ロードオブザリング力の指輪 シーズン1、エピソード5解説

スポンサーリンク
ロードオブザリング

ロードオブザリング力の指輪、シーズン1、エピソード5の解説です。

ハーフット族の移動のシーンから始まります。

地図では徐々に南下していることから南方国に近付いていることが伺えます。

そしてアダルが南方国へ侵攻しようとしているシーンへ。南方国の人々は大半が投降しようとします。

エピソード3の解説で人間という種族について解説しましたが、人間は弱く、堕落しやすく、悪に誘惑されやすい種族です。

第二紀の中つ国の人間も多くがサウロンを神として崇めて、サウロンに従うことになります(ここはドラマでも史実をきちんと再現しているように見えます)

 

ハーフット族が南に近付くに連れて森は裸になり、ワーグに襲われます。そこで謎の老人がワーグを撃退。

やはり彼はイスタリの誰かなのでしょうか。

 

ヌーメノールのシーンではガラドリエルがヌーメノールの戦士達に指南するシーンへ。

以前も書きましたがガラドリエルは光のエルフであり、そのヴァリノールの光のエルフの中でも抜きん出た存在であり、闘技に優れ、肉体的にも精神的にも強い力を持っていたとされる人物です。

ヌーメノールの兵士達を軽くあしらうくらい赤子の手を捻るくらい簡単なことでしょう。そんなガラドリエルの剣技の強さを映像で見ることができるというのは嬉しいですね。

とはいえヌーメノール人も中つ国の人間より遙かに強靱な精神と肉体を持つドゥネダイン。

指輪戦争ではドゥネダインの血を引くアラゴルンが作中屈指の強さを見せましたが、ヌーメノール人はいわば純血のドゥネダインなわけです(アラゴルンのように遠い先祖の血というレベルではない)

戦闘経験の差などから現在の強さを単純比較はできないにしても、ドラマでガラドリエルの対比としてモブっぽく描かれたヌーメノールの兵士すらポテンシャルでは一人一人がアラゴルンを遙かに凌駕する実力の持ち主です。

きちんと訓練を積めば兵士1人1人がアラゴルンと同等もしくはそれ以上の強さになり、そんな兵士の大軍で戦争に向かうわけですから、いかにヌーメノールが巨大戦力かということがおわかりかと思います。

 

その後のファラゾーンとケメンが会話するシーンではケメンの「父さんは先王が政治を昔に戻そうとした時、1人で阻止したじゃないですか」というセリフに着目。

先王というのは何度も解説してきたミーリエルの父、ヌーメノール第24代目の王タル=パランティアのことです。

タル=パランティアはヴァラールとエルフに対する敬愛を復活させようと試みた王です。

しかし弟のギミルハードとギミルハードの息子であるファラゾーンに阻止されたのです。

その後に続くファラゾーンのセリフでは今回の戦争で中つ国を助けることにより得られるリターンをしっかり計算していることがわかります。

 

次に解説するのはドゥリン王子がリンドンに訪れたシーン。

ギル=ガラド、ドゥリン王子の双方のセリフから「アウレ」という単語が出てきていますので、このタイミングで解説します。

ドゥリン王子は「このテーブルはどこからきたと思う?どれもがアウレからの授かり物と思っている」と言っていますが、この言葉は誇張でも何でも無く、この世界の陸地とすべての物質を作り出したのがヴァラールの1人に数えられるアウレです。

またの名を偉大な工人、造り主アウレと呼ばれます。

彼はメルコール(モルゴス)と互いに似通った才能と発想を持っていましたが、メルコールは嫉妬と所有欲から様々な物を創造したのに対し、アウレは作ることそのものを喜びとしていました。

先述した通り、世界を創造する際に中心的な役割を果たしたヴァラールの1人ですが、メルコールが世界を破壊するたびに修復を繰り返すことで、やがて疲れて力をすり減らしていきました。

それでもアウレはあらゆる技術に精通しており、さまざまな細工物や建造物を造り出し、ノルドールエルフにも様々な技術を教えました。

またサウロンやクルモ(中つ国に来る以前のサルマン)も元々はアウレに仕えるマイアールでした。

 

アウレが作り出した創造物の中でも特に有名なものは二つの木が生るよりさらに昔、最古の植物や動物が目覚めた時代に世界を照らしていた二つの灯火、イルルインとオルマルやメルコールを二度捕縛することになるアンガイノールの鎖、テルペリオンとラウレリンの最後の花と果実である月と太陽の容れ物などが挙げられます。

