アプリゲーム、ロードオブザリング戦いの幕開けはユーザーが各勢力に分かれて勢力争いをするゲームです。
マップには原作でも特徴的な建物が再現されていますので、各勢力と建物を解説したいと思います。
この知識を理解した上でゲームをやれば、より楽しめるのではないかと思います。
なおゲームの解説ではなく原作の地理の解説です。
ゲームでは勢力争いによってある地域が別の勢力に入ったりと移り変わりがありますし、原作ではどこの地域にも属さない地域でも、ゲームではある勢力に割り振られていることもあります。
そのあたりを割り切って頂いた上で一連の記事を読んで頂くことを推奨致します。
今回は自由の民勢力の一つ、ゴンドールを紹介します。
ゴンドールはシンダール語で「石の国」を意味し、ヌーメノールの没落を逃れたイシルドゥアとアナーリオンの兄弟が建国しました。
北方王国のアルノールに対して、ゴンドールは南方王国と呼ばれました。
一時はかつてのヌーメノールを思わせるほど国力を増大させ、各地に砦や建造物を残しましたが、内乱や相次ぐ敵国との戦争によって次第に衰退し、第三紀2050年に王統が途絶えてからは執政の統治する国となります。
それでもゴンドールは隣接するモルドールの脅威にさらされながらもそれに抗して戦い、原作や映画でも自由の民側の中心となる国として描かれました。
ゴンドールについても過去にかなり記事を書いていますので、詳細はそちらの記事をご確認頂ければと思います。
ゲームではエネドワイス、タウル・ヤウア、アンドラスト、ナン・レフヌイ、長浜、ラメドン、ベルファラス、ドン=エン=エアニル、アノリアン、レベニン、イシリアン、南イシリアンといったあたりが主にゴンドールの勢力圏として位置づけられています。
エネドワイスはアルノール編で南の端と紹介したミンヒリアスと接する地です。
ゲーム上ではミンヒリアスがアルノール、エネドワイスがゴンドールという分け方を意識して作られていると思いますが、実際はこの両地域はどちらにも属さず、アルノールとゴンドールが共同管理していたというイメージが正しいです。
この地域にはアルノールとゴンドールを結ぶ南北街道と呼ばれる街道があり、南北街道と灰色川が交わる地点にはサルバドという街がありました。
サルバドは第二紀の頃から灰色川の主要な渡河地点と見なされており、サウロンとヌーメノールの間で勢力争いが繰り広げられました。
第二紀末から第三紀にかけてゴンドール、アルノールが建国されると、サルバドに町と橋が築かれ、南北街道の要衝帯として栄えるとともに、両国によって共同管理されていました。
しかし第三紀1636年の悪疫の大流行と、それに伴う南北両王国の衰退によって、サルバドも急速に寂れていき、1974年に北方王国が滅び、その後にゴンドールの王統も途絶えると、橋と要塞群は打ち捨てられ、一帯はもとの浅瀬と沼地に戻っていきます。
そして第三紀2912年には凶年の冬の雪解けによって大洪水が発生し、これによってサルバドは完全に廃墟と化しました。
エネドワイスの南にはタウル・ヤウアという地域がゲーム上にはありますが、これは原作に出てくる地名ではないので、ゲーム上の区分けなのかと思われます。
マップ上の一番南西はアンドラストという地域になっており、ここはアイゼン川とレフヌイ川に挟まれた、山がちの岬。
大海に突出し、ベルファラス湾の西端を形成しています。
そこから東に行くとナン・レフヌイという地域になっておりますが、レフヌイ川という川が原作に出てくるので、レフヌイ川周辺の地域というゲームで定義付けられたエリアなのでしょう。
ナン・レフヌイのさらに東に行くと長浜というエリアがあり、この地名はアンファラスという地の西方語での呼び方です。
ここはレフヌイ川とモルソンド川の河口に挟まれたベルファラス湾沿いの沿岸地域を指すので、実際はナン・レフヌイも長浜に含まれます。
広すぎるのでゲーム上では区分けがなされたのでしょう。
