ロードオブザリング力の指輪 シーズン1、エピソード1解説

スポンサーリンク
ロードオブザリング力の指輪

Amazonプライムにてドラマ版ロードオブザリング、ロードオブザリング力の指輪が始まりました。

まずは初回のシーズン1、エピソード1について解説していきます。

 

冒頭はガラドリエルの幼い頃の思い出から始まります。

ガラドリエルの声で物語が始まるというのは映画の1作目と同じ。

映画のオマージュを意識しているのだと感じました。

 

「始め悪は存在しなかった」

「生まれたばかりの世界はあまりにも若く太陽さえも昇っていなかった」

「それでも光は存在した」

 

というセリフからガラドリエルとガラドリエルの兄、フィンロドが会話するシーンへ。

フィンロドは初めて人間と出会い、友になったエルフとして知られています。

フィンロドは、ダゴール・ブラゴルラハの合戦で敵に包囲されたところをベオル族のバラヒアによって救われたため、以後バラヒアとその一族が危急に瀕した際には必ず助けるという誓言を立て、その証として自らの指輪をバラヒアに与えました。

これがバラヒアの指輪であり、後生に受け継がれていき、アラゴルンが手にすることとなります。

映画ロードオブザリングでアラゴルンが指にしていた指輪はこのバラヒアの指輪であり、元々はガラドリエルの兄、フィンロドが持っていたものなのです。

 

そして光り輝く二つの木のシーンへ。

この二つの木は月と太陽が空に上がる以前に至福の国アマン(ヴァリノール)を照らしていた、銀の木テルペリオンと金の木ラウレリン。

この時代は二つの木の時代と呼ばれており、ガラドリエルが生まれたのもこの時代です。

この木の光を直接見たエルフが光のエルフ、見たことが無いエルフは暗闇のエルフと呼ばれます。

光のエルフは暗闇のエルフを遙かに凌ぐ力や能力を持っており、映画に出てきた主要キャラクターで光のエルフなのはガラドリエルだけです。

 

しかし後に冥王モルゴスと呼ばれるメルコールと蜘蛛の悪霊ウンゴリアント(シェロブの祖先)の攻撃によって二つの木は枯死し、二つの木の時代が終わります。

その際、銀の木テルペリオンが最後に生じさせた銀の花から作られたのが月であり、金の木ラウレリンが最後に生じさせた黄金の果実から作られたのが太陽です。

そしてマイアのティリオンが月を、アリエンが太陽を空に導き、まず最初に月が空に昇り、そして太陽が空に昇ります。

太陽が空に昇ったと同時に中つ国で人間が目覚め、こうして第一紀が始まりました。

 

モルゴスは二つの木を枯死させシルマリルを奪い、中つ国へ逃走。

シルマリルを取り返すべく、ヴァリノールから中つ国へ渡ったエルフがガラドリエルらノルドールエルフです。

第一紀はノルドールエルフとモルゴスとのシルマリルを巡る戦争の時代でもありました。

その戦いのうちの一つと思われるシーンがドラマでもガラドリエルの回想として描かれていました。

最終的にモルゴスは倒されて第一紀が終わります。しかしモルゴスの副官だったサウロンが中つ国を支配しようと暗躍するようになります。

それがドラマ版の舞台となる第二紀です。

 

ちなみに第二紀は原作では第一紀、第三紀と比べて分量が少なく、また第二紀のガラドリエルの動向もほとんど記述がありません。

なのでオリジナルの創作がやりやすいというのもドラマ版の舞台として第二紀が選ばれた一因かもしれません。

 

ドラマではその後フィンロドがサウロンに敗れて死ぬシーンへ。

これはドラマオリジナルエピソードであり、原作ではフィンロドが死んだのは第一紀です。

フィンロドは魔力を込めた歌でサウロンと戦いますが敗れ、投獄された後、バラヒアの息子であるベレンを守るために巨狼と戦い、相討ちになって死にました。

 

その後ドラマで描かれているガラドリエルが地の果てまでサウロンを追うシーンはドラマのオリジナルエピソード。

しかしガラドリエルは光のエルフであり、ヴァリノールのエルフの中でも抜きん出た存在であり、闘技に優れ、肉体的にも精神的にも強い力を持っていたという記述があることから、戦士や隊長として描かれることに違和感はありません。

