ロードオブザリング力の指輪、シーズン1、エピソード3はアロンディルがオークに連れ去られていくシーンから始まります。
エピソード1でガラドリエルと共にサウロンを追っていたエルフの「オークの姿もここ何年も見ていない」というセリフとの対比から中つ国で悪の勢力が勃興していることを示すシーンとなっています。
そして場面は漂流していたガラドリエルとハルブランドのシーンへ。
二人を救ったのはヌーメノール人のエレンディルでした。
エレンディルは原作では第二紀3320年の生まれなので、力の指輪が作られた第二紀1500年頃と全く時代が違う人物ですがドラマのオリジナルストーリーとして解釈するしか無いところです。
エレンディルが最初にガラドリエルにかけた言葉。「エルダールがこの私の船にいる」というセリフ。
エルダールという単語はエルフ語でのエルフを意味し、エルフと同義語という解釈で問題ありません。
そしてガラドリエルとハルブランドはヌーメノールに到着。ガラドリエルのセリフからは「最も西方に近い人間の国」「島の王国」と紹介されていました。
ヌーメノールは第一紀の宝玉戦争で冥王モルゴスと戦った人間(エダイン三家)のために、ヴァラールが報償として与えた地です。
この地に住む人間はヌメノール人もしくは「西方の人」の意であるドゥーネダインと呼ばれました。つまりアラゴルン二世まで繋がる血脈となります。
ヌーメノールの初代の王はエルロンドの兄弟であるエルロス・タル=ミンヤトゥア。
元々「人間」は世界の環に束縛されないという「死すべき運命」がヴァラールからの恩寵として与えられていたのですが、冥王モルゴスはその恩寵を自らの支配する暗闇と混同させることで汚し、人間が死を恐れるように仕向けました。
人間が弱く、堕落しやすく、悪に誘惑されやすいのはそのためです。第一紀の宝玉戦争ではほとんどの人間がモルゴスについて戦い、エダイン三家と呼ばれる数少ない人間のみがエルフやヴァラールの側について戦いました。
南方国のシーンでは「モルゴスについて戦った人間」という表現が多く出てきますが、これは彼らだけに当てはまる表現ではありません。
「ほとんどの人間が悪の勢力について戦った。一方正義の側について戦った数少ない人間に対して報償として与えられた地がヌーメノールである」
ということを理解して観る必要があります。
その後のガラドリエルのセリフで「かつてはエルフも自由に行き来していた。親族も同然に。ある時からエルフの入国を拒み、以後交流は絶えた」とあります。
ヌーメノールはヴァラールの恩寵とエルフとの交友によって非常に繁栄し、中つ国の人間を遥かに凌駕する文明を誇りました。
しかしヌーメノール第14代の王、タル=アンカリモンの時代から不死の命を持つエルフを妬み、死すべき運命への恐れから、命を呼び戻す、あるいは寿命を延ばす研究を行うようになりました。
彼らはヴァラールやエルフを敵視しましたが、皮肉なことに彼らの考え方がヌーメノール人の大多数に支持され、多数派となりました(王党派)
一方でヴァラールとエルフへの敬愛と親交を保ち続けた者たちは節士派と呼ばれ、時に王党派からの迫害を受けながらもヌーメノール西部のアンドゥーニエに集まり、エルフとの友好を保ち続けました。
エレンディルは節士派の一人です。
その後のシーンでは女王のミーリエル、執政のファラゾーンが登場。
ミーリエルはヌーメノール第24代目の王、タル=パランティアの娘。
タル=パランティアはそれまでの王たちが行ってきた反ヴァラール・反エルフ的な方針を悔いて敬愛を復活させようと試みた王でした。
しかし多くの国民の心をなびかせることは出来ず、王党派を率いる弟のギミルハードとその息子ファラゾーンの妨害にあったため改革を遂げることはできませんでした。
そのファラゾーンがドラマのこのエピソードでは執政として登場しましたが、父のギミルハードに似て傲慢で、王党派の筆頭格としてヴァラールやエルフを敵視していた人物です。
原作の通りであればミーリエル、ファラゾーンがここからヌーメノールの物語を動かしていくことになるのですが、ドラマのネタバレになる可能性があるので今回の記事では触れずにおきましょう。
そして船のシーンではエレンディルの息子、イシルドゥアが登場。
彼は言わずもがな、後に最後の同盟の戦いでサウロンの指から指輪を切り落とした人物ですね。
しかし指輪の誘惑に負けて指輪を滅びの山に投げ込むことをせず、我が物にしようと考え、そしてあやめ野でオークに襲われて命を落としました。