アンファラスはゴンドール辺境の諸侯国の一つであり、指輪戦争時はゴラスギルという人物が領主でした。
ペレンノール野の戦いにも参戦しています。
その東にラメドンという地域がありますが、ここもゴンドール辺境の諸侯国の一つです。
指輪戦争時はアングボールという人物が領主であり、南方のモルドール同盟軍(ウンバールやハラド)と戦っています。
またペレンノール野の戦いにも援軍として参戦しています。
ラメドンにはエゼルロンドの砦という名前で拠点が実装されていますが、エゼルロンドはモルソンドとリングロという二つの川が合流してベルファラス湾に注ぎ込む地点に建設された港湾都市で、原作にも登場します。
元々はエルフの港であり、第一紀の終わりから第二紀の初め頃、ベレリアンドから船で逃れてきたシンダールエルフによって建造され、後には海を求めてアンドゥインを下ってきたシルヴァン・エルフたちが集まりました。
以前はロスローリエンのエルフたちも、この港から西方へと旅立っていきましたが、指輪戦争の時代には、この港は伝承としてだけ残っており、エルフたちはすべて去った後でした。
ラメドンの南の地域がベルファラス。
ベルファラス湾に面する、ギルライン河口とリングロ河口の間の沿岸地域であり、西部にはドル・アムロスという都市があります。
ここもゴンドールの辺境の諸侯国の一つで、ベルファラス西部の岬にある城塞都市です。
ドル・アムロスの領主は大公(Prince)の称号を持ち、ゴンドールのドゥーネダインの中でも最も高貴な家柄の一つであり、エルフの血も流れていました。
指輪戦争当時の領主はイムラヒル大公。
ミナス・ティリス防衛にはイムラヒルが率いる騎士の一団と、700人の徒歩の兵士が参戦し、オスギリアスから撤退するファラミアも救出しています。
イムラヒムは映画では登場していませんが、原作ではデネソール亡き後、ガンダルフと共にミナス・ティリス防衛戦の指揮を代行するなど活躍。
黒門の戦いにも3500人のゴンドール兵を率いて参加し、ローハン軍とともに東側の丘に布陣して戦いました。
またレゴラスはイムラヒルとの初対面時、彼の中に流れるエルフの血に気付いています。
ラメドン、ベルファラスの東はドン=エン=エアニルという地域になっており、シンダール語で「公子の国」を意味します。
原作にはほとんど登場せず、地図上に記載があるのみですが、エアニル(公子)はドル・アムロスの大公のことを指している可能性が高いようです。
その北東はアノリアンという地域になっており、映画の中心となった首都、ミナス・ティリスがある地域です。
大河アンドゥインの西岸地域であり、北部には白の山脈が連なっています。
この山脈にはゴンドールの烽火山が連なっており、これらの烽火山には、ゴンドールとローハンの間の緊急連絡のための烽火台が用意されていました。
ゴンドールがローハンへ援軍を求めるために烽火が次々と点火されていくシーンは映画でも屈指の名シーンとなっていますね。
元々は山脈の北側もゴンドールの領地でしたが、北側のカレナルゾンは第三紀2510年にエオセオドに割譲され、ローハンとして独立しました。
そしてこの白の山脈の東端、ミンドルルイン山から突き出た丘の上に建造されたのがミナス・ティリスです。
アノリアンの南にはレベンニン(ゲームではレベニン)という地があります。
白の山脈、エシア・アンドゥイン(アンドゥイン川河口にある三角州)、アノリアン、ベルファラスの間にある緑豊かな美しい地です。
レベンニンの民はゴンドール建国以前の暗黒時代に丘陵地帯に隠れ住んでいた人々(恐らく死者の軍勢と同類の山岳民族)との混血であり、ここもゴンドールの忠実な領国の一つでした。
指輪戦争では当初レベンニンからミナス・ティリスに軍勢は送られませんでしたが、これはベルファラス湾から襲撃を仕掛けてくるモルドール同盟軍(ハラドとウンバールの海賊)に対処しなければならない為で、レベンニンの民自体は強壮な人々として知られていました。
