アプリゲーム、ロードオブザリング戦いの幕開けはユーザーが各勢力に分かれて勢力争いをするゲームです。
マップには原作でも特徴的な建物が再現されていますので、各勢力と建物を解説したいと思います。
この知識を理解した上でゲームをやれば、より楽しめるのではないかと思います。
なおゲームの解説ではなく原作の地理の解説です。
ゲームでは勢力争いによってある地域が別の勢力に入ったりと移り変わりがありますし、原作ではどこの地域にも属さない地域でも、ゲームではある勢力に割り振られていることもあります。
そのあたりを割り切って頂いた上で一連の記事を読んで頂くことを推奨致します。
今回は悪の勢力の一つ、モルドールを紹介します。
モルドールはシンダール語で「黒の国」を意味する冥王サウロンの王国です。
この国の心臓部である滅びの山の火を用いて一つの指輪は作られました。
ゲームではゴルゴロス、死者の沼地、ダゴラド、灰の平原、ヌアン、ヌアネンの湖、影の山脈、北ハンド、南ハンド、近ハンド、ハロンドールといったあたりが主なモルドールの勢力圏となっています。
主要な地は全てゴルゴロス高原にまとまっています。
ゴルゴロスはエレド・リスイ(灰の山脈)の南、エフェル・ドゥーアス(影の山脈)の東にある、ふたつの山脈に囲まれた難攻の地です。
北の入り口であるキリス・ゴルゴル(幽霊峠)には黒門と歯の塔が、西の入り口にあたるモルグル谷にはナズグールの城であるミナス・モルグルがあり、そこから分かれたキリス・ウンゴル(蜘蛛峠)にはシェロブの住処である洞窟に加えてキリス・ウンゴルの塔があり、すべての道は徹底して監視、防衛されています。
そして灰の山脈の支脈にはバラド=ドゥーアが聳えています。
第二紀に中つ国で活動を再開したサウロンは、第二紀1000年頃にオロドルイン(滅びの山)があるこの地を拠点に選び、その火を妖術や鍛造に利用すると共にバラド=ドゥーアの築城を始めます。
そして第二紀1600年頃にサウロンは滅びの山の火で一つの指輪を鍛え上げ、バラド=ドゥーアを完成させました。
第二紀3261年にアル=ファラゾーンがウンバールに上陸すると、3262年にサウロンは降伏してヌーメノールへと連れ去られ、その間モルドールは放置されました。
しかし第二紀3319年にヌーメノールが海底に没するとサウロンはこの地に帰還し、再び滅びの山を噴火させました。
滅びの山の全高は4500ft(約1370m)ほど。
突き出た円錐部の東側の麓に火の室サンマス・ナウアがあり、その中に一つの指輪を破壊することができる火の裂け目滅びの罅裂があります。
戦力を再建したサウロンは第二紀3429年にゴンドールに戦いを仕掛けましたが、翌年締結された最後の同盟によってモルドールは攻撃を受けて敗れました。
しかしバラド=ドゥーアの土台は一つの指輪の力によって築かれていたため、同盟軍はこれを完全に破壊することができず、そのまま廃墟となって残されました。
第三紀になると、モルドールはゴンドールの監視下に置かれます。
国境には歯の塔、キリス・ウンゴルの塔、ドゥアサングといった砦が築かれ、悪しき者が戻ってくることがないよう封鎖されました。
そのため復活したサウロンは闇の森のドル・グルドゥアに潜んで好機を伺うことにします。
ドル・グルドゥアは闇の森南西部の端の高地にある、頂上に木が生えていない丘です。
第三紀1100年頃にドル・グルドゥアの死人占い師としてこの地に潜んだサウロンは悪疫や戦乱を引き起こしてゴンドールの国力が衰微するよう仕向けました。
元々は緑森大森林と呼ばれていたこの地に影が広がり始め、その恐怖の影から逃れるため、当時アンドゥインの谷間にいたホビットとエオセオドはそれぞれ西と北へ移住していきました。
ゴンドールは国力が衰退していったことで第三紀1640年頃にはモルドールの監視がおそろかになり、やがて悪しき者達が再び密かにモルドールに戻っていきました。
そして第三紀1980年にはナズグルがモルドールに集結し、2000年から2002年にかけてゴンドールのミナス・イシルを包囲攻撃します。
陥落したミナス・イシルはミナス・モルグルへと作り変えられ、アングマールの魔王の居城となります。
第三紀2050年には魔王の挑発に乗り、最後のゴンドール王エアルヌアがこの地に向かって消息を断ちます。
罠にかけられたエアルヌアはミナス・モルグルへ連行され、そこで責め苛まされて非業の最期を遂げたものとゴンドールでは考えられており、ゴンドールは王が不在となり執政が統治する時代となりました。
第三紀2060年にはドル・グルドゥアの力が強まり、賢者たちはサウロンが復活したのではないかと恐れたため、2063年にガンダルフがドル・グルドゥアに潜入。
正体の露呈を恐れた死人占い師は東に逃れ、しばらく警戒的平和がもたらされました。
しかし第三紀2460年、死人占い師は力を増してドル・グルドゥアに戻り、警戒的平和が終わります。
ガンダルフは第三紀2850年に再びドル・グルドゥアに潜入し、死人占い師の正体が間違いなくサウロンであることを突き止めました。
第三紀2941年、五軍の合戦が行われた年、白の会議はドル・グルドゥアを攻撃してサウロンを追い出しましたが、今度の逃亡も見せかけでした。
第三紀2942年、かねてから手筈を整えていたサウロンが遂にドル・グルドゥアを放棄して、密かにモルドールへ帰還します。
