3019年2月27日 オークの一団が東谷に侵入したとの報を受けたエオメルは、エドラスからの命令を無視して討伐に乗り出す。
オークたちを追うアラゴルン、レゴラス、ギムリの三人は、彼らの痕跡を辿りながらエミン・ムイル西部を進み、明け方にローハンの東壁に達し、ローハンに入った。
3019年2月28日 エオメルがファンゴルンの森を出はずれたところで、オークに追い着く。
3019年2月29日 エオメルがオークを包囲して殲滅する。メリーとピピンは逃れてファンゴルンの森に逃げ込み、木の髭と出会う。
見慣れぬホビットに興味を抱いた木の鬚は、二人を自らのエント小屋に招いて話を聞くうちに、隣人であったサルマンが悪に転じたことを確信する(なおこの時エント水を振る舞われた二人は、ホビット史上最大の長身に生長した)
フロドはエミン・ムイルで襲いかかってきたゴクリを捕らえる。
彼を殺すべきか決断を迫られたが、かつてガンダルフに説かれた慈悲の心を思い出し、その生命を助けた。
そして本来のスメアゴルの名で呼び、彼が善良な性質を取り戻せるように接した。
この呼びかけに応えて目を覚ました「スメアゴル」はフロドに懐き、可能な限りフロドの力になろうとした。そしてモルドールへ入るための道案内を任された。
一方で「ゴクリ」の性質も消え去ったわけではなく、指輪を奪い返す機会を虎視眈々と伺っていた。
サムワイズはそんなフロドを尊敬する一方でゴクリのことはあくまで信用せず、ゴクリの中にある二つの人格を「こそつき」「くさいの」と呼んで決して警戒を怠らなかった。
ファラミアはアンドゥインの岸辺でボロミアの亡骸を載せた小船が大海へ運び去られていくのに対面し、彼の死を悟る。
3019年2月30日 エントの集会が木の鬚によって招集され、メリーとピピンからもたらされたサルマン裏切りの報せへの対応が話し合われた。
最初は40人以上のエントが参加し、その後、来られなかったエントの元にも、説明のために他のエントが向かったらしい。
会合はエント語で行われることもあり、非常に長く続いた。
アラゴルンたちはローハンの平原を4日で45リーグ(約217km)も踏破するという驚くべき追跡を行い、その途中でエオメルに出会った。
アラゴルンは、乗手達のリーダーのエオメルに、ボロミアを殺して小さい人を掠っていったオークを追跡していると話す。
エオメルは、そのオークを全滅させて戻るところと話したが、オーク以外には何も見なかったという。
エオメルから馬を借りたアラゴルン達はファンゴルンの近くまで進み、エオメル達が倒して焼いたオーク達の死体を発見した。だがホビットは見つからなかった。
エドラスに戻ったエオメルは、命令に反してオークを追跡するために東マークの軍勢を連れ出しエドラスの防備を疎かにしたこと、よそ者を捕らえず国内を通行するのを見逃したこと、さらに彼らに馬まで貸したこと、といったかどでグリマに告発される。
さらに、グリマがエオウィンを我が物にしようと狙っていることを知っていたエオメルは、宮廷内で剣を抜きグリマを切り捨てようとする。
そのため、グリマの言いなりになったセオデンの命によって投獄された。
3019年3月1日 アラゴルンたちはメリーとピピンの追跡を続行し、ファンゴルンに入ったところで白の魔法使いとなったガンダルフと再会した。
メリーとピピンの無事を知らされたアラゴルンたちはガンダルフと共に、ローハンがサルマンの軍勢と戦うのを援助するためにエドラスへ向かう。
フロドたちは死者の沼地に辿り着き、渡り始める。
ファラミアはモルドールの召集に応えて北上してくるハラドリムの部隊を要撃するため、ミナスティリスを出てイシリアンへ向かう。
3019年3月2日 ガンダルフたちはセオデンがいるエドラスの黄金館を訪れる。
セオデンは衰弱しており、当初は彼らを冷淡に迎え、グリマと共にガンダルフを「疫病神」と呼んで非難した。
しかし、ガンダルフによってグリマの讒言の呪縛から解き放たれて癒され、屈めていた背を伸ばし、若返ったようにかつての活発さを取り戻して統治に復帰する。
ガンダルフはグリマがサルマンに買収されていることを暴いた。
セオデンはガンダルフの忠告を容れてグリマを殺さずに追放し、また放免したエオメルを自らの軍事上の第一の相談役にして王位後継者に指名する。さらに、ガンダルフにあらためて飛蔭を与えた。
ガンダルフの助言に従ってセオデンは非戦闘員を馬鍬谷の避難所に向かわせる一方で、自らはあくまで戦いに打って出ることを譲らず、ヘルグリムを佩いて乗馬雪の鬣に跨り、戦える限りの者を率いてサルマンの脅威を取り除くべく、直ちに西谷に軍を進めることにする。
一方アイゼンの浅瀬では半オーク、褐色人、狼からなる1万以上のアイゼンガルドの軍勢が進軍してきており、アイゼン浅瀬の第二の合戦が行われる。
