指輪の仲間たちが持っていた武器の話を紹介します。
・ガンダルフ・・・グラムドリング
第一紀にゴンドリンで鍛えられた剣で、オーク(ゴブリン)が近くにいると刃が青白く輝いて警告を発します。しかし映画ではフロドのつらぬき丸との差別化のため、光る描写は無くなりました。
柄には宝石があしらわれ、鞘も美しい作りになっています。トーリン二世のオルクリストと対になっている剣です。
エレボールへの遠征途上、トーリンとその仲間がトロルの森でトロルの岩屋を調べた際、貯蔵品の中からオルクリスト、つらぬき丸と共に発見されました。
裂け谷で剣を鑑定したエルロンドによると、元来はゴンドリンの王(トゥアゴン)が身に付けていた剣であり、ゴンドリンの没落によってオルクリストともども失われ、それが流れ流れてエリアドールのトロルが死蔵する事になったと考えられるとのことです。
・アラゴルン・・・アンドゥリル
エレンディルの剣であった折れたる剣ナルシルが鍛え直されたものです。
元々は第一紀のドワーフの名工テルハールによって鍛えられたという剣でした。
最後の同盟でエレンディルの振るうナルシルは、ギル=ガラドの振るう槍アイグロスと共にモルドールの軍勢に多大なる脅威を与え、同盟軍はダゴルラドの戦いで勝利を得ます。
滅びの山の山腹で行われた最後の戦いにおいても、エレンディルはナルシルを手にサウロンと戦いましたが、エレンディルは戦死して、ナルシルは彼の体の下で二つに折れます。
イシルドゥアは折れたナルシルの柄本に残った刃で、倒れたサウロンの指を切り取って一つの指輪を我が物とします。
こうしてナルシルは折れたる剣となりましたが、サウロンの手から指輪を失わせたこの剣は、サウロンにとって憎しみと恐怖の的になります。
イシルドゥアはこの折れた父の剣も携えてアルノールへの帰路につきますが、その途中あやめ野でオークに襲撃されて落命。
ナルシルの破片は、イシルドゥアに命じられてその場を脱出したオホタールによって持ち出され、オークの略奪から救われました。
以後ナルシルは北方王国の宝器として受け継がれ、北方王国が滅亡してからは他の宝器(バラヒアの指輪、アンヌーミナスの王笏、エレンディルミア)と共に裂け谷に預けられます。
その間ずっとナルシルは折れたままにされていましたが、これは「サウロンの一つの指輪が再び見出されたとき、折れたる剣も鍛え直されるべし」とエルロンドによって予言されたからです。
そしてアラゴルン二世が成人すると、折れたままのナルシルは、エルロンドからアラゴルンに与えられました。
エルロンドの会議で一つの指輪が確認され、指輪の仲間の出立が定まると、折れたる剣はエルフの刀鍛冶によって鍛え直され、アラゴルン二世から新たにアンドゥリルと命名されました。
また指輪の仲間がロスローリエンを発つとき、ガラドリエルはこの剣のためにしつらえた鞘をアラゴルンに贈り物として与えました。
角笛城の合戦の後、オルサンクのパランティーアを手に入れたアラゴルンは、それを使ってサウロンに挑戦し、鍛え直されたアンドゥリルを目の当たりに示します。
遺恨のあるこの剣が、エレンディルの世継ぎによって鍛え直されたと知ったサウロンは大いに怒り、予定より早く西方との全面戦争を引き起こすこととなりました。
・レゴラス・・・ガラズリムの弓矢と矢筒
ロスローリエンを発つ時にガラドリエルから贈られたもの。もともと使っていた闇の森のエルフの弓より長く丈夫で、弦にはエルフの髪の毛が使われています。
レゴラスはこれでアンドゥインを監視していたナズグールの乗騎を射落とす勲を挙げました。
・フロドバギンズ・・・つらぬき丸
エレボールへの遠征途上、トロルの岩屋で発見された剣。グラムドリング、オルクリストと共に発見されたため、第一紀のゴンドリンで鍛えられたものであろうと想像されます。
