トレヒ・ウンゴルの洞窟に棲む、巨大な蜘蛛のような姿をした怪物。ウンゴリアントの末裔で、闇の森などに巣くう邪悪な蜘蛛の祖。
上古のエレド・ゴルゴロス近辺に生息していた蜘蛛の一体で、怒りの戦いによるベレリアンドの水没を逃れてモルドールの地に辿り着き、トレヒ・ウンゴルを巣としてそこを恐怖と暗闇で満たした。
サウロンはシェロブのことを「猫」と呼んでキリス・ウンゴルの番人代わりに利用しており、巣の近くを通るオークがしばしば餌食になっても黙認していた。さらに使い途のなくなった囚人を餌として送り込むこともあったという。
一方でシェロブ自身はサウロンのことは意に介しておらず、自らの欲望にのみ従って生きていた。
第三紀2980年頃にモルドールの境界に辿り着いたゴクリはシェロブに出会い、彼女を崇拝するようになる。
大いなる年にゴクリはフロド・バギンズとサムワイズ・ギャムジーをトレヒ・ウンゴルまで誘導し、シェロブの餌とすることで一つの指輪を奪回しようと謀った。
フロドとサムワイズはつらぬき丸とガラドリエルの玻璃瓶によってシェロブの糸と暗闇を突破したが、シェロブは突出して走っていたフロドに追いつき、彼の首に麻酔性の毒を注入して仮死状態に陥れる。
そのままフロドを蜘蛛の糸でくるんで餌食として運び去ろうとしていたところ、追いついてきたサムワイズから予想外の反撃を受けた。
サムワイズは右手の塚山出土の剣でシェロブの複眼の一つを刺し、さらに体の下に入り込んでつらぬき丸で深く斬り付ける。
シェロブはサムワイズを押しつぶそうと身を沈めたが、そのためにサムワイズが両手で構えたつらぬき丸の刃をより一層わが身に突き立てる結果となり、これまで受けたことのない深手を負わされた。
さらにサムワイズの掲げた玻璃瓶の光が傷口から体内に浸透したことで、完全に撃退された。
サムの勇気により追い払われたが、ガラドリエルの玻璃瓶のエアレンディルの光がなければまず勝つことは不可能だったであろう。
作中では巣に逃げ帰ったシェロブが受けた深手に苦しみ続ける描写があるだけで、そのまま死亡したのか生き延びたのか、最終的にどのような運命をたどったかはいかなる物語にも語られていないという。
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