死者の軍勢を引き連れた灰色の一行がペラルギアで海賊の艦隊を捕獲すると、噂を聞きつけたレベンニンの人々は一行の許に集い、艦隊に乗り組んでペレンノール野の合戦に参戦します。
またアラゴルン二世の戴冠式にはレベンニンの谷間から来た歌い手たちがいました。
レベンニンの地の美しさは闇の森の王国にも歌で伝わっており、レゴラスもレベンニンの歌を披露しています。
ゲームでレベンニンの拠点として実装されているペラルギアはゴンドールの港湾都市で、古くはヌーメノールのドゥーネダインによって、第二紀2350年に建設されました。
第二紀3320年にはヌーメノールの没落を逃れたイシルドゥアとアナーリオンたちの乗った5隻の船がこの近くに漂着し、彼らはゴンドールを建国したため、歴史的にはゴンドールやアルノールより古い港です。
第三紀に入ると、ペラルギアは度々海賊およびハラドリムとの戦いの舞台となりました。
第三紀1432年から1447年にかけて発生したエルダカールとカスタミアとの内戦(同族の争い)でカスタミアが王位を簒奪すると、カスタミアは海軍のことばかり重視し、海軍にとっては利便性の高いペラルギアへと王都を移そうとしました。
指輪戦争では、50隻の大型船と数えきれないほど多くの小型船からなるモルドールの同盟軍(ウンバールの海賊)に攻撃されましたが、かれらは死者の軍勢のもたらした恐怖によって一掃され、艦隊はアラゴルン二世率いる灰色の一行に鹵獲されます。
一行はペラルギアから、レベンニン、エシア、ラメドンなどの辺境の諸侯国の兵を積載してアンドゥインを遡り、合戦が行われているペレンノール野へ向かいました。
アノリアン、レベンニンの東にはイシリアンという地域があり、このイシリアンが指輪戦争時におけるゴンドールの領地の東端でした。
イシリアンはオスギリアス付近の、アンドゥイン川と影の山脈(エフェル・ドゥーアス)の間が狭くなっている地を境にして、北イシリアンと南イシリアンに分けられます。
イシリアンは天然の防衛線である大河アンドゥインの東側にありモルドールに面していたため、幾度も戦いの舞台となりました。
そしてこの大河アンドゥインに架けられた橋を中心としてその両岸にまたがって栄えた都市が、かつてのゴンドールの首都オスギリアスです。
イシリアンはゴンドールの建国当初はミナス・イシルを居城とするイシルドゥアの領地でしたが、第三紀2002年にナズグルがミナス・イシルを奪い取ってミナス・モルグルに作り変えると、イシリアンから多くの住民が逃げ出しました。
第三紀2475年にはモルドールからウルクが出現してこの地を強襲。
時の執政の長子ボロミアは敵を撃退してイシリアンを取り戻しましたが、オスギリアスは廃墟となりました。
第三紀2901年にはウルクが再襲来して、残っていた住民のほとんどがアンドゥインを渡って西へと逃げ去ります。
時の執政トゥーリン二世は踏みとどまって戦う最も勇敢な者達のためにヘンネス・アンヌーンをはじめとする隠れ処を築きましたが、この頃からイシリアンはオークの跋扈する地となりました。
そして第三紀2951年にモルドールに戻ったサウロンが公然と名乗りを上げ、第三紀2954年に滅びの山が噴火すると、残っていた最後の住人も逃げ去りました。
イシリアンは完全に敵の地に落ちましたが、執政デネソール二世はこの地の民の子孫の中からイシリアンの野伏を結成し、敵地となったイシリアンで潜入任務を行いました。
その任務に当たっていたファラミアがこの地を通過していたフロド・バギンズとサムワイズ・ギャムジーに遭遇したシーンは映画でも描写されました。
指輪戦争後はエレスサール王がファラミアをイシリアンの大公に封じ、彼と妻のエオウィンはこの地に住まいました。
またレゴラスはこの地の美しさに魅せられ、闇の森からエルフの一党の一部を引き連れてこの地に移住します。
こうしてイシリアンは再びゴンドールの美しい領国となりました。
コメント