また中つ国が空虚なまま打ち捨てられていることに心を懸けるあまり、独断でドワーフの七人の父祖を作り世に送り出そうとしたのもアウレです。

つまりアウレはドワーフの生みの親とも言える存在でありますが、ドワーフは創造主イルーヴァタールが意図して誕生させた種族ではないので、エルフや人間がイルーヴァタールの子と呼ばれるのに対して、ドワーフはイルーヴァタールの養い子と呼ばれます。

ドワーフはアウレをマハルと呼んで尊崇し、死後は自分たちのために特別に用意されたマンドスの館にアウレの手によって連れて行かれるのだと信じています。

 

その後エルロンドが霧ふり山脈の麓の歌を詠じるシーンがあります。

その歌自体は原作には登場せず、その歌のエピソードによってミスリルができた、ミスリルはシルマリルの光が封じられた鉱石というのはドラマのオリジナルエピソードです。

ただその歌の中で歌われていた1人のエルフは「マンウェのごとき澄んだ心」とありましたので、ここでアウレに続いてマンウェについても紹介します。

マンウェは中つ国を含む全世界アルダの長上王であり、ヴァラールの最高位者、大気と風を支配するヴァラールです。

創造神イルーヴァタールの考えを最もよく理解するものでもありました。

メルコールとは兄弟であり、メルコールが最も力あるヴァラールであったのに対し、マンウェは最も高貴なヴァラールです。

戦闘力ではメルコールには劣るとはいえ、二つの木の時代に目覚めたエルフをメルコールから救い出すためにヴァラールが中つ国へと進軍した力の戦いでは風と雷を呼び寄せてメルコールのバルログ軍団を壊滅させるなど恐ろしい実力の持ち主でもあります。

また鷲は太古からマンウェの伝令役として仕える生き物であり、オローリン(中つ国に来る以前のガンダルフ)もマンウェに仕えるマイアールでした。

そのオローリン(ガンダルフ)らをイスタリとしてサウロンの脅威に対抗すべく中つ国へ送り込むことを決めたのもマンウェです。

 

その後のエルロンドとケレブリンボールが会話するシーンではエルロンドの母、エルウィングのことも語られます。

エルロンドの父、エアレンディルについては前回のエピソードの解説でご紹介しましたが、エルウィングは第一紀の英雄、ベレンとルーシエンの孫にあたります。

ベレンがモルゴスから奪還したシルマリルは息子のディオルを経て、エルウィングの元へと渡ります。

シリオンの港で2人は出会い結婚し、エルウィングはエルロスとエルロンドを産みます。

しかしエアレンディルがヴァラールへ助力を請うために西方へ船出した際に、シルマリルを取り戻そうとしたフェアノールの息子達によってシリオンの港が襲撃され、追い詰められたエルウィングはシルマリルを持ったまま海中に身を投じました。

そんなエルウィングを救ったのが、水の王と呼ばれるヴァラールのウルモ。

ウルモに救われたエルウィングは白い鳥の姿となって、シルマリルを持ったままエアレンディルの船であるヴィンギロトに辿り着き、元の姿に戻ります。

そしてエアレンディルはシルマリルの力を借りることでアマンへ辿り着き、ヴァラールへ助力を請うことができたのです。

モルゴスが怒りの戦いで敗れた後、エアレンディルは明星として空を駆けることとなりますが、エルウィングは虚空の船旅には耐えられるかわからなかったため、同行することはできませんでした。

その代わりアマンの北、大海の縁に、エルウィングのために白い塔が建てられ、そこには地上のあらゆる鳥たちが集まったと言います。

エルウィングは鳥たちから言葉や飛翔の術を教えてもらい、エアレンディルの船が虚空から戻ってくる時、よく彼を迎えるために飛び立って行ったと言います。

 

エピソード5のラストシーンはヌーメノール軍がいよいよ中つ国へ進軍するシーン。

原作ではヌーメノールの大艦隊について「節士派ですら思い返すたびに誇らしさを覚えるのを禁じ得ないほど壮大なもの」という記述があり、それに比べるとドラマはいささか迫力に欠ける描写に見えましたが・・・次回以降に期待しましょう。

原作を知る者としてはヌーメノールの大艦隊は大スペクタクルで描くべき見せ場のシーンであって欲しいと思っています。

コメント