友人となったベレグ・クーサリオンやドリアスの総大将マブルングがシンダールです。

また指輪物語のレゴラスも彼の父スランドゥイルや祖父オロフェアと共にシンダールに属します。

 

ナンドールは大いなる旅の途中で、霧ふり山脈を越えるのを拒んだテレリ・エルフのことをそう呼びます。

ナンドールはさらに霧ふり山脈の東に留まり続けたタワルワイス(シルヴァン・エルフ)と、レンウェの息子デネソールに率いられ青の山脈を西に越えオッシリアンドに住むようになったライクウェンディ(緑のエルフ)に分けられます。

 

タワルワイス(シルヴァン・エルフ)は冥王とも上のエルフとも距離を取って暮らしました。

上のエルフや、メリアンの教えを受けたシンダールよりも知識や技量で劣り、エルダールでありながらアヴァリとほとんど見分けがつかなかったそうです。

ロスローリエンや闇の森のエルフの大部分はシルヴァン・エルフですが、第二紀以降はベレリアンドの崩壊を逃れてきたシンダールを受け入れ、かれらによって統治されました。

アンドゥイン東岸のシルヴァン・エルフは、シンダールのオロフェアやスランドゥイルを王に戴き、主に闇の森の北部(森の王国)に住んでいました。

アンドゥイン西岸のシルヴァン・エルフは、後にロスローリエンと呼ばれるようになるローリナンドの森林に住まってガラズリムと呼ばれ、アムディーア(マルガラド)やアムロスを王としていました。

そして二人が戦死するか行方不明になると、シンダールのケレボルンとノルドールのガラドリエルを指導者に迎えることになります。

 

闇の森とロスローリエンのエルフは元々は近しい一族であり、かつては頻繁な交流がありましたが、闇の森に死人占い師の影が落ちて交通が危険になるとそれも途絶えていきます。

さらにロスローリエンのガラズリムにはガラドリエルをはじめとしたノルドールが加わったため、闇の森のエルフと比べて高い技術力を持つようになるなど、文化的な差異も広がっていきました。

作中には明確にタワルワイス(シルヴァン・エルフ)とされる名のあるエルフは登場しませんでしたが、映画ホビットのオリジナルキャラクターとして登場したタウリエルはタワルワイスです。

タウリエルは、レゴラスから戦いの能力を高く評価され、好意を持たれていましたが、スランドゥイルからは、シルヴァン・エルフであるタウリエルはシンダールのレゴラスの后にふさわしくないと釘を刺される描写がありました。

 

ライクウェンディ(緑のエルフ)はベレリアンド最初の合戦で彼らの王デネソールが討ち死にした後もオッシリアンドに留まった者たちです。

彼らはデネソールの死を悼んで再び王を戴かず、戦いに撃って出ることもせずに、春と夏には木の葉と同じ緑の服を着て森の中に隠れ住んだため、緑のエルフと呼ばれるようになります。

よそ者が森に入っても彼らの姿を見つけることはできませんでしたが、彼らの歌声はゲリオン川の向こうからさえ聞かれたため、後にノルドールはオッシリアンドを「楽の音の国」の意であるリンドンと呼びます。

 

緑のエルフたちは、後にベレリアンドに到来した人間のことを嫌い、人間が自分達の住まうオッシリアンドに留まることを許しませんでした。

しかしオッシリアンドの緑のエルフたちのうち、最南部のアドゥラント川の流域に住まっていた者たちは、後にトル・ガレンにベレンとルーシエンが住まうようになると、二人に従うようになったようです。

ノグロドのドワーフたちによって、メネグロスからシルマリルとナウグラミーアが略奪された際には、ベレンは息子ディオルと共に緑のエルフたちを率いて出陣し、サルン・アスラドでドワーフの軍勢を破り、シルマリルとナウグラミーアを奪還しました。

緑のエルフについては作中に名のあるエルフは登場しません。

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