映画でもお馴染みのガラドリエル様。実は人間が生まれる遥か昔、二つの木の時代から生きている上のエルフである。
父はノルドールの上級王フィンウェの息子フィナルフィン。母はアルクウァロンデのテレリの王オルウェの娘エアルウェン。また、父方の祖母はヴァンヤールの上級王イングウェの縁者インディス。
このためガラドリエルは、父方からヴァンヤールの金髪を、母方からテレリの銀髪を受け継いでおり、その髪は金の木ラウレリンと銀の木テルペリオンの光が混ざり合ったようだと讃えられた。
その髪の光輝に魅せられたフェアノールが髪の毛を分けてほしいと三度頼んだが、彼女は頑なに拒み、それがフェアノールにシルマリルを制作することを思い立たせたという。
彼女はヴァリノールのエルダリエの中にあっても抜きん出た存在であり、闘技に優れ、肉体的にも精神的にも強い力を持っていた。
フェアノールとは常に不仲であったが、フェアノールが、復讐とシルマリル奪還のためモルゴスを追跡して中つ国へ帰還することを呼びかける演説を行うと、ガラドリエルはそれに触発されて未踏の中つ国の原野への憧憬と、そこに自分の王国を打ち立てるという野心を掻き立てられる。
父のフィナルフィンはアルクウァロンデの同族殺害とそれに下されたマンドスの呪いに後悔し、進軍を取り止めてアマンへ引き返したが、ガラドリエルを含む五人のフィナルフィンの子らは、フィンゴルフィンの子らへの愛情から進軍を続けることを選ぶ。
かれらはフェアノールに裏切られてアラマンに置き去りにされても、ノルドールの大多数を指揮してヘルカラクセを横断し、中つ国への帰還を果たした。
第一紀に入ると客人として訪れたドリアスでケレボルンと出会い、その地に移り住む。そしてドリアスの女王であるマイアのメリアンから多くの教えを受けた。
第二紀に入り、サウロンの一つの指輪の存在が明らかになったとき、三つの指輪を分散して隠すようケレブリンボールに勧めたのはガラドリエルであるとされる。
ガラドリエルはケレブリンボールから水の指輪ネンヤを受け取り、以後この指輪の守護者となった。
第三紀に入ると、ガラドリエルとケレボルンは、統治者のいなくなったロスローリエンに迎えられ、この地を治めるようになる。だが二人は君主としての称号を帯びることをせず、あくまでガラズリムの指導者かつ守護者としての立場に留まった。
ロスローリエンの地でガラドリエルは、第三紀の中つ国のエルフの中で、最も力ある者となった。
彼女はネンヤの力を使い、ロスローリエンが過ぎ去った上古の世を偲ぶ避難所となるように心を配ったが、中つ国から次第にエルフの力が消失し、ロスローリエンに保たれていた上古の世の夢が急速に灰色の目覚めに向かっていることを悟ると、悲嘆と不安に満たされた。
一方で、蘇ったサウロンの脅威に対抗するため、エルフと魔法使いの賢者らを招集して白の会議を結成する。映画ホビットではドル・グルドゥアに捕らえられたガンダルフの救出に現れ、サウロンをドル・グルドゥアから撃退。
サルマンやガンダルフ、エルロンドがガラドリエルを格上の相手と見て話していたことからも、彼女はかなりの実力の持ち主であることが伺える。
指輪戦争では指輪戦争ではモリアを抜けてきた指輪の仲間をロスローリエンに匿い、かれらに助言と助力を与えて送り出した。
この時フロドから指輪を預かってもらうように頼まれるが、自らの指輪を求める誘惑に打ち勝つ。仮にこれほどの力の持ち主のガラドリエルが指輪を手にしていたら、間違いなくサウロンを上回る最強の女帝になっていたであろう。
一つの指輪が破壊されサウロンが滅ぼされると、ガラドリエルはケレボルンが指揮するロスローリエンの軍勢と共に進み、ドル・グルドゥアの要塞を破壊して浄化した。
そしてケレボルンやエルロンドたちと共にミナス・ティリスまで赴き、エレスサール王とアルウェンの結婚式に参列。
ゴンドールからローハンへのセオデンの葬列にも参加して一時エドラスに滞在した後、アイゼンガルドで木の鬚に会ってから、他の者に別れを告げ、ケレボルンと共にロスローリエンへと戻った。
だがガラドリエルは力の指輪の力が失われていくのを感じ、第三紀の終わり3021年9月22日に、他の三つの指輪の守護者と指輪所持者たちとともに灰色港よりアマンへ去った。
彼女はヴァラールに反抗して中つ国へと向かったことの浄罪として、アマンの大陸ではなくトル・エレッセアにとどまったという。
二つの木の光を見た上のエルフの中でも抜きんでた力を持っており、さらにマイアのメリアンから教えを受けたガラドリエル。
自由の民側の第三紀最強は間違いなく彼女であろう。
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