3000年 この頃、サルマンはそれまであえて使わなかったオルサンクのパランティーアを使用。
するとミナス・モルグルのパランティーアを持つサウロンの目に捕らえられてしまい、さらに堕落することになる。
サルマンはサウロンに対して、表向きは従っているように見せ掛けながら、実際は一つの指輪を手に入れ、その力により自分がサウロンに取って代わろうとしていた。
しかしサウロンは次第にサルマンを精神的に圧倒し、その真意にも薄々感づいていた。
サルマンの間者はホビット庄を野伏たちが厳重に守っていることを報告する。
3001年 ビルボの別れの宴が開かれる。ビルボ・バギンズが自身の111歳の誕生祝いに催した盛大な祝宴。同じ日が誕生日である養子のフロド・バギンズの33歳の成人祝いも兼ねていた。
近隣の住人は一人残らず招待され、ビルボの親族も(サックビル=バギンズ一家などの日頃は不仲だった者たちも含めて)大勢招待された。
招待状を送られていなかったり遠方からわざわざ来たような便乗者もいたが、ビルボは原っぱの入り口に新設された門の前に立ち、全員に自分で贈り物を手渡した。
特に子供たちのためには、はなれ山のドワーフに注文した特別な魔法の玩具が用意されていた。
宴会では大変な質と量のご馳走が振舞われ、特別な余興としてガンダルフが魔法の花火を打ち上げた。
その花火の中にはビルボの前の冒険に敬意を表して龍を模したものもあり、あまりの迫力に驚いて這いつくばった参加者もいたほどだった。
だがビルボ本人は花火の後の晩餐の席上で、親族一同を前に別れの挨拶を述べ、(ガンダルフの魔法による)閃光とともに(一つの指輪を用いて)突如として文字通り姿を消してしまった。
後には袋小路屋敷と、フロドを後継者に指名して全財産を残す旨の正式な遺言状と、親族たちそれぞれへの(ものによっては皮肉たっぷりの)贈り物と(ギャムジーとっつぁんのような)貧しいホビットたちへの心からの贈り物、そして一つの指輪が残されていた。
ガンダルフはビルボが残した指輪が一つの指輪ではないかと疑い、指輪の正体を確かめるべく多年の調査に身を投じることになる。
友人のアラゴルン二世に「疑念」を打ち明けたガンダルフは、野伏にホビット庄の守りを任せる一方、アラゴルンと共にロヴァニオンからモルドールの境界に至るまでゴクリを捜索することになる。
3002年 ビルボが裂け谷に到着。エルロンドの客人として隠遁生活を送り(その間に、一度はなれ山を再訪している)、『シルマリルの物語』の元となった伝承集を編纂した。またアラゴルン二世とも親しくなった。
3002年 エオメルとエオウィンの父、エオムンドがオークに殺される。
エオムンドはマークの東部国境を任されていたが、大の馬好きかつオーク嫌いなため、国内に侵入して馬を殺したり盗んだりするオークのこととなると、怒りに身を任せ、危険を顧みずに突出する傾向があった。
その結果、オークの小規模な一団を追ってエミン・ムイルの国境まで来たところを岩陰に隠れていた強力な部隊に奇襲され、殺された。
また、母セオドウィンも病で亡くなったため、エオメルとエオウィンは共にセオデンに引き取られ、彼の養子としてエドラスで育てられる。
エオメルは父の役職を次いで東マークを統括する第三軍団の軍団長として、谷地のアルドブルグに本拠を持った。
彼より13歳年上の従兄セオドレドとは強い友情で結ばれており、エオメルは彼をセオデンに次いで尊敬していたという。
エオウィンは勇猛で武芸に秀で、戦勲を求める心は男子に劣らなかったが、女の身であるため戦いに赴くことを許されず、その機会を得られなかった。
3007年 バインの息子ブランドが谷間の国の王となる。
3007年 アラゴルンの母、ギルラインが死ぬ。
3009年 ゴクリがモルドールの手先に捕らえられてサウロンの許に引き据えられ、拷問を受ける。
そこでゴクリが白状した内容から、サウロンは一つの指輪が再び見出されたこと、それが「なんとか庄」(Shire)の「バギンズ」なる者の手に渡ったことを知るに至った。
この時以来、ゴクリはサウロンを極度に恐れる一方で、自分のいとしいしとを奪おうとしている最大の対抗者と見なすようになった。
3014年 サルマンは、ローハンの17番目の王、セオデンを弱らせる策略を始めた。
セオデンは自分が年老いて耄碌したのだと思い込んで次第に政務が取れない状態になり、相談役であるグリマが王の名の下に王国の実権を握るようになる。
セオデンがサルマンの間者グリマの術策によって耄碌しても、セオドレドとエオメルの王に対する忠誠心はいささかも揺るがず、また互いの信頼関係も揺るがなかった。
そのためグリマは、可能な限りこの二人(特にエオメル)が王からの信頼を失うよう仕向けようとしていた。
3017年 サウロンはゴクリを釈放し、配下にその行方を監視させる。これによってサウロンは、ゴクリが指輪を取り戻すために「なんとか庄」に向かうことを期待したのであった。
ところがこの直後、ゴクリはアラゴルン二世に捕まって闇の森の王国に連行され、ガンダルフによる尋問を受ける。
ガンダルフはゴクリの口から指輪がイシルドゥアの没したあやめ野で発見されたいきさつも聞き出した。
調査の目を転じたガンダルフは、ゴンドールで古文書を渉猟してイシルドゥアが書き残していた巻物を発見、指輪の判別法の知識を得る。
そのままゴクリは森の王国に留め置かれたが、森のエルフは彼を親切に扱ったらしく、監視の下で森を散歩したり木に登ったりすることが許されていた。
後になってドル・グルドゥアの指揮官よりこの報告を受けたサウロンは、はやくも賢者達が一つの指輪の再発見を承知していることに驚愕し、ただちに行動を起こす必要に迫られることになった。
そのためサウロンはナズグールの使用を決心する。
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