アプリゲーム、ロードオブザリング戦いの幕開けはユーザーが各勢力に分かれて勢力争いをするゲームです。
マップには原作でも特徴的な建物が再現されていますので、各勢力と建物を解説したいと思います。
この知識を理解した上でゲームをやれば、より楽しめるのではないかと思います。
なおゲームの解説ではなく原作の地理の解説です。
ゲームでは勢力争いによってある地域が別の勢力に入ったりと移り変わりがありますし、原作ではどこの地域にも属さない地域でも、ゲームではある勢力に割り振られていることもあります。
そのあたりを割り切って頂いた上で一連の記事を読んで頂くことを推奨致します。
今回は自由の民勢力の一つ、エレボールを紹介します。
エレボールの勢力圏はエレボール、灰色山脈東部、ヒースのかれ野、北方荒地、くろがね連山、赤水川、ドゥリンの谷間といったあたりがイメージされています。
首都は同名のエレボールですが、ドワーフの都市の歴史はモリアの方が古いので、先にドゥリンの谷間という地域に属するモリアを先に紹介します。
モリアはシンダール語で「黒い坑」を意味しますが、元来は「ドワーフの館」を意味するカザド=ドゥームと呼ばれていました。
元々は二つの木の時代に長鬚族の始祖である不死のドゥリンがケレド=ザラムの湖をのぞき込んだとき、自分が王位に就く幻影を見たといい、それがきっかけになって、霧ふり山脈の東おぼろ谷側にカザド=ドゥームが作られました。
不死のドゥリンは太陽の第一紀に至るまでこの地を統治し、以来カザド=ドゥームは長鬚族のドワーフの本拠地となりました。
第一紀末の怒りの戦いによってベレリアンドが崩壊すると、ドワーフの生き残りの多くはカザド=ドゥームに移住し、人口が増大していきます。
第二紀になると、ミスリルが発掘され、エレギオンのエルフとの交易によって非常に栄えます。
しかし第二紀1697年、サウロンの攻撃によってエレギオンが滅亡すると、ドワーフはカザド=ドゥームの扉を閉ざして抵抗しました。
こうしてカザド=ドゥームは外からのサウロンの攻撃を退けることに成功しましたが、そのためにサウロンの憎悪を受け、可能な時にはいつでもドワーフを苦しめるようにと全てのオークに指令が出されるきっかけとなりました。
最後の同盟の戦いでは、モリアのドワーフはサウロンを敵として戦っています。
第三紀に入っても、ドワーフはモリアで暮らし続けていましたが、ドワーフはミスリルを求めて、モリアの地を深く掘り進みすぎてしまいます。
そのため第三紀1980年、地下に潜んでいたバルログを呼び起こしてしまいました。
モリアの王であったドゥリン六世とその息子のナイン一世はバルログに殺され、生き残ったドワーフも、モリアを逃れて各地に四散しました。
以後モリアは、サウロンが送り込んだオークが徘徊する廃墟と化します。
第三紀2790年には当時の長鬚族の王スロールは放浪と狂気の果てに単身モリアに帰還しようとしましたが、そこに巣食っていたオークの首領アゾグに殺されます。
このため「ドワーフとオークの戦争」が起こり、モリアの東門の前ではナンドゥヒリオンの合戦が戦われました。
この戦いでモリアのオークは敗北しましたが、ドワーフが受けた被害も大きかったため、モリアの奪回は果たされませんでした。
そしてバルログを解き放ってしまい、モリアを追われた長鬚族が建国したのがエレボールの山の下の王国です。
エレボールはシンダール語で「はなれ山」を意味し、北の灰色山脈や東のくろがね連山から、この山だけが20マイル以上離れて孤立しています。
第三紀1999年、長鬚族の王スライン一世はエレボールにやってきてその山中に館を築き、その際アーケン石を発見します。
その後スライン一世の息子トーリン一世は、第三紀2210年にさらに北の灰色山脈に移り、長鬚族の本拠はしばらくそちらに置かれました。
この山脈は鉱物資源に富んでいましたが、この地には龍が巣食っていました。
灰色山脈の東にヒースのかれ野という荒れ地があり、龍の繁殖地だったようです。
ドワーフに対して略奪を行っていたスカサという龍が記録に残っており、このスカサはフラムという人間に退治されます。