そして第三紀2951年に彼は公然と名乗りを上げ、全ての悪しき者達をモルドールに集結させるとともにバラド=ドゥーアの再建を始めました。
モルドールに帰還したサウロンは、三人のナズグルを派遣してドル・グルドゥアを再占領。
指輪戦争までドル・グルドゥアはモルドールの前哨地であり続け、ロスロリアン及び闇の森の王国を脅かしました。
モルドールの北の入り口であるキリス・ゴルゴル(幽霊峠)を防衛する門が黒門で、両側を歯の塔(ナルホストとカルホスト)によって守られています。
指輪戦争では、当初フロド・バギンズとサムワイズ・ギャムジーがここをどうにか通り抜けてモルドールに入ろうと考えていました。
しかし実際にその警備の厳重さを目の当たりにしたことや、ゴクリの説得によって、キリス・ウンゴルのほうに迂回することになります。
キリス・ウンゴルは影の山脈を越える峠道で、モルグル谷の北側から続く山道や長い階段を経て、シェロブの棲処であるトレヒ・ウンゴルの洞窟を通り、東の出口であるキリス・ウンゴルの塔の先でモルグル道路に合流します。
フロド・バギンズとサムワイズ・ギャムジーは、ゴクリの案内でここを抜けようとしましたが、彼に裏切られて洞窟内で置き去りにされ、シェロブに襲われました。
モルドールの北にはダゴルラド(ゲームではダゴラド)と呼ばれる荒野が広がっており、シンダール語で「戦場が原」を意味します。
ここは第二紀3434年、霧ふり山脈を越えてきた最後の同盟の軍勢と、それを迎え撃ったサウロンの軍勢との間で緒戦が開かれた場所であり、それ以来この名で呼ばれるようになりました。
戦いは熾烈を極めて多数の戦死者を出し、かれらを葬った墓場は後に沼地に呑み込まれて死者の沼地と化します。
この戦いで同盟軍は勝利を収め、モルドールに攻め入ってバラド=ドゥーア包囲戦が開始されました。
ダゴラドの東には灰の平原(リスラド)が広がっていますが、作中ではモルドール国内にある平原として記載があるのみです。
ゴルゴロスの南にはヌアネンの湖が広がっており、この周囲は大規模な奴隷農場があり、モルドールの軍勢のための食糧を供給していました。その東がヌアンという地域になっています。
その南にモルドールを西から南に覆う影の山脈があります。
北端近くで支脈が東に伸びて、モルドールの北を覆う灰の山脈と共にウドゥンの谷間を形成しています。
山脈の東には枯れた川床が残る谷間を挟んでモルガイの山並みが走り、オークの砦や駐屯地があり、それらを南北に結ぶ小道が伸びています。
影の山脈の南はハラドと呼ばれる地域になっており、その中で比較的北側は近ハラド、奥地は遠ハラドと呼ばれます(ゲームでは近ハンド、南ハンド、北ハンドと分けられています)。
またこの地域に住む人間はハラドリムと呼ばれます。
ハラドにいつから人間が住み着いていたのかは明らかではありませんが、第二紀にはすでに原住民がおり、ヌーメノールとサウロンとの係争地となっていました。
サウロンは人間の王侯に九つの指輪を分配してかれらを支配し、中つ国の人間の上に神として君臨するようになります。
サウロンの影響を受けて邪悪に染まったヌーメノール人はハラドの植民地から富を収奪する一方、人身御供をはじめとした忌まわしい邪教を中つ国に広めます。
第二紀3319年にヌーメノールは海中に没しましたが、没落を免れた邪悪なヌーメノール人は南方の植民地で生き残り、黒きヌーメノール人として知られるようになりました。
そのため第三紀になってもハラドはサウロンの影響が強く、ゴンドールに敵対的であり続けました。
特にゴンドールとの係争地になったのがイシリアンの南、ポロス川とハルネン川の間の不毛の土地であるハロンドールです。
ハロンドールにあるウンバールはゴンドールに敵対するハラドリムの拠点となっていました。
第三紀830年から1050年にかけてゴンドールの船艦王たちは海軍力を築いてウンバールを奪取し、ヒャルメンダキル一世は南征して大勝し、ハラドの王たちにゴンドールの主権を認めさせます。
しかし同族の争いによってゴンドールが海軍力を喪失し、ウンバールが叛徒の手に落ちると、ハラドは再びゴンドールに敵対するようになります。
ウンバールを拠点とした海賊はしばしばゴンドールの沿岸地方を悩まし、やがてサウロンがモルドールに戻ると、ハラドの国々は公然とその属国として動きました。
指輪戦争において、サウロンはモルドールおよびそれに隷属する東方や南方の軍勢を動員して、西方諸国へ一斉攻撃を仕掛けます。
ミナス・モルグルの城門からも軍勢を率いて魔王が出撃。
ドル・グルドゥアの軍勢はロスロリアンと森の王国を同時攻撃します。
しかし一つの指輪が破壊されたことでサウロンの力は完全に滅び、その軍勢は総崩れとなり、バラド=ドゥーアは崩壊。
滅びの山は大噴火を起こして火焔を放出し、巻き起こった嵐の中に没しました。
ミナス・モルグルは、この地に植え付けられた恐怖があまりにも大きなものであったため、ミナス・イシルとして再建されることはなく、エレスサール王(アラゴルン)によって徹底的な破壊が命じられます。
ドル・グルドゥアはケレボルンが指揮するロスローリエンの軍勢によって陥落し、要塞はガラドリエルによって破壊され浄化されました。
モルドールの奴隷は解放され、ヌアネン湖付近の土地を与えられ、ハラドとは西方諸国との間に講和が成立しました。
コメント