アイゼンガルドの軍勢は、エルフヘルムとグリムボルドの部隊を蹴散らし、ヘルム峡谷から出撃してきたエルケンブランドの軍団も敗走させる。
このためローハン西谷の軍団は散り散りになった。だが実際にはロヒアリムは、戦死したものよりも、追い散らされただけの者が多かった。
セオデンはアイゼンの浅瀬が突破されたことと、エルケンブランドが敗走したとの報せを受け取って方向を転じ、アイゼンガルドの大軍勢に対抗するべくヘルム峡谷の角笛城に籠城した。
一方、ガンダルフは事態を確かめ、また散り散りになった西マークの諸軍団を呼び集めるため、飛蔭に乗って走り去った。
ファンゴルンの森ではエントの寄合が終わり、とうとう全員が奮起して、エントのアイゼンガルドへの進軍が開始された。
同時に木の鬚は、ガンダルフの求めに応え、角笛城の合戦に援軍としてフオルンの群を差し向けた。
フロドたちは死者の沼地を通過した。その途中、翼ある獣に乗った幽鬼が上空に現れるが、見つからずに済んだ。
またサムは、ゴクリがふたつの人格、スメアゴルとゴクリとで言い争っているのを目撃する。
3019年3月3日 角笛城の合戦。セオデン、エオメルらに率いられたエドラスの軍団は、3月3日の夜に奥谷のヘルム峡谷を守る角笛城に到着する。
エルケンブランドが城に残していた西谷の1000名ほどの徒歩の者達と併せれば、角笛城と峡谷を塞ぐ「奥の防壁」に配置するには十分な数だったが、1マイル以上あるヘルムの堤防を守るには少なすぎ、また兵士は幼すぎるか歳を取りすぎたものばかりであった。
そのためエオメルは王の兵と西谷の男たちの多くを城内に、自身の兵の大部分を奥の防壁とその背後に配置し、堤防にはわずかな後衛だけを残して敵軍に備える。
炬火をかかげて進軍してくるアイゼンガルド軍は、籠城側の何倍もの兵力があり、堤防に置かれていたローハンの後衛はすみやかに城へ撤退した。
アイゼンガルド軍は角笛城に肉薄し、奥の防壁を鉤縄と梯子で攻撃するとともに、城の大門へ通じる土手道への攻撃を執拗に繰り返し、破城鎚で城門を打ち壊そうとする。
これに対しローハン側は、矢を射かけ、石を投げつけ、鉤縄を切断し、梯子を倒すなどして応戦。
エオメル、アラゴルン、ギムリらは城門への攻撃に対して城の裏口から出撃し、攻め寄せてきたオークや褐色人の山男らを撃退すると、破壊された城門に代わって障害物を築いた。
そこでオーク達は、上の戦闘が熾烈を極めている隙をつき、渓流が流れる奥の防壁の暗渠から密かに防壁の内側に侵入して、奇襲を仕掛ける。
しかしこの侵入に気付いたギムリを筆頭とする者たちの熾烈な反撃に遭い、奇襲は不首尾に終わった。暗渠はその後、ギムリの指示の下で塞がれる。
だがアイゼンガルド軍は暗渠に「火」を投入して吹き飛ばし、奥の防壁に割れ目をあける。
これを合図に一斉攻撃を開始したアイゼンガルド軍の猛攻に押され、防壁は敵の手に落ち、そこを守っていたローハン軍は城内への退却を余儀なくされる。
また、峡谷内に敵が侵入したことでローハン軍の一部(ギムリ、エオメル、ギャムリングらを含む)が分断され、かれらは燦光洞へと退却した。
アイゼンガルド軍はその後も繰り返し鉤縄と梯子で角笛城への攻撃を続け、「火」を用いて城を揺るがし、ついに夜明けに城門のアーチを爆破する。
しかしオーク達が城内へ攻め入ろうとした瞬間、ヘルムの大角笛の音が峡谷に響き渡り、雪の鬣に打ち跨ったセオデンを先頭に、アラゴルンやローハンの諸侯が城門から突撃する。
それに応えて峡谷の燦光洞からも鬨の声が上がり、ローハン軍は一斉に反撃を開始。
夜明けの光と突然の強力な反撃に圧倒されたアイゼンガルド軍は押し戻され、セオデンらはヘルムの堤防まで至ると、奥谷がすっかりフオルンの森で覆われているのを目にする。
さらに奥谷の西の尾根に飛蔭にまたがったガンダルフと、彼によって呼び集められたエルケンブランドら西谷の徒歩の軍勢が姿を見せる。
籠城軍と、援軍と、フオルンの森に挟み撃ちにされたアイゼンガルド軍は総崩れとなり、褐色人らは降伏し、オークらはフオルンの森に逃げ込んで一人残らず殲滅された。
合戦に並行してアイゼンガルドへはファンゴルンの森から出撃してきたエントとフオルンが攻撃していた。
いかに堅固なアイゼンガルドの環といえどもエントの力の前には無力であり、城壁は粉砕され、要塞施設は徹底的に破壊された。
オルサンクの塔だけは非常に堅牢であったため破壊されなかったが、エントはアイゼン川の水を引き込んで円形広場を水没させることで、要塞を無力化し、サルマンを塔に閉じ込める。
かくしてアイゼンガルドは陥落した。
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