その後ゴブリン町において、グラムドリング・オルクリストと同様に刀身が青白く光ってゴブリンの接近を知らせる力があることが判明し、そのふた振りと同じくゴンドリンのノルドールの手により作られたものであることがわかりました。
ベレリアンドの剣であるため、かつてナン・ドゥンゴルセブなどに巣くっていた蜘蛛に対する力を与えられており、そのためシェロブや、シェロブの眷属、かれらの紡ぐ糸に対して有効でした。
闇の森では大蜘蛛を多数倒し、ここでビルボによって「つらぬき丸」の名が与えられました。
単純に剣としても優れた業物であり、非力なホビットの手によっても、岩のように硬いトロルの皮膚や、塚山出土の剣を弾き返したシェロブの糸などを易々と貫通、切断することができました。
つらぬき丸は、旅を終えたビルボによってそのままホビット庄に持ち帰られ、裂け谷でフロドと再会したビルボは、フロドが指輪所持者として旅立つのに際し、つらぬき丸を渡します。
以後つらぬき丸は、その鋭さと危険を知らせる力によって指輪の仲間の旅の大きな助けとなります。
大河下りおよびパルス・ガレンにおいては、青く光って敵襲を知らせ、エミン・ムイルでは、寝込みを襲いにあらわれたゴクリに対して突き付けられ、彼を脅しておとなしくさせるのに使われます。
フロドがシェロブに襲われた時、取り落とされたつらぬき丸をサムが拾い、サムはつらぬき丸によってシェロブにかつてない深手を負わせて撃退することができました。
・サムワイズギャムジー・・・塚山出土の剣
フロドら四人のホビットが塚人に囚えられた塚にあった副葬品の中から、トム・ボンバディルが彼らの護身用にと選んで与えた剣です。
人間にとっては短剣ですが、短躯のホビットにとっては剣にあたります。
北方王国のドゥーネダインの手になるもので、ヌーメノールの技術で鍛えられた鋭利な刃を持ち、モルドールの滅びを願う呪文が周りに刻まれています。
そのためナズグールの呪力を打ち破り、これを破滅させるほどの力が宿っていました。
モリアの壁では水中の監視者の腕を切りつけてフロドを救い、マザルブルの間での戦闘ではオークを一人倒しました。
シェロブとの戦いでサムは右手に自分の剣、左手に落ちていたつらぬき丸を持ち、自分の剣でシェロブの複眼の片方を刺します。
その後、サムは自分の剣を仮死状態で横たわるフロドの許に残し、フロドがキリス・ウンゴルの塔に囚われた時にオークのシャグラトに奪い取られました。
剣はフロドの他の装身具と共に黒門の戦いでサウロンの口が西軍の大将達を脅迫するのに使用しましたが、ガンダルフが奪い返し、コルマルレンの野でサムに返却されました。
・ペレグリントゥック・・・塚山出土の剣
基本的な性質はサムのところで説明した内容と同様です。
パルス・ガレンで襲来したオークと戦うのに使われ、剣を取り上げたウグルクは、火傷でもしたかのようにその場で剣を投げ捨てました。
そのためアラゴルン二世が発見して預かり、アイゼンガルドで二人と再会した際に返却します。
その後、ピピンはこの剣でデネソール二世に忠誠を誓いました。剣を手に取ったデネソールはそれが北方のドゥーネダインの作であることを看破しています。
黒門の戦いでは、山トロルの首領を急所を突くことで倒しました。
・メリアドクブランディバック・・・塚山出土の剣
基本的な性質はサムのところで説明した内容と同様です。
メリーはこの剣でパルス・ガレンで襲来したオークの腕を幾本も切り落とします。
二人が捕まった後はピピンの剣と同様の経緯を辿り、アイゼンガルドでアラゴルンから返却されました。
その後、メリーはこの剣でセオデンに忠誠を誓います。
ペレンノール野の合戦ではエオウィンの助太刀として魔王の膝の後ろを突き刺し、魔王の呪力を打ち破って深傷を負わせます。
これによってエオウィンは魔王に止めを刺すことができました。役目を果たした剣は、火のついた枯れ枝のように燃え尽きてしまいました。
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