アングマールの魔王の話

スポンサーリンク
ロードオブザリング
映画ロードオブザリングより引用

ナズグルの首領であるアングマールの魔王についてまとめます。

魔王は九つの指輪を授けられたナズグルの一人として、第二紀2251年頃にはじめて姿を現します。

第二紀末に最後の同盟によってサウロンが敗れると、一時姿を消しましたが、第三紀になり、サウロンがドル・グルドゥアで再び形を取ると、魔王も再び現れました。

第三紀1300年、魔王はサウロンの命を受けて北方に出現して魔国アングマールを築き、その王として君臨します。その目的は、分裂したドゥーネダインの北方王国を滅ぼすことでした。

1409年から1636年にかけて断続的に続いた戦いと悪疫で、分裂した北方王国のうちルダウアとカルドランは滅亡。

アモン・スールの塔は毀たれ、ティルン・ゴルサドには魔王が送り込んだ悪霊である塚人が巣食うようになりました。

そして1974年、ついにアングマールは最後に残ったアルセダインを滅亡させます。

最後の王アルヴェドゥイはフォロヘル湾に逃れましたが、魔王が招来した寒波のために海上で氷雪に閉ざされ、命を落としました。

こうして北方王国アルノールは終焉を迎え、魔王はアルセダインの王都フォルンオストをわがものとしてこれを邪悪な輩で満たしました。

しかし1975年、ゴンドールからの援軍を率いるエアルヌアが、遅ればせながらもリンドンに上陸。

それにキーアダンの軍勢とアルノールの生き残りの軍勢が合流し、アングマールへの反撃を開始します。

魔王はフォルンオストから撃って出て、ネヌイアル湖と北連丘の間で大合戦が行われました(フォルンオストの合戦)

この戦いでアングマール軍は敗退し、カルン・ドゥームへ遁走に転じたところを、追いついてきたエアルヌアの軍勢とグロールフィンデル率いる裂け谷の軍勢に迎撃されて殲滅されます。

その最後に、黒の長衣に黒の仮面をつけた魔王その人がエアルヌアの前に現れます。

この時、エアルヌアの乗馬が恐怖により発狂して、魔王と戦う前にエアルヌアを運び去ってしまい、それを見て魔王は笑います。

しかしグロールフィンデルがやってくると再び逃走に転じて姿を消しました。

エアルヌアは魔王を追おうとしましたが、グロールフィンデルは彼を留めて、次のように予言します。

「かれを追跡なさるな! かれはこの土地には戻らぬだろう。かれの滅びる日はまだ遠い先のことだ。それにかれは人間の男の手では討たれぬだろう。」

こうしてアングマールは滅び、魔王は北方から駆逐されましたが、北方王国もまた荒廃に帰し、アルノールのドゥーネダインは野山をさすらう野伏となることを余儀なくされました。

 

北方から姿を消した魔王はモルドールに帰還し、その地に他のナズグルを召集します。

2000年にナズグル率いる軍勢はキリス・ウンゴルを越えてゴンドールのミナス・イシルを包囲攻撃し、2002年にこれを陥落させました。

以後、ナズグルに占領されたミナス・イシルは幽鬼の都と化し、ミナス・モルグルと呼ばれるようになります。

それでも魔王は、北方で自らを敗北せしめたエアルヌアに強い憎しみを向け続けていました。

2043年にエアルヌアがゴンドール王として戴冠すると、魔王は北方の戦いでは自分の前に立つこともできなかったではないかとエアルヌアを嘲り、ミナス・モルグルで自分と一騎打ちをするよう求めます。

この時は執政マルディルがエアルヌアを制止しましたが、2050年に魔王は再びエアルヌアを挑発して若年の頃の意気地のなさに今では老齢の弱気を加えていると嘲りを重ねます。

この時はマルディルも王を制止しきれず、エアルヌアは僅かな供回りだけを連れてミナス・モルグルへ向かい、そのまま戻りませんでした。

こうして魔王は復讐を果たし、エアルヌアには子がいなかったため、ゴンドールの王の血筋は絶えてしまいました。

以来魔王は配下のナズグルと共にミナス・モルグルに潜み、2942年にサウロンがモルドールに帰還するまでその準備を進めました。

 

その後、捕えられたゴクリの口から一つの指輪が再び見出されたことが判明すると、魔王率いるナズグルは指輪を奪回する命を受けて、モルドールより出撃。

大いなる年の3018年、魔王はモルドール軍を指揮してオスギリアスを攻撃し、ボロミアとファラミアの部隊に打撃を与えます。

それに乗じてナズグルは衣装をまとわず目に見えない姿で密かに橋をわたりアンドゥインを越え、その先で馬と装束を受け取って指輪の追跡を開始しました。

魔王の指揮の下、ホビット庄に到達したナズグルは庄境を守る野伏を追い散らした後は分散行動を取り、魔王自身はブリー村の南アンドラスに野営していました。

その時に塚人を含む古森と塚山丘陵一帯の悪霊を呼び起こします。

その後、風見が丘において指輪をはめたフロド・バギンズを、魔王はモルグルの短剣によって刺し、瀕死の深手を負わせます。

魔王たちナズグルは、モルグルの刃の傷によって幽界に引きずり込まれようとするフロドを追跡し、ブルイネンの浅瀬において9人全員でフロドを追い詰めたものの、エルロンドとガンダルフの起こしたブルイネンの水流に押し流されて馬と外見を失い、追跡は失敗に終わりました。

 

モルドールに逃げ帰った魔王は、サウロンより力を吹き込まれて復活。

西方との全面戦争の烽が上がると、魔王はミナス・モルグルより出陣してモルドール軍の総大将としてゴンドール攻撃を指揮し、ペレンノール野の合戦においてその姿を見せます。

グロンドと呪文によってミナス・ティリスの大門を破壊した魔王は、騎馬姿で入城を果たし、そこで白のガンダルフと対峙します。

しかし曙光と共にローハンの軍勢がやってくると、魔王はこの希望を打ち砕くべく門から身を翻して立ち去り、恐るべき獣を駆ってセオデンを強襲しました。

倒れたセオデンに手をかけようとする魔王の前に立ちはだかったのは、若武者デルンヘルムに身を扮したローハンの姫エオウィンでした。

さらに、正体を現したエオウィンの声に勇気づけられたホビットのメリアドク・ブランディバックの手には、かつて魔王が滅ぼした北方王国で作られた塚山出土の剣がありました。

魔王は黒い矛を振るってエオウィンの左腕を盾ごと砕きますが、背後から忍び寄ったメリーが塚山出土の剣を魔王の膝裏に突き刺して彼を不死身にしていた呪力を打ち破り、そしてエオウィンが頭のあるべき空隙に剣を突き刺したことで、遂に魔王も滅ぼされます。

かくして、グロールフィンデルの「人間の男の手」によっては倒されないという予言は成就しました。

コメント