映画を観た方であれば記憶に残っているシーンかと思います。ドラマではイシルドゥアがここからどう物語を作っていくのでしょうか。
ちなみにドラマではイシルドゥアの妹、エアリエンが出てきますが、彼女はドラマのオリジナルキャラクター。原作ではイシルドゥアに妹はいません。
ドラマの場面は再びヌーメノールに戻り、白の木が出てきました。
この白の木は始源の木テルペリオンを模して作られたガラシリオンという植物が後にヌーメノールに持ち込まれたものです。
ヌーメノールに持ち込まれた白の木はニムロスと呼ばれ、この木はタル=パランティアによって王家の運命と結びついていると予言されました。
この木の実が中つ国にもたらされて、ゴンドール建国時に植えられたものが、映画にも出てきたゴンドールの白の木となります。このあたりの経緯もドラマで今後描かれることになるでしょう。
その後のミーリエルとエレンディルの会話。
ミーリエルの「エレンディル。変わった名前じゃ。そなた生まれは西海岸か」というセリフ。
エレンディルという名の意味は「星を愛する者、エルフの友」という意味であることを説明しています。
西海岸というのは先ほどご説明した節士派が集まる地、ヌーメノール西部のアンドゥーニエのことを指しているのでしょう。
つまりエレンディルがヴァラールやエルフを敬愛する節士派であることを示唆しているシーンです。
そしてその後のミーリエルのセリフは節士派がこの時のヌーメノールの時代に歓迎されていないことを示唆しています。
アロンディルとオークのシーンを挟んで(ドラマのオリジナルストーリーなので特に解説すべきシーンはなし)ガラドリエルとエレンディルのシーンへ。
節士派が残るヌーメノール西部へ馬で向かうことになります。
そして着いた先でのセリフではエルロスの名が出てきました。
エルロスは先ほどご説明したようにヌーメノールの初代の王です。エルロンドとは兄弟。
エルロス、エルロンドの両親はエアレンディルとエルウィング。
エアレンディルは人間の父トゥオルとエルフの母イドリルの間に生まれたため、人間とエルフのハーフです。
そしてエルウィングも人間のベレンとエルフのルーシエンの孫にあたり、人間とエルフの両方の血を継いでいます。
つまりエルロスとエルロンドはエルフの血も人間の血も入っており、どちらの運命を選ぶこともできました。
エルロスは人間として生きることを選び、ヌーメノールの初代の王に。
そしてエルロンドはエルフとして生きることを選び、中つ国に留まりました。
その後のガラドリエルとエレンディルの会話。
エレンディル「礼なら先代の王に。彼のおかげでここが壊されずにすんだ」
ガラドリエル「エルフに忠実だったの?」
エレンディル「今も忠実だ。そのために王位を追われた」
というセリフがありますが、これは先ほどご説明した24代目の王、タル=パランティアのことでしょう。
そしてガラドリエルがここでもサウロンの計画を見つけます。
ここで映る南方国の地図は後のモルドールの地形に酷似しています。おそらく南方国が後にサウロンによって支配されてモルドールになることを示唆しているのではないでしょうか。
アロンディルとオークのシーンもそれに繋がります。木を切り倒して荒れ地に変え、天然の要塞にしようとしているのではないかと思います。
「サウロンが戻っていれば南方国は始まりにすぎない」というガラドリエルのセリフでこのシーンが終わります。
その後ハーフット族のシーンに切り替わりますが、相変わらず謎の人物の正体はわかりません。
そしてシーンは再びヌーメノールへ。エレンディルとイシルドゥアとの会話では「アナーリオン」の名も出てきました。
アナーリオンはエレンディルの息子でイシルドゥアの弟。今後ドラマに登場することもあるはずです。
ちなみに映画の1作目に出てきたアルゴナスの石像はイシルドゥアとアナーリオンです。
そしてガラドリエルとハルブランドの会話のシーンからミーリエルのシーンへ。
ミーリエルが塔に幽閉されているタル=パランティアの元へ向かい、「恐れていたことが。父上どうすれば。エルフが現れました」というセリフを言います。
ここの記事でもすでに何度も出てきているタル=パランティア。ドラマではまだ姿は出てきていませんが、次話以降は主要な人物として登場してくることになるのではないでしょうか。
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