ナズグルの話

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ロードオブザリング
映画ロードオブザリングより引用

ナズグルは暗黒語で指輪の幽鬼の意。黒衣をまとい黒馬にまたがった姿から黒の乗手とも呼ばれます。

かつては九つの指輪を手にした九人の偉大な人間たちでした。

彼らは指輪によって人ならざる力を手に入れ、その盛時には強大な権勢を振るいましたが、やがて現身の肉体を失って目に見えない存在となり、サウロンの意志と一つの指輪に従属する恐るべき幽鬼と化しました。

ナズグルはサウロンの下僕の内で最も強力な存在であり、サウロンが一つの指輪を失っている間は恐怖の影に過ぎませんでしたが、それでもその首領の下に九人が一団となれば、これに抗しきる望みのある者はほとんどいなかったと言います。

 

ナズグルが最初に確認されたのは第二紀2251年頃。

サウロンが1697年にエレギオンを滅ぼして手に入れた九つの指輪を人間に与え、やがてそれらの人間が、次第にナズグルと化していったものと思われます。

第二紀末の最後の同盟の戦いで主人のサウロンが敗れると、ナズグルも一時姿を消します。

しかし第三紀1100年頃にサウロンがドル・グルドゥアで再び形を取るとナズグルも再び現われ、1300年頃より暗躍を開始します。

ナズグルのうち魔王はアングマールの王として北方に現れ、やがて北方王国を滅ぼすことになりますが、1975年には魔王はゴンドールにより北方より駆逐されます。

しかし1980年になると、当時ゴンドールの警備が手薄となっていたモルドールに魔王が出現し、他のナズグルを招集してサウロン帰還の準備を始めます。

そしてナズグルは2000年にはミナス・イシル攻撃を開始し、2002年に陥落させて、同地をミナス・モルグルに変貌させます。

サウロンが一時ドル・グルドゥアから撤退した警戒的平和の間は、ナズグルはミナス・モルグルに隠れ潜んでいました。

しかし2951年にサウロンがモルドールで公然と名乗りを上げると、ナズグルも活動を再開。

サウロンが2941年に白の会議に追われて以来打ち捨てられていたドル・グルドゥアを、3人のナズグルが再占領します。

以後しばらく、九人が公然と姿を現すことはめったになく、アンドゥインを渡ることもありませんでした。

しかし3018年(大いなる年)に一つの指輪が見出されて指輪戦争が起こると、ナズグルはサウロンの手先として出撃し、一つの指輪を追跡するとともに、モルドール軍の指揮官として戦いました。

 

ナズグルは幽界の存在であるために実体を持たず、普通の人間の目にはその姿は見えません。

幽界に身をおくことでその実体を見ることができ、一つの指輪を指にはめた時や、モルグルの刃で刺されて、一時的に幽界に身をおいたフロド・バギンズは、その不可視の実体を目にすることができました。

しかし戦闘時に生きている者を相手にするには実体がなければならないため、本物の黒装束を身にまとい、モルグルの武器で武装します。

 

ナズグルの最大の武器は、そこにいるだけで周囲に甚だしい恐怖を与えることでした。そのため多くの者は、ナズグルを前に踏みとどまって抵抗することすらできませんでした。

しかしそれは武器であると同時に、隠密行動を取りづらいという弱点でもありました。

日中にはその視覚はほとんど働かず、ただ生者の存在を影として感じ取ることができるだけで、もっぱら嗅覚に頼っています。

しかし闇夜になればその感覚は鋭くなり、生き身の人間以上に多くのことを見て取ることができます。

呪魔の込められたモルグルの武器で武装しており、それで相手の心臓を刺すことによって生き身の人間を幽界に引き込むことができます。

またナズグルと間近で接触した者は黒の息と呼ばれる呪魔に冒されることがあります。

ナズグルは実体を持たないため通常の武器では傷つけることはできず、逆に斬りつけた剣は朽ちてしまい、斬り付けた者は腕から黒の息に冒されてしまいます。

しかし、彼等に実体を与えている黒装束や乗り物を破壊することによって、一時的に無力化することは可能です。

上のエルフだけは同時に二つの世界に生きているため、実体を持たないナズグルにとっても大きな脅威でした。

またエルベレスの御名によっても大きな打撃を受けます。

さらに塚山出土の剣にはナズグルの不可視の肉体に深傷を負わせるほどの呪力が込められていました。

そして魔王以外のナズグルは、太陽の光と水を忌み嫌い、単独でいる時にそれらに晒されると混乱しがちでした。

 

名のあるナズグルは9人のうちアングマールの魔王とハムールの2人。

ファラミアはフロドにミナス・モルグルについて説明した際、彼らはミナス・イシルを奪った邪悪な人間たちの王であり、暗黒の悪に陥ったヌーメノールの人間たちであったと言われていると述べています。

また「シルマリルの物語」の「アカルラベース」では、ナズグルのうち三人は、ヌーメノール人の偉大な諸侯たちであったとの記載があります。

 

魔王は指輪の幽鬼ナズグルの首領であり、冥王サウロンの最も強力な召使。

ナズグルの弱点である太陽の光や水に対しても耐性がありました。

指輪戦争ではミナス・モルグルより出陣してモルドール軍の総大将としてゴンドール攻撃を指揮しましたが、エオウィンとメリーによって滅ぼされました。

 

ハムールは魔王に次ぐ地位にあるナズグルで「東方の影」とも呼ばれました。

ナズグルの中では魔王に次いで一つの指輪の存在を感じ取ることができましたが、日光には一番弱かったといいます。

第三紀3018年(大いなる年)当時、ハムールはサウロンの名代として、伝令役のもう一人のナズグルと共にドル・グルドゥアにいました。

一つの指輪の捜索のために魔王を含む他七人のナズグルがミナス・モルグルを出立してアンドゥインを越えて来ると、ハムールと彼の連れはケレブラントの野で魔王たちと合流します。

本編でハムファスト・ギャムジーやマゴットに「バギンズ」のことを聞いてまわり、切株村にいたる道でフロドらを追跡し、バックル村の渡しで取り逃がしたナズグルがハムールだとされています。

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