ハラドはシンダール語で「南」を意味し、ゴンドールやモルドールより南の地域を指します。
その中で比較的北側は近ハラド、奥地は遠ハラドと呼ばれ、この地域に住む人間はハラドリムと呼ばれます。
映画のペレンノール野の戦いでムマキル(オリファント)に乗って参戦し、ローハン騎馬隊と戦っていたのがハラドリムです。
ハラドにいつから人間が住み着いていたのかは明らかではありませんが、第二紀にはすでに原住民が住んでいたようです。
度々中つ国の沿岸を訪れていたヌーメノールの船団が、第二紀を通じて最も頻繁に航海したのがハラドの西岸でした。
当初、ヌーメノール人は友好的な訪問者であり、ハラドの民をはじめとする中つ国の人々はヌーメノール人を贈物を携えて現れる神として崇めました。
しかしヌーメノールに影が育つにつれ、かれらはハラドの西岸を中心として無数の植民地を築き、やがて過酷な略奪者として君臨するようになります。
第二紀1800年頃からヌーメノールは恒久的な居留地を築き始め、その最大のものであるウンバールは2280年には大要塞と化しました。
さらに第二紀1701年にサウロンはモルドールに戻り、ハラドにも勢力を伸ばしていきました。
ヌーメノールとサウロンはこの地域で中つ国の覇権を巡って激突し、第二紀3261年に、ヌーメノールの黄金王アル=ファラゾーンは大艦隊をウンバールに上陸させて、投降したサウロンを翌年ヌーメノールへ連行します。
しかしその後、サウロンの影響を受けて邪悪に染まったヌーメノール人は一層過酷な圧制者となり、ハラドの植民地から富を収奪する一方、人身御供をはじめとした忌まわしい邪教を中つ国に広めました。
第二紀3319年にヌーメノールは海中に没しましたが、没落を免れた邪悪なヌーメノール人は南方の植民地で生き残り、黒きヌーメノール人として知られるようになります。
かれらの内ヘルモールとフイヌアはハラドリムの中で権力を握りました。
そのため第三紀になってもハラドはサウロンの影響が強く、ゴンドールを悩ます敵として有り続けました。
特にウンバールはそうした敵対勢力の拠点となりました。
そこで830年から1050年にかけてゴンドールの船艦王たちは海軍力を築いてウンバールを奪取し、ヒャルメンダキル一世は南征して大勝し、ハラドの王たちにゴンドールの主権を認めさせました。
しかし同族の争いによってゴンドールが海軍力を喪失し、ウンバールが敵の手に落ちると、ハラドは再びゴンドールに敵対するようになります。
ウンバールを拠点とした海賊はしばしばゴンドールの沿岸地方を悩ました。
やがてサウロンがモルドールに戻ると、ハラドの国々は公然とその属国として動きました。
指輪戦争では多くの軍勢がモルドールの召集に応え、ゴンドールへの攻撃に参加します。
ペレンノール野の戦いに参戦したハラドリムや海賊はその一部です。
その後サウロンが滅びて第四紀になると、ハラドと西方諸国の間で講和が成立したようです。
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