灯火の時代 -ロードオブザリング全史-

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ロードオブザリング
Two Lamps - Tolkien Gatewayより引用

灯火の時代とはエルフや人間が誕生する前、太陽も月もなかった時代、二つの灯火(イルルインとオルマル)の光によってアルダが照らされていた期間を指す。

 

1900ヴァラール年 ヴァラールは、外なる海に取り巻かれた中つ国を照らすために、中つ国の南北にイルルインとオルマルという二つの灯火を作った。

灯火の柱をアウレが築き、ヴァルダが光で充たして、マンウェが聖めた。そして後の世のどんな山々も遥かに及ばぬほど高い柱の上に据えられた。

 

ヴァラールは中つ国の中央にあったアルマレンの島に住まい、アルダの形成を進めていった。二つの灯火の光によって地上はまるで不変の昼間のように照らされており、地上にはヤヴァンナの考案した植物と動物が生まれ始めていた。そのためこの時代はアルダの春とも呼ばれる。

 

3400ヴァラール年 アルダの春を祝う宴がアルマレンで開かれると、トゥルカスはその席上でネッサを娶った。

一方、メルコールは密かに夜の壁を越えてアルダに戻り、北方に鉄山脈の防壁とウトゥムノの地下城砦を築き上げる。アルダの春を汚染し、中つ国に獰猛な生き物や、闇、腐敗などを発生させていった。

 

3450ヴァラール年 ヴァラールはアルダにメルコールが戻ったことを知るが、メルコールはトゥルカスが眠り込んだ隙を突いて二つの灯火を強襲してこれを打ち壊した。

灯火が倒壊した衝撃のために陸は砕け海は荒れ狂い、灯火は破壊の炎となって流れ出た。アルダは大損害を被り、その混乱にまぎれてメルコールはマンウェの怒りとトゥルカスの追跡を免れてウトゥムノに逃げ帰る。

災害の鎮圧で手一杯のヴァラールには彼を追撃する余裕はなかった。ヴァラールはアルダがこれ以上破壊されることを恐れ、大海を隔てた西方のアマンへ撤退。

かくして、アルダを育むためのヴァラールの当初の構想は打ち砕かれて二度と生かされることはなく、アルダの春は終わった。

 

ヴァラールは、メルコールとの戦いをさらに続けてアルダを傷つけ、イルーヴァタールの子ら(エルフと人間)の誕生に支障を来すことを恐れ、灯火の倒壊から起こった騒乱を鎮めることに力を注ぐことにする。

ヴァラールは中つ国からアマンへと撤退し、破滅を免れた全ての善きものをペローリの防壁の内側に集め、ヴァリノール(ヴァラールの国)を築いた。

一方でこれ以降、中つ国は非常に長い期間、ウトゥムノに君臨するメルコールの支配下に置かれることになった。

 

とは言えヴァラールも完全に中つ国を見捨てたわけではなく、ウルモの力はメルコールの暗黒の地にあっても絶えざる水の流れの形をとって配慮され、ヤヴァンナ、オロメの二者はアマンから遠く隔たった暗黒の地にも時折訪れた。

前者はメルコールのもたらした傷を少しでも癒すため、後者はメルコールの怪物を狩るためであった。

 

※アマン:中つ国を蝕む悪の影響から聖められた至福の国のこと。大海を超えた彼方、古のアルダの極西にあたることから、単に西方とも呼ばれる。

またヴァラールとその民のマイアール、およびエルフが住んでいることから不死の国とも呼ばれる。

アマンは中つ国のエルフにとっても精神的な故国であり、いつの日か中つ国を去ってエルフが行くべき場所とされている。そのため中つ国における主方位は、現在のような「北」ではなく「西」とされている。

映画のラストでフロドとビルボが去っていった先がアマンである。

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