フラムはスカサの溜め込んでいた莫大な財宝を手に入れましたが、財宝の所有権を主張したドワーフと確執が生じました。
さらに第三紀2589年には冷血竜に襲撃され、当時の長鬚族の王ダイン一世とその次男フロールらは死に、ダインの長男スロールと弟ボーリンらはエレボールへ、三男グロールらはくろがね連山へと、各地に散ることになりました。
くろがね連山はエレボールのさらに東方にある山脈で、グロールは兄スロールがいるエレボールへ鉱石を輸出しました。
くろがね連山の南からは赤水川(カルネン)という川が流れ出ており、ゲーム内でもこの地名で実装されています。
そしてエレボールは山の下の王となったスロールのもとで、歌に歌われる大きな繁栄を迎えます。
分家にあたるくろがね連山のドワーフとの交易を行い、魔力ある美しい品物や優れた武器甲冑を生産。
北方の自由の民の一派も、山の下の王国の繁栄に引きつけられて南から早瀬川をさかのぼって定住し、谷間の国を建国します。
谷間の国も山の下のドワーフの鍛冶の技術に助けられて強大化し、近隣の同族たちと力を合わせて東方の敵を寄せ付けませんでした。
谷間の国の人間達はドワーフに高値で仕事を依頼すると共に、自ら子弟を提供してその技術を学びました。
さらに別の北方の自由の民の一派も谷間の国の南、湖の畔に湖の町(エスガロス)を作りました。
防衛のために水上に町を築いたため外敵に強く、山の下の王国と谷間の国と共に繁栄しました。
しかし、エレボールとその周辺の繁栄は再び灰色山脈の龍の耳に届き、当時の最大の龍であったスマウグを招き寄せることになってしまいます。
第三紀2770年、突如飛来したスマウグによって、山の下の王国と谷間の国は滅ぼされ、その財宝は根こそぎに奪い取られてしまいました。
スマウグは山中の大広間に財宝を積み上げて寝床として巣食ったたため、生き残ったドワーフは国を捨て、多くがくろがね連山へ移住します。
そして逃げ延びたスロール王とその息子スライン、孫のトーリンは少数の一族郎党と共に放浪の旅に出て、こうして長鬚族は再び故郷を追われた放浪者となりました。
その後長鬚族の王となったトーリン・オーケンシールド(トーリン二世)はなんとか青の山脈に落ち着き、その地に築いた館に放浪する一族を集めます。
しかし彼は決して王国の奪回とスマウグへの復讐を忘れませんでした。
第三紀2941年、トーリンはブリー村で魔法使いのガンダルフに出会い、彼の助力を得て王国奪回のための計画を立てます。
そして12人のドワーフの仲間と、「忍びの者」としてホビットのビルボ・バギンズを連れ、エレボールへの遠征を行いました(ホビットの冒険)
その結果、エレボールから出てエスガロスを襲ったスマウグは、ビルボが見つけた弱点を突かれ、バルドによって討ち取られます。
さらに五軍の合戦が起こってトーリンは命を落としたものの、山の下の王国の再建が成し遂げられました。
そしてくろがね連山からやってきた鉄の足ダインが、トーリンの跡を継いでダイン二世として即位しました。
再興された山の下の王国は、スマウグに襲撃される以前の繁栄を偲ばせるほどには勢力を回復させ、同じく復興された谷間の国などとの交易によって栄えます。
指輪戦争では、山の下の王国と谷間の国はモルドールに臣従することを拒み、サウロンの同盟軍である東夷の攻撃を受けます。
ダイン二世は討死してエレボールは包囲され、谷間の国の王ブランドも戦死。
王国には多数のドワーフと谷間の国の人間が避難して籠城します。
しかし一つの指輪が破壊され、南方でのモルドール敗北の知らせが届くと、ダイン二世の跡を継いだ息子のトーリン三世はドワーフ軍を率い、谷間の国の人間とともに出撃し、動揺した包囲軍を打ち破って勝利を収めました(谷間の国の合戦)
以後、山の下の王国と谷間の国は再統一された王国(ゴンドールおよびアルノール)と長き友好関係を結び、西方の王の庇護下に置かれました。
ドワーフたちは、ペレンノール野の合戦で破壊されたミナス・ティリスの城門をミスリルと鋼で再建したといいます。
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