ローハンの源流は元々ゴンドールの北に住んでいた北方の自由の民と呼ばれた人々に遡ります。
ゴンドールは建国当初から北国人と友好的な関係を結んでいましたが、ゴンドール第20代目の王ヴァラカールが北国人の有力者ヴィドゥガヴィアの娘ヴィドゥマヴィと結婚し、その二人の子であるゴンドール第21代目の王エルダカールの親類によりロヴァニオン王家と呼ばれる国が北の地で興りました。
後にロヴァニオン王家が建てた国はエオセオドと呼ばれるようになります。
ローハンを建国したのはそのロヴァニオン王家の末裔でエオセオドの国主であったエオル。
映画でもローハンが突撃する時、「進めエオルの子らよ!」と叫んでいましたね。そのエオルです。
エオルが16歳だった時、父レオドは野生の白馬を調教しようとして振り落とされて死にました。
エオルはこの白馬に復讐を誓い、長い時をかけて捜し出しましたが、殺す代わりにフェラロフと名付けて自らの乗馬とします。
このフェラロフがローハン王家に伝わるメアラス族の祖となりました。
その子孫が映画でガンダルフが乗っていた飛蔭です。
その後、第三紀2510年、ゴンドールがバルホス族とオークに攻撃されて窮地に陥ると、ゴンドールの時の執政キリオンはエオルに援軍を依頼します。
しかし伝令はバルホス族とドル・グルドゥアの影の中を危険を冒して進まねばならず、さらにゴンドールから北の彼らの国までは直線距離にして450マイル、地上を旅する者にとっては800マイルもの距離がありました。
そしてもしエオルが援軍に応えた場合も、エオルは異国での戦いに赴くために、同じ途をまた南に辿らなければなりませんでした。
そのため伝令が無事エオセオドに到着する望みは少なく、エオルが要請に応える望みはさらに少ないと思われていました。
やがて援軍が来ないままバルホスの侵攻は開始され、ゴンドールは存亡の危機に陥ります。
そんな中、キリオンが派遣した急使のうち、ただ一人ボロンディアだけがエオルの下に到着します。
彼からキリオンの要請を聞いたエオルは、黙って考え込みましたが、ほどなくエオルは立ち上がって、言いました。
「行くことにしよう。もし、ムンドブルグ(ローハン語でミナス・ティリスのこと)が陥ちたら、われわれは闇からどこへ逃げればよいというのか。」
そう言ってかれはボロンディアの手を取って約束の印とします。
ゴンドールを救うためにはエオセオドの全軍が必要であることを悟っていたエオルは、非戦闘民を守るわずか数百の兵のみを後に残し、7000騎の重装騎兵と数百騎の騎馬の弓兵からなる大エオヘレ(騎兵全軍)を率いて遠征を決行します。
その騎馬軍団の威容のために、一行は行軍を妨げる何者にも出会いませんでしたが、ドル・グルドゥアに近づいた時、エオルはその暗闇を恐れてアンドゥインの側に道を逸れました。
するとロスロリアンから仄かに光る川霧が立ち昇ってきていたのを目撃します。
はじめは狼狽したエオセオドでしたが、その霧がドル・グルドゥアの闇を押し返していることに気が付くと、エオルは乗騎フェラロフの駆けるに任せます。
そして光る川霧の中をフェラロフの導くまま駆けぬけたエオセオドは、予想より速くケレブラントの野に到着することに成功しました。
ゴンドールの軍がケレブラントの野から大河に向かって追い詰められている間際に到着したエオセオドのエオヘレは、オークとバルホス族の後衛部隊を強襲してこれを打ち破ると、高地に向かって押し返し、さらにカレナルゾンの平原を縦横に駆け抜けて敵を滅ぼします。
かくしてゴンドールの危機は救われました。
戦いが終わった後、キリオンはゴンドールの危急を救ったエオセオドの民への謝意と、それに加えてかれらが北の領地を手狭に感じておりさらなる広い国土を必要としている事、そしてゴンドールにとって北方の守りが頭を悩ます問題であった事をも念頭に、エオルとその国民に人口の希薄となったカレナルゾンを割譲することを申し出ます。
エオルは感嘆してこの申し出を受け取り、両国の永久の友情を約束するエオルの誓いを立てました。
その後、エオルは北方に残っていた国民を引き連れてカレナルゾンに移住。
彼の民はゴンドールではロヒアリムと呼ばれるようになり、その国土はローハンと呼ばれるようになりました。
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