ウルクハイは暗黒語で「オーク族」の意ですが、一般的には第三紀に現れた大型の兵隊オークのことを指します。
普通のオークよりも大柄で、太陽の光に対する耐性があり、戦闘能力も高い種族です。
映画ではサルマンがオークと人間を妖術で掛け合わせて作っていましたが、モルドールのサウロンの軍勢にもウルクハイはおり、どちらが起源なのかは不明です。
モルドールのウルクハイは第三紀2475年、執政デネソール一世の時代に初めて現われてゴンドールを襲います。この戦いでオスギリアスは廃墟と化しました。
そして2901年にはウルクハイの襲撃を受けて、イシリアンから住人の殆どが逃げ去りました。
指輪戦争においてはモリアで指輪の仲間を襲撃したオークにはモルドールのウルクハイも混じっていました。
また、フロドとサムはモルドール国内でオークの行軍を指揮するウルクハイの奴隷監督や、バラド=ドゥーアから来た重武装のウルクハイの部隊と遭遇しています。
アイゼンガルドのウルクハイは広刃の短い剣と、水松樹の弓で武装し、盾と兜には白の手や白いルーン文字のSといったサルマンの印を帯びていました。
その存在が外部の者にはじめて確認されたのは大いなる年(3018年)に入ってからのことで、ウグルクに率いられた部隊がサルマンの密命を帯びてパルス・ガレンにて指輪の仲間を襲い、ホビットをアイゼンガルドへ連れ去ろうとします。
かれらの姿はアイゼンの浅瀬の合戦や角笛城の合戦でも見られました。
木の鬚などは、太陽の光に影響されない彼らをサルマンによって堕落させられた人間か、妖術でオークと人間を掛け合わせた存在と推測しています。
ここからは作中に登場する主なウルクハイについて紹介します。
・ウグルグ
アイゼンガルドのウルクハイでパルス・ガレンで指輪の仲間を襲撃したアイゼンガルド組のリーダー。低く唸るような声と、大柄な体格を持ちます。
主人であるサルマンより「小さい人を無傷で捕らえ、アイゼンガルドまで連れ帰れ」との命を受け、モルドールから派遣されたオークや北のモリアから遠征してきた霧ふり山脈のオークと共にパルス・ガレンにて指輪の仲間を襲撃。
彼らアイゼンガルドのウルクハイはボロミアを殺害し、メリーとピピンを捕らえることに成功します。
しかしその後、捕虜の処遇を巡って一団内で争いが起こります。
グリシュナッハらモルドール組はホビットをバラド=ドゥーアへ連行すべしとの命令を受けていたためウグルクに強硬に反抗し、一方でモリアからやって来た北方組は何の命令も受けておらず、ただ仲間の復讐のために指輪の仲間を追跡してきただけであったため捕虜など捨てて北へ帰ることを要請。
アイゼンガルドへ戻るためには彼らにとって敵地であるローハンの平原を横断する必要があったため、ウグルクは一団が分裂することを許さず、数人のオークを切り伏せるなどして主導権を握り、アイゼンガルドへの不眠不休の強行軍を開始します。
しかしオークの一団は直ちにエオメル率いるローハンの騎馬隊に察知されて追跡を受けた末、ファンゴルンの森のそばにある小高い丘で包囲されます。
ウグルクには勝算があり、森に潜む別働隊である「マウフルとその子分ども」の攻撃に呼応して、包囲を突破する予定でした。
しかし合流したグリシュナッハのために捕虜のメリーとピピンには逃げられてしまい、攻撃を仕掛けたマウフルたちもローハン騎馬隊に撃退されます。
夜明けとともにオークの一団はローハン騎馬隊によって殲滅され、ウグルクは楔型陣形で包囲の一角を破ることに成功したものの、森まであと一歩のところで騎馬隊に追いつかれ、下馬したエオメルとの一騎打ちの末に討たれました。
・ラーツ
映画オリジナルキャラクター。映画ではウグルグではなくラーツがアイゼンガルド組のリーダーとしてパレス・ガレンで旅の仲間を襲撃しています。
ボロミアを矢で殺害したりアラゴルンと一騎討ちを繰り広げたりとウグルグよりもラーツの方が印象に残っている方も多いと思います。
映画1作目でアイゼンガルドの地下坑で生み出され、サルマンからオーク誕生の伝承を聞かされました。
映画ではウグルクはラーツの副将という形になっており、ラーツがアラゴルンに首を刎ねられた後はウグルグが残ったウルクハイを率いてメリーとピピンをアイゼンガルドへ向けて連れ去りました。
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