またガラドリエルはヴァリノールから中つ国へ渡る際、ヘルカラクセ、別名軋む氷の海峡とも言われる、数多の氷山がひしめきぶつかり合う恐ろしい場所を乗り越えてきています。

「その後のノルドール族の数々の功業の中でも、不屈の精神に導かれ、痛ましい悲しみに耐えて決行されたこの時の絶望的な海峡横断を凌ぐものは、ほとんどないといってよかった」

という記述があり、この経験があるガラドリエルと経験が無いと思われるドラマで描かれていたエルフとの間に温度差があることは原作を知っていれば理解できるシーンです。

 

そしてドラマではガラドリエルの回想が終わり、本編へ。ロヴァニオンのハーフット族のシーンになります。

ハーフット族はホビットの三つの種族のうちの一つ。

他の二つはストゥア族とファロハイド族ですが、映画の舞台となった第三紀では混血が進み、どのホビットが何族かという区分けは薄くなっていたようです。

原作では第二紀のロヴァニオンでハーフット族が何かをしていたような記述はありません。

そもそも中つ国の歴史にホビットが初めて登場してくるのが第三紀1050年頃ですから、ドラマでのハーフット族のストーリーは全てオリジナルです。

 

そしてドラマでは若かりし頃のエルロンドが登場。

第二紀のエルロンドがギル=ガラドやキーアダンと共にリンドンに住んでいたというのは原作通り。

ドラマでは若い時のガラドリエル、エルロンドが主役となって物語が進んでいくのでしょう。

その後ギル=ガラドが登場するシーンへ。

ギル=ガラドはノルドール第6代目の上級王。

第一紀のモルゴスとの戦争ではシリオンの河口でキーアダンと共にモルゴスの猛攻に耐え、モルゴスに抵抗するエルフ、人間の最後の拠り所となっていました。

モルゴスが滅びた後もギル=ガラドは上級王として中つ国に留まり、リンドンに灰色港を建造。キールダン、エルロンドと共に中つ国に残ったエルフを指揮しました。

 

その後の南方での人間とアロンディルのシーンはドラマの完全オリジナルストーリー。

アロンディルはシルヴァンエルフの戦士として紹介されていましたが、シルヴァンエルフとは暗闇のエルフの中でも霧ふり山脈の東に留まったエルフを指します。

彼らは光のエルフとも距離を取って暮らしていたため、光のエルフの教えを受けた暗闇のエルフであるシンダールエルフよりも知識や技量で劣っていました。

映画ホビットの登場人物で言うとレゴラスがシンダールエルフであり、タウリエルがシルヴァンエルフであり、スランドゥイルから身分違いであることを指摘されていました。

 

「エルフと人間の長い歴史の中で両者が結びついたのは二回しかない」

というセリフが出てきますが、この2回は第一紀のベレンとルーシエン、そしてトゥオルとイドリルのことです。

そして後世にはアラゴルンとアルウェン。記録に残っている中でエルフと人間が結ばれた例はこの3例だけです。

ただここでこんなセリフを入れてくるというのはアロンディルと人間の女性(おそらくブロンウィン)とのロマンスストーリーがドラマオリジナルとして描かれるのかもしれません。

 

その後のギル=ガラドとエルロンドとの会話ではケレブリンボールが登場。

ケレブリンボールは高い技術を持つエルフの宝石細工職人集団、グワイス=イ=ミーアダインの筆頭職人で、彼こそがドラマ版のタイトルでもある力の指輪の製作者となります。

彼が作る力の指輪がこのドラマの中心的な役割を果たすことになるはずです。

力の指輪が作られたのは第二紀1500年頃なので、このシーズン1、エピソード1の時代背景はその少し前であろうことがここで明らかになります。

 

その後サウロンの痕跡を示唆するような不穏なシーンが続き、ヴァリノールへ旅立とうとしたガラドリエルが船から飛び降り、そして最後の隕石?が落ちたところに倒れていたのは誰なのか?

というところでエピソード1が終了。

さてこの物語はどうなっていくのか。原作を知っていれば大筋は予想がつきますが、かなりオリジナル要素も多いので、そのあたりも楽しんで観ていくことに致しましょう。

コメント